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STM2018-19 ⑩エピソード集E〈完結〉
<<①予告
<<②twitter速報
<<③お礼と結果報告
<<④結果概要
<<⑤装備・食糧編
<<⑦エピソード集B
<<⑧エピソード集C
<<⑨エピソード集D
ここまでお付き合い下さりありがとうございます!いよいよこの記事で完結にさせたいと思います。他にもエピソードはたくさんあるんですが「ええ加減にせえよ!」と怒られそうなんでこれくらいにしておきます(笑)
もし当記事に興味のある方やお時間のある方がいらっしゃれば、これまでの記事をもう一度読んで頂けると幸いです。最後のエピソードを読む上で何かしらのヒントがあるかもしれません(ないかもしれません笑)。
また、抽象的な内容で分かりにくいと思います。これは意図的にそうしたのではなく、どうしても具体的に書けなかった結果と受け止めて下さい。
【四石山の怪】
読者の方には最初に断っておく。この記事を読んでも最後まで事の真相は分からない。時間が経てば四石山で起きた出来事を書けるかもしれないとずっと先延ばしにしていたのだが、やはりどうしても書けない。いや、多分、それをここに書いたところで信じてくれる人は少ないだろうし、何より詳細を説明することが非常に難しい。そこで起きたことは、あの時、あの瞬間に立ってみなければ誰にも理解できないだろう(当の本人が未だ理解できていないのだから尚更だ)。大げさに聞こえるかもしれないが、今後の人生の中でもこれほど不可思議で奇妙な経験をすることはなかなかないと思う。ただひとつ言えることは、あと1,2キロも進めば山中渓というところでわざわざ引き返し、ロードで大周りせざるを得ないほどの大きな出来事だったということだ。結果的に、この迂回劇によって6時間以上も余分に時間を費やしてしまうこととなった。
![]() |
四石山周辺図 GPSの軌跡は手入力と過去のデータを混ぜているため 実際はこれ以上に彷徨っていたりロストしている ※結果概要を参照 |
およそ360キロ地点。四石山登山口となる信達楠畑に到着したのが1月3日の21時頃。屯鶴峯での1時間の仮眠から約90キロを30時間近く休む事なく進み続けていた。この時、極度の睡眠不足、疲労、食糧不足に陥っていたように思う。だから、信達楠畑の集落に辿りつく直前、すでに睡魔や幻覚で以下のようなおかしな行動を取り始めていた。
・寝ながら歩いていたため道路脇の壁に何度もぶつかったり、水路に2回ほど落ちてしまった(川に落ちていれば軽傷では済まなかったはずだ)。
・登山口付近に着いても過去の記憶が甦らずどこが入り口が分からない。何度も何度も同じところを行ったり来たりした覚えがある。
このような状況下で、四石山への真っ暗な山道へと入って行った。この区間は昼間の明るい時間帯でも道が荒れていて非常に分かりにくい。夜中となるとそれはもう想像を絶する。ましてや、今はまともな頭や身体ではない。どれだけ時間がかかったか分からないが、GPSや踏み跡を頼りに何とか槌ノ峠へと到着した。
![]() |
槌ノ子峠 |
しかし思った以上に倒木が多くうまく進めない。ミシミシ。ガサガサ。パリパリに乾いた木々をかき分けながら、所々にあるテープを見失わないよう慎重に高度を上げていく。下見で来た時の記憶とリンクさせようと必死で頭を動かしてみるもどうしても過去の記憶と結びつかない。夜道だからなのか...
そして、それはほぼ山頂に到着したであろう時に突然起こった。
!!
最初は幻聴かと思った。でもそれまでの幻聴とは何かが違う。身体がこれ以上進んではダメだと本能的に停止させた。
ちょうど左手で木をかき分けた格好で立ち止まった。
ハァハァ....
息を殺して様子を伺う
.....
.....
何もない
気のせいか
.....
.....
!!
また聞こえた。幻聴じゃない。確信があった。
身の危険を感じ、ヘッドライトで周囲の様子を伺う。いつの間に出たのか、濃い霧でヘッドライトの光が反射し辺りは真っ白だ。
とにかく進まなくては...
だが
恐怖なのか何なのか身体がどうしても前に進めない
あ、あれは...
30秒ほど(いや1分、数分かもしれない)どうするか真剣に考えた。行くか、引き返すか。でもここで死にたくない。心底思った。自分は生に対してそこまで執着があるほうだと思ってなかったから、こんなにも『死にたくない』などと思ったことに自分でも驚いた。そう決心して踵を返すと、一心不乱に下山し始めた。
〜その後〜
地図を見て、槌ノ子峠から境谷方面で山中渓へ行くルートを進んでみたが崖崩れでえらい事になっていたので断念する。信達楠畑へ戻るまで、山中渓へ向かうまでもそれはもう酷かった。ここでは説明するのが大変なので省略させてもらう。興味のある方は何があったか直接聞いてください。
【ある境目】
自然な状態になりたい
自分が走る上での最大のテーマだ。それは走る目的であり理由にもなっている。過去の記事でも何度か書いたことのある言葉なので、熱心なブログの読者なら「あぁ〜なんかそんなこと言うとったなぁ」と理解してくれるだろう。
超長距離をやるようになって徐々にその思いは色濃くなり、数字や記録はひとつの手段に過ぎず、走る理由や目的ではなくなった。とは言え、数字や記録を軽視している訳ではない。より速く、より長い時間走れるようになれば、新しい世界を知ることができる。つまり、自然な状態に近づくためには、今以上に自分の限界を高める必要がある。
だが、ここでひとつの疑問が浮かぶ。
自分が走る上での最大のテーマだ。それは走る目的であり理由にもなっている。過去の記事でも何度か書いたことのある言葉なので、熱心なブログの読者なら「あぁ〜なんかそんなこと言うとったなぁ」と理解してくれるだろう。
超長距離をやるようになって徐々にその思いは色濃くなり、数字や記録はひとつの手段に過ぎず、走る理由や目的ではなくなった。とは言え、数字や記録を軽視している訳ではない。より速く、より長い時間走れるようになれば、新しい世界を知ることができる。つまり、自然な状態に近づくためには、今以上に自分の限界を高める必要がある。
だが、ここでひとつの疑問が浮かぶ。
自然な状態になるって一体何や?
走る目的や理由なんてカッコつけて言ってたわりに、当の本人がそれが何なのか今までよく理解していなかった。これまでにも大会やオリジナル企画で超長距離を走っているときに、これが追い求めている自然な(ナチュラルな)状態か?!と感じた瞬間は多々ある。
・限界まで追い込んだ後に訪れる身体がふっと軽くなる瞬間
・走りながら緑や川といった美しい景色と共存しているような瞬間
・流れ行く景色をバックに、鳥のように、あるいは風のように走っている瞬間
残念なことに、これらは全て自然な状態でも何でもなかった...
誤解して欲しくないのだが、長い人生におけるたった5日半の出来事で全てを理解したなんて全く思っていない。もちろん最後までやり遂げた事は大きな糧となり、新たなるチャレンジをするための自信にもつながった。でも、決して人間的に成長したとか、より大きくなったなどとは全く思っていない。むしろその逆だ。自分を思い知ったというか、無意味さに気づいたというか、運や偶然に左右されているに過ぎないというか。うまく説明できない...
ただ、今回の挑戦で"たまたま"経験できたことがある。
それは、誤解を恐れずに言うと、もし人間と自然を隔てる境目みたいなものがあるとしたら、そこに直面する瞬間があったということ。それは決して幻覚を見たとか幻聴を聞いたとかそういうことではない。恐ろしいほどの無になる瞬間。覚悟を決める瞬間。(あぁ文字にするとなんて稚拙なんだろう…)
自分が追い求めていた自然な状態というのは自然の一部になるということ。それは自分が思い描いていた美しい世界でも何でもなく、自分が勝手に作り出した幻想に過ぎなかったのだ。
STM 2018-19
完
全10編
①予告
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Pさんに撮って頂いたお気に入りの写真 たくさんの応援ほんとうにありがとうございました |
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コメント
気になるぜ!
また大ちゃんでゆっくり話しましょう♪
でも最後の最後で迂回せざるを得ないくらいのことがあったんですね。
犯人が判らないまま終わった推理小説を読んだみたいです(^^)
私の脳ごときではとらえることはできないが、
その直観は現実の危機を正当にとらえていたと思います。
案外バラの花でもくわえて通過すれば行けたかもしれませんね(笑)
またお会いした時に詳しく聞き取り調査させてください~♪
その終わり方一番腹立つやつやないっすか!映画やったら金返せって暴れるレベル(笑)でも真実は誰にも分からないっていう意味では鋭いですね(笑)
やはり現実離れしていて幼稚な内容になってますよね。確かに直感でした。あの時そのまま進んでたらどうなってたんだろうって今でもふとした時に考えてしまいます。怖かったですけど、何かこう惹かれるものがあるのがさらに恐さがあります。
シュピ殿の裏鴎トークも聞かせて下さい♪
小江戸大江戸来れるの?
タヌキか狐が化かしたのかなぁ 見たくないものを見せたか、合いたくないものに合わせたか。
コエドオオエドほぼDNS確定です(涙)記録更新は兄貴に託しました〜
きつねの美人な化身とかだったら迷いもなく飛び込んでましたわ(笑)
真面目な話、はっきりとした言語は聞き取れなかったのに、なぜそれが自分の記憶の中に入ってきたのかが謎で仕方ありません。落ち着いたらもう一度足を運んでみるつもりです。もう一度あそこに夜行けるかな...
そーゆの好き
反応してしもたわ
ブログ見てくれたことが素直に嬉しいわ♪
なごみんが喜んでくれるようもっと色々体験してくるわ(^^;