2023-24 STMダブル760K ②結果まとめ

STM2018-19 ⑧エピソード集C

STM2018-19 ⑧エピソード集C

<<①予告
<<②twitter速報
<<③お礼と結果報告
<<④結果概要
<<⑤装備・食糧編
<<⑥エピソード集A
<<⑦エピソード集B


【続 犬の怪】

ただならぬ気配を感じて飛び起きた。

...何かいる!!

真っ暗なツェルトの中でその気配に集中した。わずか1,2メートル先をゆっくりとした足取りで何者かが通過していく。グルゥウウ...ハゥァァ...呼吸音とともに低い唸り声をあげているではないか。

犬?!

足音や唸り声から察するに小型犬ではなく、中型犬以上の雑種といったところだろうか。食べ物の匂いにつられてやってきたのか。それとも縄張りを荒らされて怒っているのだろうか。確かなのは、その犬が何かに対して(自分なのか全く別のものなのかその対象は分からない)物凄い敵意を持っているということは本能的にすぐ感じ取れた。ちなみに、ここまで飛び起きてから10秒ほどの話。


本気でやばいな。
こんな所で噛まれたらシャレにならん。
何か武器になるものは...


何もない。唯一あるストックもツェルトの支柱に使用しているため取り外そうものならツェルトごとペシャンだ。できるだけ刺激しないよう息をひそめていると、犬はそのまま通り過ぎ、4,5メートル先の繁みの方へと移動した。すると…

ウォウウァウウォウォウウォウウォウ!!!!ウォウウォウウォウォウウォウウォウ!!!!

これでもかと言うほど吠えまくった。夜の静寂を突き破る雷鳴のごとく鳴り響く。しかもすぐ側で鳴いているからバカデカい音が耳に入ってくる。休憩というものを知らないのか5分、10分と延々と吠え続けた。これは誰かを呼ぶような吠え方ではなく、不審者や不審物に向けた吠え方でもない。何かに対して物凄く怒っている吠え方だ。何かとは何なのかよく分からない。物体のないもの。例えば、社会とか。人生とか。そういうものに対して怒り狂っているような吠え方だとなぜかその時思った。

30分以上は吠え続けたんじゃないかと思う。突然吠えるのをやめた。耳をそばだてていると依然として呼吸音とともに深い唸り声だけは聞こえてくる。完全に睡眠を妨害されたことで、徐々に恐怖心よりも苛立ちの方が大きくなってきた。思いきってツェルトから恐る恐る出てみる。冷気が全身の体温を奪う。少し距離をとった場所へ移動し、犬のいるであろう繁み中にヘッドライトの光を向けてみた。

………

いない。でも確かにそこにいるはず。繁みが深くて見えないのだろうか。場所をゆっくりと移動し別の角度から光を当ててみる。

いない。

正体を掴めば少しでも安心できる。勇気を出して絶対に見えるであろう角度からヘッドライトの光を当ててみたがどうしても見つけられなかった。

どうしようもないのでツェルトに戻って寝袋にくるまるも全く眠れない。そうしているうちに、いつの間にか犬の気配は消えていた。しかし、安心するのも束の間。今度は100mほど離れた場所でまた烈火の如く吠え始めた。

ウォウウォウウォウォウウォウウォウ!!!!ウォウウォウウォウォウウォウウォウ!!!!

その吠え方は全く同じだ。まるでテープで録音したものを再生しているかのように、また30分ほど延々と怒り狂っている。全然眠れない。時間だけがどんどん過ぎていく。静寂がしばらく訪れる。すると今度はさらに100mほど向こう(自分のところからは200mほど向こう)でバカみたいに吠え始めた。

それから少し寝たのか、よく覚えていないがハッと気づくと、また別の場所で吠えまくっているのが聞こえた。これは完全な推測になるが、どうやら自分の場所を起点として縦100m横300mの長方形を描くように点々と場所を変え吠えまくっているようだ。

それから1時間は眠れたのだろうか。午前4時前になると犬の鳴き声や気配は全くなくなっていた。急いでツェルトの撤収をしてパッキングを済ませると、山に向かってゆっくりと走り始めた。


※後日、冷静になってこの出来事を振り返ってみた。姿を確認できなかったこと、一定の距離を移動し定期的に吠えまくる声。以上から動物避けのためにスピーカーか何かで流している可能性もある。しかし、スピーカーのような人工的な音でもなかったし、あの気配や唸り声はリアルだった。まさか初日からこれほどまでリアルな幻覚を見たとも考えられない。一体何だったのだろうか。


【ポンポンポーズ】

全く流行ってない


【ラジオ放送】

幻聴に関する別のエピソード。

個人的にラジオは好きだ。仕事柄車移動が多いので、車内ではよくラジオを聴いている。しかし山に入った時や走る時にはラジオや音楽といったものは基本聴かないし、イヤホンなんてつけない(そもそも持っていない)。もちろん今回の山行でも一度も聴いていない。

しかし、そんな状況下でもラジオ放送が聴こえてきた時があった。エピソード集Bで紹介した【新発見】と同じ頃かその少し前だと思う。


『こんにちは。DJの◯◯◯◯◯です。続いて紹介する曲は…』
※内容はよく覚えていないがよくあるFM放送のような軽快な喋りが続く


耳の中に突然ラジオ放送が飛び込んできた。当然、山の中でラジオ放送をするようなスピーカーなど周りにはない。なんだこれは。DJらしき女性がハッキリと喋っている。雑音は一切ない。女性の名前や声に全く聞き覚えもないし、よく聞くラジオ放送とも似通っていない。ただ、驚くほどリアリティがある。思わずそのラジオ放送を聞き込んでしまったほどだ。頭がおかしくなったのか?真剣にそう思った。曲が始まる。

……

知らん曲。でもどこか懐かしい感じのする女性のバラードのような曲だ。竹内まりやのような雰囲気だが違う。なんなんだこれは。

まるで自分の耳がFMの電波を拾ったかのような不思議な体験だった。




【落ち葉】


落ち葉が全て顔に見える。これは過去にも経験したことのある幻覚だ。落ち葉ひとつひとつに顔が現れるというもの。その表情はほとんどが笑っている。ウケケケケケケという声が聞こえて来そうな表情。これだけでも十分に変な経験だが、今回は落ち葉にそのような幻覚は現れなかった。代わりに、とても奇妙な幻覚が現れる事になる。

それが顕著に現れたのは大和葛城山へ向かうダイトレにて。およそ285km地点。陽が落ちて暗くなりヘッドラの明かりを頼りに進んでいた時のことだ。

ん?

ひ         の   

これは...

落ち葉ひとつひとつに平仮名がある。カタカナでもなければ漢字でもない。ぼやけているわけでもなく、文字が浮かび上がっているわけでもない。ハッキリと平仮名が存在している。試しに続けて読んでみたが、特に意味をもつわけではないようだ。まるでマジックか何かで五十音の平仮名を書いた落ち葉をそこらじゅうに撒き散らしたような感じだ。

なんやこれ...

今考えてみると、そんなことはありえないし、自信をもってあれは幻覚だったと言い切ることができる。でも、その時は「いやいや待てよ。今まで知らんかっただけで、落ち葉には平仮名があるもんなんかも。」という風に考えていた。目をこすり、しっかり一枚一枚を丁寧に見ていった。

           ...




これは別の幻覚を見た時に撮った画像



※ちなみに、ゴール後最寄駅から自宅へと歩いている時にも似たような幻覚を見た。凸凹とした白いコンクリートの上に、まるで中学生が書いたような落書きが至る所に描かれている。落ち葉の時のように平仮名が点在しているのではなく、文章のように文字が連続している。もしかしたら漢字もあったかもしれない。よく見れば意味を成していたかもしれないが、もう惑わされたくないの目をそらして足早に家路へと急ぐ。ふと顔をあげると、道路脇のフェンスから巨人(ヒゲを生やした原始人のようだ)が身を乗り出している。そばを通りすぎるときにこう声をかけた。

「またお前か。無事に家までたどり着いたわ。今までありがとうな。」



つづく







コメント

匿名 さんのコメント…
すごく楽しく読ませてもらっています。
ひゃっほい太郎 さんの投稿…
ありがとうございます!
変な事ばかり書いてもう誰も見てないと思っていたので嬉しいです♪
K谷 さんの投稿…
こないだ小辺路と中辺路を無泊縦走した時に、2晩目の
中辺路、小雲取越途中からトレイル脇の灌木が狛犬とか
変な生き物に見えたり、夜明けの大雲取越、胴切り坂で5メートルくらいの巨人僧侶が見えた(ただの木だった)りしました。すげーリアルなんですよね。
ひゃっほい太郎 さんの投稿…
K谷さんはじめして!
過去記事まで遡って読んで頂きありがとうございます!

小辺路中辺路の一気縦走ですか!K谷さんもなかなかのヤバい人とお見受けしました(笑)幻覚や幻聴は不思議な体験ですよね。自分は霊的なものは特に信じてないので脳の錯覚と割りきってるんですが、それでもそれを凌駕してくる幻覚が現れるから困ったもんです(^^;

またオモローな体験できたらブログに書いていきますので今後とも宜しくお願いします(^o^ゞ