2023-24 STMダブル760K ②結果まとめ

STM2018-19 ⑥エピソード集A

STM2018-19 ⑥エピソード集A


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<<④結果概要
<<⑤装備・食糧編

※文章ばかりなのでお時間のある時にどうぞ。

【まえがき】

いつものように時間を順序立てて書くことはやめようと思います。400キロ、5日半という長さですから、全てを書いていくととてつもない量となってしまい、せっかく読んでくれるという読者の方に苦行を強いることとなってしまいます。こちらとしても、せっかく書いたものの「長!」の一言でゴミ溜めにポイっと捨てられてしまうのは辛いものです。自身にもう少し文才があれば、それはそれで面白いものになり得るのかもしれませんが、あいにくこんな調子ですから、今回はエピソード集と称して自身が経験したエピソードを断片的に書いていこうと思います。

また、これから色々と書いていくにあたり、これだけは事前にお伝えしておかねばなりません。自分は心霊現象やオカルトといった存在を全く信じてはいません。よく周囲の方々に「夜の山は怖くないの?」と聞かれることがありますが、全く怖くないです(笑)いや、正確に言うと心霊的に怖いと思うことはないと言う意味です。不審者であったり、野犬や野生動物がいる物理的な怖さは当然あります。でもそれは夜の山に限ったものではありませんよね。また、心霊的な意味では全く怖くないと言い切りましたが、背筋がゾクゾクっとすることやこの辺りは不気味で気持ち悪いなぁなんて感じることはあります。例えば、水子の霊を祀った祠のようなところでゾクゾクっときたり、なぜか寒気がとまらず何度も後ろを振り向くようなことがあったり...。でも、そのせいで山行を諦めたという経験は一度もありません。※そんなこと言いながらも日本のホラー映画は怖くて見れません^^;


しかし、人間が勝手に作り出した心霊現象やオカルトといった類は信じないにせよ、人間の理解を超えたものの存在はあるかもしれません。神とか仏とかそういった宗教的な話をするつもりは毛頭ありません。例えば、自然。詳しいことは分かりませんが、自然現象の多くが科学的に解明されていると思います。でも、自然は未だ人知を超えた存在であるということも確かだと思います。

長い人生で考えるとたった5日半の出来事だったので大げさに聞こえるかもしれません。それに、世の中にはもっと過酷な環境下で自然と向き合われている方は大勢おられます。だから自分が特別な存在だなんてこれっぽっちも思っていません。いや、むしろ特別な存在でもなんでもないんだと思い知らされたと言った方が正しいかもしれません。

しょっぱなから何言ってんだ。って話ですよね^^;

自分でもうまく理解できていないのでこんな書き出しになってしまいました。最後まで読んでも「なんじゃそりゃ」「期待して損したわ」と思われるかもしれません。もちろんこんな訳の分からん話ばっかり書くつもりでもないです。それでは、お時間の許す限りお付き合いくださいませ〜。



【景色の変遷】

六甲から見た景色、北摂から見た景色、京都から見た景色、音羽山から見た景色、生駒から見た景色、岩湧山から見た景色、飯盛山から見た景色。大阪平野を囲うようにどんどん景色が移り変わっていく。自分が確かに移動しているということをそれらによって確信する。もし景色の変遷がなければ、目の前にある山道を黙々と消化しているだけで、何のためにこんなことやっているのか目的さえも途中で見失っていたかもしれない。

摩耶山より




【もう、こうなったら!!】

大原から夜の比叡山へ入って行く時は流石に勇気が必要だった。153km地点。昨年に比べると精神的にも身体は楽だったが、上はどれだけ雪があるか分からない。それに予定の時間も大幅に押している。ビバークなんてできるだろうか。色んな不安が渦巻いていた。

でも勇気を出して一度山に入ってしまえば、なぜかそんな不安は吹き飛んだ。一つ一つの山を丁寧に越えて行く。雪で滑って転んだ時には「これが滑り納めやなぁ」と冗談を言いながら。そうだ。今日は大晦日だ。下界に灯る明かりひとつひとつで家族団欒の光景があるように見える。そこでは紅白歌合戦がテレビに映し出され、おじいちゃんの側を孫が走り回っているのだろうか。

サクサクという足音だけが聞こえる

比叡山へ着いた頃には寒さでまいってしまい、先行きを考えるとまた不安に押しつぶされそうになった。寒さで頭がバカになったのか「どうせツェルト泊したとこで寝られへん。このまま寝ずに行けるとこまで行ってまえ!」そんな投げやりな考えが湧く。すると、不思議なことに、その投げやりさ(ある種の開き直りとも取れるかもしれない)が身体を前に進ませてくれた。

ガンガン下っていると突然睡魔に襲われた。あたりを見回すとちょうど平たい土地があって風があまりない。

えーい!もう、こうなったら!!


ツェルトを張らずにシュラフにくるまっただけでその場で眠ることにした。船長が大きく舵を切るように突然の方向転換だ。そして野ざらしのビバーク。まさか真冬の山の中でこのスタイルで寝ることになるなんて自分でも信じられなかった。ここでも投げやりな気持ちが行動に移させた。

しかし、これが案外眠れた。何やこれ。ツェルト張らんでも一緒やん。むしろ結露でビショビショになることなく快適に過ごせたし。

2時間後目が覚めると年を越していた。

※風雨がなく天候が良かったためできたことだと思う。




【ストーカー】

山中渓へ着くまでずっと傘をさした女性にあとをつけられた。
怖いというよりも、なぜ道が間違ってることを教えてくれなかったのか...





【いったいオレは何をしていたんだ】

記録をまとめていてどうも腑に落ちない時間帯がある。それは...オレンジの区間だ。



国見山からレスト(プチビバーク)することに決めた鳴川峠付近までの間の約10時間...

は?10時間だと??!!

生駒縦走路を知っている方なら賛同してくれるに違いない。どうしてそんなに時間がかかるんだ。途中でビバークしていたり横になっていたらまだしも、ずっと歩いていた(?)のにこんなに時間がかかるとは...

いったい俺は何をしていたんだ。

GPSログと自身の記憶を辿ってみると、以下の区間でとてつもない時間をかけていたことが分かった。

・飯森霊園出口〜阪奈道合流地点(むろいけ園地内)
・灯篭ゲート入り口〜鳴川園地付近(いわゆる生駒ボルダー)

おそらく寝ながら歩いていたのだと思う。夢遊病状態。そして全く記憶がないがこんな写真を撮っていた。

はい、寝とるw

手が当たったのか?それとも記録を残しておこうと思ったのか?全く記憶がない。

さらにログをよく見ていると、少し恐怖さえ覚える箇所を見つけた。


ログが飛んでいるわけではなさそうだ。おそらく方向感覚がわからなくなって同じ道を行ったり来たりしているのだろう。これも記憶にない。また、5分近く全く動かず同じ場所に留まっているようなログが何箇所かあった。たぶん立ち止まって寝ていたのだろう。それでも前へ進もうと必死にもがいていたと思うと...

いったいオレは何をしているんだ





つづく


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コメント

K谷 さんの投稿…
彩の国のインタビューから飛んできました。
面白く読ませて頂いてます。
そして、このエピソード超怖いっす!
生駒縦走路10時間の謎は鳥肌ものですわ。