2023-24 STMダブル760K ②結果まとめ

六甲全山縦走単独往復行



六甲全山縦走単独往復行 
2015.5.30

約86km
累積上層高度6039m
累積下降高度6008m
(※EPSON SF-710)

往路:8時間30分
休憩:30分
復路:11時間48分(仮眠1時間含む)
計20時間48分



消費物:ジェル(savas)×3・スポーツ羊羹×2・よもぎ大福×5・岩塩タブレット×3・おでん缶×1・ペットボトル約20本・缶ジュース10本以上

《コースタイム》
2:00宝塚ー3:57六甲最高峰ー5:36摩耶山(掬星台)ー7:25菊水山ー9:28馬ノ背ー10:33須磨浦公園駅


11:00須磨浦公園駅ー12:14馬ノ背ー15:53菊水山ー18:21摩耶山(掬星台)ー20:36六甲最高峰分岐ー22:48宝塚

【前書き】
なぜこんな馬鹿げたこと(当の本人は全くそうは思っていない)をしようと思い立ったのか。自分でも不思議である。今年4月の中旬頃、箕面から京都高雄へ通ずる東海自然歩道の一部を歩いた。


その時は新ルート開拓という軽い気持ちで箕面から高槻までを歩いたのだが、「もしこのルートを完全に開拓できれば、箕面から伏見稲荷までトレイルがつながる!」と興奮してしまった。京都高雄からは京都一周トレイルに入るので、箕面から京都高雄までの50数キロと京都高雄から伏見稲荷までの70kmで計約120kmものトレイルコースが出来上がる。また、箕面より西側には須磨浦公園から宝塚を結ぶ六甲全山縦走路(約45km)があり、ロード区間で宝塚と箕面を結べば広大なウルトラトレイルが可能となる。さらに言えば伏見稲荷と生駒縦走路、ダイトレ、紀泉アルプスを結べば、兵庫、京都、奈良、大阪に渡るとんでもないウルトラトレイルコースが可能となる。便宜的にこの超ド級コースをUTGK(ウルトラトレイルぐるっと関西)と名付けることにする。

関西に住んでいる以上はいつかはやってみたいUTGK。しかしこれはそう簡単にできることではなく、体力はもちろん、ルート把握や技術、経験が多分に問われることである。そもそも自分にはウルトラ級のトレイルコースを走りきることができるのだろうか?という疑問が生まれた。そこで目をつけたのはこのUTGKの出発点に当たる六甲全山縦走路である。

六甲全山縦走路は今までに計2回走った経験がある。

この時は大雨で登山道が川になっていた

45kmとは言え累積標高は3000mを超える厳しいコースだ。往復すれば90km近い距離で6000m以上の累積標高を獲得することができる。これは一般的なトレイルレースと比較しても低山ではあるが比較的厳しいコースと言えよう。これを完走できなければUTGKはおろか、きっかけにもなった箕面から伏見稲荷をつなぐ120kmも不可能である。六甲全山縦走往復というとキャノンボールを思い浮かべる方がおられるそうだが、今回の往復行は単独ゆえに順位を競うものでもなく、仲間と協力するわけでもない。また、泊まらずに一気に走り通すものであり、途中のエイドも存在しない。よって別物である。

以上が六甲全山縦走単独往復行を行ったきっかけである。
それでは

【記録】

《往路:宝塚~須磨浦公園》
深夜2時仕事終わりに宝塚へ直行し行動開始。


深夜の独りでのトレイルは怖いが、心拍数を上げればそれどころじゃなくなる。東六甲縦走路を難なく突破し六甲最高峰まで2時間弱。神戸の夜景を独り占め。


六甲最高峰


これがほんとの神戸の夜景

ガーデンテラス付近で完全に夜が明ける。早朝のロード区間は快走。

ガーデンテラスを駆ける

摩耶山を降りる天狗道から登山者に会い始める(後で分かったことだが、あの中にJさんがいたそうだ)。
天狗道

動画。この時はまだ余裕があった。

市街地で何回か道に迷う。菊水山以降体調が芳しくなく、登りで全く力が入らない。

市ヶ原

菊水山山頂

鵯越からの市街地

何度コーラを飲んだか

須磨アルプスを代表とする馬ノ背

高倉台

旗振山山頂

10:30須磨浦公園到着。

須磨浦公園駅

暑さにやられ、この時点でかなりグロッキー状態。飲み物以外のどを通らない。まずここでリタイアするか真剣に考えた。軽い熱射病状態で、水をかぶろうが飲み物をいくら飲もうが身体の熱が全くとれない。30分ほど木陰のベンチで横になる。

軽い熱中症

FBの坂好練習会ページやジョグノを見るとたくさんコメントが。ここであきらめようとしていた自分が情けない。よし!頑張ろう!

《復路:須磨浦公園~宝塚》
来た道をすぐに登り返していくというのは精神的にもの凄く辛いものがある。この先の道はつい先ほど通ったばかりなので、イヤでも頭が記憶している。「次は鬼登りをして激下り、その次はまた登って・・・」というように山を楽しむどころか、全てをネガティブに考えてしまっていた。そこに容赦ない日中の暑さが追い打ちをかけてくる。

二度目の馬ノ背

そんな時、往路で会った登山客に「あの時の?もしかして往復ですか?!」と声をかけられ元気を取り戻す。しかし長くは続かず、ついに高取山の登山口でダウン。登りが全く登れなくなっていた。身の危険を感じ、鵯越駅までは這ってでも行ってそこでリタイアしようと決意。ここまでリタイアを決意したのは初めて。登山口の公園で1時間ほど寝る。しかし疲れはとれずフラフラした足取りで高取山を何とか攻略。鵯越駅へ向かう市街地でロードなら走れることに気づく。まだ走れる、これで諦めたら何のために誰も得をしない往復行をしているのか意味が無い。登りはとことん歩いたらいいじゃないか。レースじゃないんだしタイムなんてどうでもいい。何時に着いたっていい。下りならゆっくりでも走れる。でもロードは頑張って走ろう。あれだけリタイアを決意した鵯越駅はあっさり通過し、気づけば菊水山の登りに悪戦苦闘していた。

二度目の菊水山。きつかった。

摩耶山への登りである天狗道、これもきつかった。ここを乗り越えれば激しい登りはなくなる。その思いだけで登った。摩耶山の掬星台に着いたのが18:20頃。この辺りから2度目の夜に突入。六甲ガーデンテラスはディナータイムなのかカップルだらけ。そんな中をヘッドラつけて汗臭さマックスどろどろ野郎が駆け抜けて行く。おれは何をしてるんだ・・・。

ガーデンテラスで自撮りする元気はなかった

極楽茶屋にて自販機を物色していると「おでん缶」発見!無我夢中で食べる。うまい。320円はちと高いけど夜景を独占しながらの「おでん缶」は忘れられない味となった。

こてんぐ

20:36六甲最高峰分岐に到着。復路は最高峰踏まず。許して下さい。ここからは何度も走ったことのある東六甲縦走路。残り10kmちょっと。普段なら楽しく下れるはずが、苦痛でしかない。長い!長過ぎる!!足裏の感覚がおかしくなるが一歩でも前へ進まなければゴールへは近づかない。そして22:48宝塚へ到着。

完走

もちろん大会じゃないし誰も迎えてくれない。でもこれほど達成感があったのは他にない。「おれは何をしてるんだ」六甲全山縦走往復行の最中、何百回も考えた。強くなるため?いや違う。タイムアップ?いやそれも違うな。自己満足?うん、否定はできないがそれだけじゃない。・・・。やはり答えは見つからない。もしかしたら「オレは何をしてるんだ」って思うために山に入ったのかもしれない。



【後書き】
UTGKという実現不可能であろう超ド級の企画のために、まず手始めとして臨んだ六甲全山縦走単独往復行。結果として完走できたものの、登りの弱さ、メンタルの弱さが浮き彫りになり、UTGKはおろか100kmや100マイルのトレイルレースも完走できる自信を失った。しかし得たものもある。いくらしんどい状況でもそこを我慢して乗り越えることができれば、また調子が戻って走ることができるという事を身をもって経験できた。あきらめなければその先がある。キレイ事は嫌いなのであまりこんな事は書きたくないが、復路の鵯声駅でリタイアを決意していれば天狗道もおでん缶も経験できなかった。そしてUTGKへの夢もあきらめたかもしれない。正直言って、最後の宝塚への下りの時にはしんどさのあまり「こんな事はもう2度とするか」と思ったが、不思議なものである。このブログを書いている今、次は宝塚から箕面までのルートを開拓せねばとあれこれ調べている自分がいる。ロードだけかと思いきや宝塚と箕面間にハイキングコースが多数ありトレイルでつなげることも可能かもしれない!下見に行かなければ…笑  当分、UTGKへの熱は冷めそうにないな。。


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