2023-24 STMダブル760K ②結果まとめ

熊野古道150K(九度山〜本宮〜紀伊田辺) ④レポ〜小辺路編〜

熊野古道150K(九度山〜本宮〜紀伊田辺) ④レポ〜小辺路編〜



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いよいよ小辺路へ。
高野山と本宮を繋ぐ最短ルートであり、1000m以上の峠を5つも越えるなど熊野古道の中でも大変厳しいルートの一つ。なかでも伯母子岳(伯母子峠)・三浦峠・果無峠の三連荘はは想像以上!!
いざ本宮へ♪( ´θ`)ノ





【レポ〜小辺路編〜】

▶︎▶︎小辺路 66.0km↑4649m
〈高野山金剛峯寺〜大滝〜大股〜伯母子岳〜三浦峠〜道の駅昴の里〜果無峠〜熊野本宮大社〉



地点距離時刻経過時間区間タイム
高野山金剛峯寺21.112/07 11:363:20:003:20:00
レストなし
高野山金剛峯寺21.112/07 11:363:20:000:00:00




高野山にある宿坊で宿泊してから本宮へ向かうのが一般的だが、休憩は特にせずそのままの足で小辺路へ足を踏み入れる。舗装路から林道のような道に変わり勾配もそこまでキツくないので走れてしまう。さすがに昼から小辺路を歩く方はいないのだろう、この先大股まではハイカーとは誰とも会わなかった。

走りやすい道がつづく



地点距離時刻経過時間区間タイム
大滝集落26.812/07 12:304:14:000:54:00

標高を一旦下げ、有田川の源流である御殿川を渡り、また舗装路をガツンと登ると大滝集落に出る。洗濯物が吊り下げられた民家の脇を音を立てないように通り過ぎ、登山道を登っていくと高野龍神スカイラインに合流する。ここから水ヶ峯分岐まで1.7kmほどこのスカイラインを走ることになるので車には注意が必要だ。

美しい御殿川を渡る


大滝集落
公衆トイレもある


高野龍神スカイラインとの合流地点
ゆったりとした登りがつづく
これが地味にきつい


水ヶ峯分岐
ようやく登山道に入れる


水ヶ峯分岐地点には熊出没注意の看板がこれでもかというほどある。熊野古道は熊が多数生息しているらしい。12月といえど最近の熊は冬眠しないと聞く。それどころか餌を求めて人里まで出てくるなんて話もあるくらいだ。これ以降は熊鈴をポールに取り付け、怪しげな雰囲気な場所では奇声を発しながら進んだ。ピークを過ぎるとあとはひたすら下っていけば大股に到着する。

Beware of Bear!!

グネグネの木




地点距離時刻経過時間区間タイム
大股37.512/07 13:595:43:002:23:00


大股
自販機・トイレもあるので伯母小岳に備えられる


大股の自販機で念のためダカラを購入する(水は売り切れだった)。と言っても、朝から6時間近く経過しているがこれまでに消費した水はまだ0.5Lにも満たない。冬場というのも関係しているが、最近水分の消費量が昔と違って極端に少なくなっている(結局全体を通して見ても4L以下)。今後水を得られにくいような山域や長期に及ぶチャレンジをする際には水を大量消費せずに動き続けられる身体は大きなアドバンテージとなるだろう。もちろん身体に良いかどうかは別の話ではあるけれども...


ベンチに腰掛け持参したパンを食べる。もぐもぐ。民家や道路にも人の気配は一切ない。聞こえるのは下を流れる川の音と自分の咀嚼音だけ。ロールパンにQBBチーズとカルパスを挟んでひとつひとつをラップしてきた。飽きのこないシンプルな味で塩分やタンパク質も同時に摂れる。ここに蜂蜜を加えてもいいだろう。ちなみに今回の山行は無補給(食糧は持参したものだけ)をマイルールとした。この点についても今後の長期チャレンジを見据えた実験的試みだ。

大股から突如として始まる急登


大股の集落を縫うように細い路地を登る(ものすごい傾斜だ)とすぐに伯母子岳へとつづく登山道が始まる。山頂までおよそ6kmで標高差700mを登る。特に前半は壁のような急登がつづく。さすがにこの登りには閉口せざるをえないが逆に歩ける区間や!と割り切って黙々と登り続けた。ある程度標高を稼ぐとなだらかな尾根道へと変わり、山頂へ続く(?)山の稜線が見え始める。

伯母子岳山頂への分岐
左に行けば山頂を巻くことができる


もちろん山頂を目指す。標高を上げるにつれ気温が下がっているのがありありと分かるが急登のおかげで手足は暖かい。風も少しづつ強くなり始める。500mほど進むと開けた場所が見えてきた!




地点距離時刻経過時間区間タイム
伯母子岳42.912/07 15:227:06:003:46:00

伯母子岳(1344m)
風が強い

雪をかぶった大峰の山々が見える


360度の景色をじっくりと堪能したかったが、風が強く長居すると体力が奪われそうだったので早々に降りることにする。眼下に広がる山々を見ながら下るとすぐに伯母子峠に到着する。三田谷橋と書かれた南方面に進路を取る。

伯母子峠
避難小屋?がある


伯母子峠から三田谷橋まで8kmその標高差は約1000m。この下りは走りやすく思わずスピードが上がってしまう。もちろんまだまだ大きな峠越えが2つも残っているので足を使い過ぎないように気をつけなければならない。熊野古道には茶屋や旅籠などの史跡が点在していて解説の看板もあったりする。足を止めてひとつひとつを読みながら昔の人の様子に思いを馳せながら下り続けた。

旅籠 上西家跡
巡礼客が大勢泊まり夜遅くまで御詠歌で賑やかだったらしい
200年という歳月を越えて彼らの声が聞こえてきそうだった


名物の石畳
雨の日は滑りやすそうだ


ロードに出る手前でトレイルランナーの格好をした男女ペアに追いついた。軽く挨拶だけして先行させてもらう。その時はん?三浦口の宿泊施設に泊まるんかな?その割には軽装やったな。くらいに思っていた。


三田谷橋を渡りトンネルを抜けると五百瀬の集落に出る。あぁ懐かしい!!思わず声が出る。過去にタカさん率いる坂好練習会の夏合宿で小辺路を1泊2日で行った時に宿泊した場所だ。その時の記事は...あった!2015年やから4年前か。みんな若いな(笑)


→→熊野古道 小辺路 〜坂好練習会★夏合宿2015〜
お時間ある方はぜひ

*おすすめ宿泊施設*
農家民宿「政所」(辻)
農家民宿「山本」

売店のおじさんは元気だろうか
営業してるか謎...だ




地点距離時刻経過時間区間タイム
三浦口52.012/07 16:448:28:005:08:00

そこから少し走ると三浦口バス停近くの路地に登山口がある。確か自販機があったはず...あた!!吊り橋を渡る手前に無人販売所のような店(?)がある。ショーケースには原木椎茸とウイダーinゼリーが陳列されている。なんともシュールな組み合わせだ。自販機でホットコーヒーを買いパンとナッツを食べる。日が落ちてきたのでヘッドライトも準備しておく。15分ほどの小休止を終えると吊り橋を渡って三浦峠へ向かう。

無人販売所


吊り橋を渡って三浦峠へ


登山道に入ると光が木々に遮られ一気に暗くなってきた。暗い山に入ることは慣れているが心配事といえばやはり熊さんだ。こればっかりは自分の力ではどうしようもない。遭遇し襲われたらひとたまりもないだろう。シャンシャン熊鈴を必要以上に鳴らし、独り言を絶やさないようにする。
※今回の山行では運よく遭遇することはなかった。

三十丁の水
チョロチョロと出ていた


真っ暗な夜道をグネグネと登って行くと見晴らしの良い場所に出る。と言ってもすでに真っ暗なので景色はない。集落の灯りがポツンポツンと見える。遠くの山々が月光に照らされてうっすらと浮かび上がっている。さらに登っていると林道と合流する場所に出る。




地点距離時刻経過時間区間タイム
三浦峠55.812/07 18:069:50:006:30:00

三浦峠
西中まで実質7.5kmくらい

auの電波があったので峠にある東屋でtwitterを更新する。見てくれてる人がいると思うと心が温まる。じっとしていると手先の感覚がなくなりそうだったので休憩もそこそこに下山を開始する。またもや西中まで一気に下る。小辺路は登り下りがハッキリしているのが特徴だ。日本ではこういったロングトレイルは他にあまりないのではないだろうか。


ん?こんな時間に人か?!
お前が言うなw

快走していると何やら前方にヘッドライトの灯りが見える。近づいて声をかけると女性のランナーだった。話してみるとどうやらチームの練習会らしい。なるほど。三浦口手前で見た男女ペアもこのメンバーだったわけだ。どこまで行くのか尋ねると西中でチームの方に車で拾ってもらえるらしい。もうバスもない時間だったからそれを聞くと安心して先行させてもらう。

〇〇さーん!!〇〇さーん!!

ロードに出たところで車から声をかけられる。練習会のメンバーと勘違いされた。後ろにいることを伝えてあげた。



地点距離時刻経過時間区間タイム
西中62.912/07 19:1410:58:007:38:00

425号線をひたすら走る


西中バス停付近で標識を見落としなぜか逆走するという謎のロストをする。西中からは長い長いロード区間が始まる。道の駅昴の郷までおよそ8km。アップダウンはほとんどないが歩くと途方もなく時間がかかってしまう。空腹感が襲ってきたのでパンをモシャモシャ補給していると、後ろから一台の車がやってきてスーッと窓が開く。

もしよければ近くまで乗せますが大丈夫ですか??

先ほどのチームの車だ。ありがとうございます。大丈夫ですよ。と返事して気づいた。あ、そうか。バスもないこんな時間に走っている自分がおかしいんや。本宮まで行くとしても到着するのは真夜中。こいつは一体こんな時間にどこへ向かってるんや?そう思われたに違いない。。




地点距離時刻経過時間区間タイム
道の駅昴の郷70.512/07 20:1311:57:008:37:00


道の駅昴の郷
宿泊施設もあるようだ


1時間ほど走ってようやく道の駅昴の郷に到着。自販機で水を買い地べたに座って補給する。さすがに夜になると寒さの質が変わってきた。ここまでメリノウールの長袖一枚だけだったのでファイントラックのアンダーウエアを着る。

駐車場の奥にあるトンネルを抜ける





恐ろしげな柳本橋を渡り「天空の郷」と呼ばれる果無集落へ向かう。ここは小辺路の中でも一番有名な場所かもしれない。果無山脈を始めとする山々に囲まれた集落であり、日本の古き良き原風景が今尚残されている貴重な場所だ。と言っても残念ながら真っ暗で何も見えない。あの有名なおばあちゃんがいるお家も雨戸が閉ざされ静まり返っている。唯一の救いは月と星空を独占できたことだろうか。

果無集落
有名なお家

ここからも急登が始まる。さすがに疲労を感じざるをえない。5~6kmで標高差1000m近くを一気に登るのだから果無越えは小辺路一番の難所と言えるだろう。この登りで何を考えていたのだろうか。全然思い出せない。黙々とヘッドライトに照らし出された山道を追いかけていたように思う。




地点距離時刻経過時間区間タイム
果無峠76.612/07 21:5113:35:0010:15:00

果無峠(1114m)
観音堂に着けばピークまであと少し


果無越えには八木尾(本宮側)から櫟砂古(果無集落側)にかけて西国三十三所観音の石仏が一定間隔で置かれている。つまり果無側から進んだ場合は逆打ちで回ることになる(31~33番は道から外れた場所にあるので通っていない)。それにしてもここ最近自分の行く先々で西国三十三所に関わるものがある。これは偶然なのか、はたまた何かの啓示なのだろうか...


ピークからは八木尾方面に一気に降る。また1000mの高度差だ。足場に気をつけながら慎重に下っていく。激下り。と言うことは本宮側から登る方がさらに厳しいルートかもしれない。徐々に下界の雰囲気が近づいてくると民家のような脇を通って車道に出る。


何も見えない
おそらく蛇行する十津川の合間にある本宮の町並みがあるのだろう

車道に出たら本宮までもうすぐかと思うとそうでもない。実質6kmくらいあるのだろうか。この区間が地味にキツい。本宮大社までは全て舗装路で行く方法中辺路の一部区間を利用する方法の2通りの行き方がある。もちろん中辺路で行くことにする。道の駅ほんぐうの少し先にある平岩バス停で右に登っていくと中辺路と合流できる。

本宮までの行き方

山道を2kmくらい登って下ると熊野本宮大社の裏側に出る。通常はここから入っていけるが夜間だからか進入禁止の看板があるので回り道して表側へ。




地点距離時刻経過時間区間タイム
熊野本宮大社 87.112/07 23:5015:34:0012:14:00
レスト0:25:00


熊野本宮大社

もう少し感動するかと思ったら全然しなかった。何度か来てると言うのもあると思うが、おそらくここをゴールにしていなかったからだろう。深夜0時。もちろん誰もいない。トイレで鼻水やら汗やらでドロドロの顔を洗い流し、大社前にある自販機でホットのカフェオレを買い補給する。そしてスマホやヘッドライトの電池などを新しいものに交換しておく。

さぁここからいよいよ中辺路だ。この先2通りの行き方がある。

・那智方面(50kmくらい)
・紀伊田辺方面(65kmくらい)

どっちに抜けるか悩んだが予定より早く本宮に着いたので紀伊田辺まで行ってみることにした。


無表情(笑)


つづく



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