2023-24 STMダブル760K ②結果まとめ

単独!六甲全山縦走2往復!!〈176K〉③レポ前編

単独!六甲全山縦走2往復!!〈176K〉③レポ前編


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色々とネタが溜まってますが頑張って仕上げて行きますので宜しくおねげぇいたしやすぅ〜





【1往復目】

▶︎▶︎1本目〈阪急宝塚駅 → 須磨浦公園駅〉


仕事を終えると事前に準備していたザックを背負い終電に飛び乗った。

午前0:20頃、阪急宝塚駅にあるコインロッカーに着替え一式を突っ込み、何かの儀式を行うように一つ一つ丁寧に準備していく。ふと気づくと最終電車も過ぎたようで構内には誰も人がいなくなった。


距離時刻経過時間区間タイム
宝塚駅0.011/16 00:570:00:000:00:00




このワクワク感は一体何なんだろう。不安や恐怖もある。でもそれ以上に、もしそれを成し遂げた時どんな世界が待っているのかといった好奇心で満ち溢れていた。それはまるで探検家が未知の洞窟へと入っていくような気分と似ているかもしれない。

市街地から標高を上げるにつれ気温がぐんぐん下がっているのを実感した。塩尾寺に到着した時ふと時計をみるとここまで27分くらいだったことを覚えている。

六甲最高峰までは東六甲縦走路を駆け上がる。片道だけならここは文字通り駆け上がっていけるのだが、なんせ今回は2往復しなければならない。いきなり心拍数をガンガンに上げて走ってしまえば絶対に最後までもたないことは明らかだ。

トレッキングポールを取り出し、登りは積極的に歩くよう心がける。平坦や下りではチョコチョコと小気味良く走っていく。自分のザックにはポールホルダーが付属していないので、100均のヘアゴム(4本)とコードストッパー(4個)でザック前面部に取り付けられるように改良していたのは良かった。いずれも100均で揃う。


距離時刻経過時間区間タイム
六甲最高峰11.111/16 03:062:09:002:09:00


もちろん誰もいない。最高峰付近からの夜景は完全に独り占めだ。はっはっはっ。夜のカポーたちよ。どーだ羨ましいだろー。はっはっはっは。乾いた笑い声だけが山に響いた。
『六甲全山縦走路』と書かれた案内標識を伝うようにして進んでいく。六甲は車道も多いのでショートカットをする方法もあるようだがそれだと意味がない。


距離時刻経過時間区間タイム
摩耶山(掬星台)20.711/16 04:453:48:003:48:00



掬星台まで4時間弱。かなり抑えた感じだ。おそらく気温は一桁前半だったと思われるが、防寒着を着なくてもいいくらい完璧なウエアリングだった。下は短パン、上はファイントラックのノースリーブにメリノウールの長袖のみ。結果的にこの山行を通してメリノウールの凄さを実感することになる。

摩耶山(掬星台)は距離的に片道の中間地点となる。残り4時間〜5時間で行けば9時間以内で到着できそうやな。全体的なイメージとしては9、9、10、10の40時間以内完走が目標だ。

鍋蓋山を過ぎた頃から少しずつ明るくなってきた。なんせレースと違い、仮眠ができていないので若干の眠気と戦いながらのスタートとなっていたから夜明けは凄く嬉しかった。

ご来光@菊水山山頂


距離時刻経過時間区間タイム
高取山35.111/16 07:436:46:006:46:00

高取山から降りると縦走路唯一のコンビニ(ローソン)がある。温かい朝食を食べたい欲に駆られ足を運んで商品を手に取ってみるが、すぐに商品棚に戻して何も買わずに店を出た。

おいひゃっほい
食料はしっかり持ってきてるやろ
できるだけコンビニに頼らずに進まんかい

これは2往復チャレンジをするに当たり自分に課したルールだ。なぜ?と聞かれても返答に困る。ただできるだけ(もちろん完全ではないが)自力でやることがエンデュランスの基本姿勢なように思えたからだ。まぁ終盤ではお世話になるわけだが。

須磨アルプス1回目

この頃にはハイカーの方も増え始める。今日は天気も良く絶好の行楽日和だ。もしかしたら2本目行った時に会うかもなぁなんて考えながら挨拶を交わす。実際にお会いすることになる方も数組いた。

旗振山付近より明石海峡方面を望む



距離時刻経過時間区間タイム
須磨浦公園駅44.011/16 09:228:25:008:25:00



▶︎▶︎2本目〈須磨浦公園 → 阪急宝塚駅〉




距離時刻経過時間区間タイム
須磨浦公園駅44.011/16 09:228:25:008:25:00
レスト0:09:00
須磨浦公園駅44.011/16 09:318:34:000:00:00

片道およそ8時間半。我ながらいいペースだ。当初は7時間半で行って貯金作っといた方がええんちゃうかなんて考えていたが結果的に飛ばさなくて正解だったと思う。



ご褒美に駅の自販機で缶コーヒーを買い、持参していたパン(ロールパンにqbbチーズを挟んだもの)を黙々と食べながら至福のひとときを過ごす。

そしてすぐに出発。滞在時間の目標は10分以内。休憩するとあっという間に時間が過ぎ去っていく。この感覚は長距離レースに出られる方なら共感してもらえると思うが、ちょっとした休憩にも関わらず、気づけば15分、いや30分近く経っていることだってある。もちろん休息も必須だが、必要以上に取ってしまうと気持ち的に再出発したくなくなる可能性もあるのから要注意だ。


カツンカツン。ポールを駆使しながら来た道を登り返していく。余計なことは考えずただただ目の前の道を黙々と消化していく。ハイカーさんとの朝の挨拶が気持ちいい。


便意を催したので、高倉台のスーパー(ここも縦走路上にある補給箇所)付近で地元のおじさんにトイレの場所を聞くと丁寧に教えて頂けた。自治会のトイレらしく誰でも使用可能なようだ。



あれ?さっきの??

追い抜き際に往路で出会った何人かの方から不思議な顔でこう尋ねられた。往復している旨を伝えても「え....」というリアクションでどうもピンと来ていない様子。2往復しているなんてとてもじゃないが言えなかった。

須磨アルプス2回目



距離時刻経過時間区間タイム
高取山53.211/16 11:2010:23:001:49:00

高取山の公衆トイレで入念に顔を洗う。かなり気温が上がっていたので下に来ていたファイントラックを脱ぎメリノウール長袖1枚だけになった(深夜までこの格好で過ごせた)。

丸山町に降りると鵯越駅まで登りのロード区間が続く。ここでもチョコチョコ走りの出番だ。しかし完走が危ぶまれる嫌な兆しが現れたのはこの辺りから。

膝が痛ぇぇ´д` ;

左膝に嫌な痛み。古傷と言えるようなもんでもないが、過去に左膝に痛みが出て思うように走れなくなった経験が何度かある。ここ最近は静かにしてくれていたのに今になってギシギシと痛むようになってきた。何度も立ち止まっては屈伸を繰り返す。おそらく(というか明らかに)疲労が溜まっているのが原因だろう。


・2週間前 長崎橘湾238km
・1週間前 110kマラニック、20kmトレイル
・そして六甲全縦2往復


調整もクソもあったもんじゃない。でも自分が今後したいと思ってるチャレンジではこんなことくらいでヒィヒィ言っていてはとてもじゃないが走りきれない。


菊水山から鍋蓋山の登り返し


そんなことを考えていると膝の痛みが現れていることまで何だか楽しくなってきた。目の前の登り返しも凄く楽しく感じる。気持ちよく走っていては何も得るものはない。日常生活ではまず起こらない様々な不快感やトラブルがすぐ側にあるのが嬉しくなった。


何かレースとか出てるんですか?

市ケ原の自販機で水分を補給していると3人組のハイカー(見た目はトレランスタイル?)のうちの一人の女性に話しかけられた。往復していることを話すと大そう驚かれ、意を決してこれから2往復する旨を話すとさすがに「え...」と言葉を詰まらせていた。聞くと彼らも宝塚に向かって全縦中らしい。じゃあまた折り返したら会えますね!なんて言って先行させて頂いた。

摩耶山への天狗道に入る。さすがに疲労の色は隠せないがまだ足はスムーズに動いた。ここを乗り越えられれば復路の難所を越えたことになる。

ヘロー

外国人観光客だろうか。言葉や見た目の感じからして東欧系の方。ロシア人ぽい。4人組だったがそのうちの一人が自分について来た。まぁどうせすぐに息切れになるだろうなんて思っていたら、全然離れない。何か楽しそうな声でブツブツ言ってるがロシア語なんて全く分からない。ドストエフスキーは愛読書なのでラスコーリニコフ!とかアレクセイ!なんて言っても全く役に立たないだろう。

長身を活かした長いストロークでガンガン登ってくる。気づけばこちらもフルパワーで登っていた。さすがにランナーでは無さそうで下りが苦手なせいか次第に気配はなくなった。おかげで早く登りきれたが無駄な体力を消耗してしまった。



距離時刻経過時間区間タイム
摩耶山(掬星台)67.211/16 14:1613:19:004:45:00


何かの催し物?
肉やカレーの匂いが充満していた


丁寧に縦走路を伝って三国池、記念碑台、六甲ガーデンテラスを通過する。そして極楽茶屋で補給。ここも10分以内で手際よく済ませる。時計を見るとかなりいいペースだ。下手したら往路よりも復路の方が早くつくかもしれない。



距離時刻経過時間区間タイム
六甲最高峰76.511/16 15:5915:02:006:28:00



1回目と異なりハイカーで賑わう最高峰を足早に立ち去り東六甲縦走路に突入する。ここから宝塚まで長い下りの区間だ。1往復ならこれで終わり!と全力で飛ばせるのだが、まだ全行程の半分にも達していない。足を使いすぎないよう心がけながら淡々と下っていく。

次第に暗くなってきたので早めにライトを点灯させる。長い間山を走っていて一番の疲労の元は視力によるものだと思う。特に薄暗くなると見えにくくなり、コンタクトをしていても疲労のせいかかなりボヤける(乱視がひどい)。そうすると目を凝らすので疲労がどんどん溜まってくる。これは山を走る上ではかなり不利かもしれない。ただ今回の山行でその疲労を少しでも軽減できる方法を発見した。それについては2往復目(次の記事)でご紹介したい。と言っても全く大したことではないので期待はしないで欲しい。


塩尾寺を過ぎるとロードをガンガン下って標高を下げていく。塩尾寺で折り返す手法もあるようだが塩尾寺は確か標高が400m近くあったはず。ここで折り返していては真の往復とは言えないだろう。ギシギシと痛む左膝をかばいながら市街地まで降りると、またここを折り返さなければならないクレイジーさに思わず羞恥心さえ感じてしまった。

そして...



1往復目
宝塚〜須磨浦公園8:25:00
16:49:00
rest0:09:00
須磨浦公園〜宝塚8:15:00




つづく



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