2023-24 STMダブル760K ②結果まとめ

単独24時間以上マラソン@大泉緑地 〜6人の使者とともに〜 前編


単独24時間以上マラソン@大泉緑地 〜6人の使者とともに〜 前編


【概要】

《日時》
2016.1.30 12:50スタート

《コース》
大泉緑地公園内外周(1周約3km)


《ルール》
・24時間以上走る
・計測はgps腕時計を使用
・補給・着替えなどは自由

《結果》
24時間19分19秒
165.0km(約55周相当)

《温泉
亀の湯

《駐車場》
大泉緑地第1駐車場
※24時間まで最大料金1030円



【まえがき】

あまりにも書きたい事があり過ぎてまとめきれない。そのため前編・後編の全2回にわたってお届けする。前夜に当ブログでアップした通り(アップしてしまったことにより)、大泉緑地で24時間走をすることとなった。誰かに命令されたわけでもなく、誰かに求められたわけでもない。ただただ簡単に、近場で、手っ取り早く、安価に、そして安全に、できるだけ過酷なことに挑戦してみたいという『内なる衝動』からである。しかし、これも前日の深夜のテンションによるものであり、翌朝にはそれとは対照的にとてつもないほど冷静になって後悔の念に苛まれるかと思いきや、朝起きた時から異常なほどの興奮状態で、一刻も早く家から飛び出したいというもはや病的とも言えるテンションであったことを白状しておく。さらに言えば興奮しすぎて寝つきが悪く熟睡できなかった。これほどのワクワク感は大会当日でも経験したことがない。この気持ちは何だろうか。強いて言えば、小さい頃に親に隠れて何か悪さをするようなあの感覚に似ているとも言えようか。では、前置きはこれくらいにして、本題へ入っていこう。時間は当日朝のことである

【本編】


《朝》

まえがきにも書いた通り、当日朝は異常なほどの興奮とともに目覚めた。外は雨がシトシトと降っている。起きるなり布団の中で天気予報をチェックすると昼からは天気が回復するようだ。スタートの13時までまだ時間はある。前日にディスカウントストアで補給食やドリンク等は購入済みなので、着替えなどを準備するのみである。だらだらと過ごして気づけば正午を過ぎていた。急いで荷物を車のトランクに詰め込み、シューズも一瞬迷ったが何があっても良いように4種類のシューズを文字通り放り込んだ。



大泉緑地までは自宅から5kmほどである。この近さは非常に便利であるが、万が一途中で走るのがイヤになってしまった場合すぐに家へ帰れてしまうという大きな難点がある。しかし今はそんな心配などつゆ知らず、早く走り出したいというほどのモチベーション。自分をよく知る人なら分かってもらえるだろうが、この事態はよく考えれば考えるほど異常な状況である。練習でも公園内を一切走らないほど周回コースが苦手(というか嫌い)であるにも関わらず、公園に行くだけで今まで経験したことのないようなワクワク感に襲われている状況なのだ。やはり異常である。

車を第1駐車場へ停める。この駐車場が公園内のコースから一番近くにあるので、車のトランクをエイド代わりにするには好都合な場所である。時刻は12:40過ぎ。予定では13:00にスタートするつもりであったが特に何もする事が無かったので、予定より10分早めて12:50にスタートした。(この10分も待てなかったという事実だけで、どれだけ当の本人が興奮状態だったかがお分かりになるだろうか…)


《使者あらわる》

12:50スタート。一周3kmのコース。何も特筆すべき事は無い…。至って普通の公園のコースだ。強いてコースの特徴を挙げるなら、長居公園よりも道幅が広く、緑が多く、アップダウンが少しあるくらいだろうか。そもそも公園内を走るという経験が少なすぎるので他の公園と比較しようにもよく分からない。大泉緑地を選んだのも「家から近い」というただそれだけ理由である。


スタートして間もなくメールでジョグノート仲間の「さちお(以下さっちー)」から連絡が入る。『何時にスタートするのか?』といった内容だ。実は当ブログ以外にジョグノートにも今日の事を少し書き込んでおいた。おそらくそれを見て、冷やかしのメールを送ってきたのだろう。さっちーとはまだ一度も会った事がなく、普段ジョグノートで訳のわからないコメントのやり取りをしている間柄である(どんな間柄だ…笑)。もう走っている旨を連絡すると、『3時くらいに差し入れ持っていくわー』と返信があった。ほんまかいな。そして、3時とは昼の3時なのか深夜3時なのか…

24時間走ということはあまり意識せず走ってて気持ちのよいと感じるペースで走る。キロ5'25くらい。これでもジョグペースで走っている他のランナーを抜くことがあれば、ペース走をしているのか猛烈な勢いで抜き去るランナーもいる。雨上がりで路面は少し濡れているが、時折日差しもあり半袖半パンにアームカバーでちょうど良い。

大泉緑地7周分である21km通過が1時間54分くらい。そろそろ3時になるなぁ、なんて気分で走ってると公園には似つかわしいほど真っ赤なコートを着た女性がぽつんと一人でこちらへ向かって歩いてくる。もしや?!お互いに写真では見たことはあるが実際に顔を合わせるのは初めて。やはりさっちー!顔を見合わせるなり「これ!」と手渡してくれたのは何やら手作りのお菓子に炊き込み御飯のおにぎり入った紙袋。そして機関銃のごとく続けざまに「これ!」と手渡してくれたのは某有名ブランドのチョコレート。『もう2年くらい会わないだろうからバレンタインのチョコを先に渡しとく!』とのこと。初対面でしかも1対1なのでお互いに人見知りが発動してしまい、写真だけ撮って「帰る!」と言ってほんとに帰ってしまった。別れた後、駅まで送れば良かった!と後悔して追いかけるもすでに遅し。

なぜ2年?!


《第一の波》

30kmまで走ったらさっちーからもらったおにぎりを食べることを目下の目標として走る。公園の周回コースでは目標が無いので食べ物や飲み物をエサにして走るしか無い。30kmの時点で2時間42分。その時は気づかなかったが後になってラップを確認するとさっちーが現れてからの10kmは平均キロ5分にペースアップ。余程おにぎりが食いたかったのだろうか。それとも来てくれた事が嬉し過ぎたのだろうか。まぁ後者であるのは間違い無いのだが。30kmを走り終えるとトランクを開けてさっちー特製おにぎりを2個掴み取る。おそるおそる一口。さっちーとは初対面。毒でも盛られていたら大変である。ゆっくりと咀嚼。…むむむ?!

うまいやないかーーーーい!!

炊き込み御飯の香ばしい風味が口いっぱいに広がる。なんと表現すれば良いだろうか。田園の風景が広がるというのだろうか。ゆっくりと味わいながら1周、また1周と走る。そんなこんなでちょうどフルの距離である42kmを通過。時間はほぼ4時間ちょうど。35kmから走るペースが落ち始めたこととエイドやトイレに寄る回数が増え始めたのがペースダウンの原因だろう。そして、フルの距離を過ぎると気力が低下し始めた。もっと簡潔に言うと『飽きた』のである。100kmで終了なら気合を入れ直してペースアップできたかもしれないが、あと20時間近くこれが続くことになると考えるとペースが上らない。もちろんそんな事は始めから理解していたが、こうして第一の波が押し寄せてきたのである。


《再び使者あらわる》

その波に押されながらもまだ足は全然元気なので止まる事はなく走り続けた。ちょうど48kmを過ぎたあたりだろうか。少し日が落ち始め今から薄暗くなろうかという時に、街灯の下で1人ぽつんと立っている女性がいた。ちょうど通り過ぎる際に「りょーさんですか?」と声をかけられる。あ!ミキティ!昨年の夏に坂好練習会の大泉緑地12時間走でお会いしたK島さん(以下ミキティ)である。お会いするのは今回が2回目。聞くとブログを見てわざわざ来てくれたようだ。確かに大泉緑地でする事は書いていたが場所を突然変更する事もありうるし、ほんとに走っているかどうかも分からない。それにも関わらずである。しかもちょうど第一の波にもがいているところだったので、知り合いに会えるというのほんとに元気づけられた。


ミキティと

走り始めてほとんど喋るということなかったので(さっちーとはほとんど話していない)、ミキティとは15分ほどであろうか、楽しいおしゃべりの時間を過ごすことができた。以前の12時間走の際に自分がシュークリームを食べたいと言っていたことを覚えていたらしく、クリームたっぷりのシュークリームを差し入れに頂いた。その場で無我夢中で食べる。うまい。シュークリームの糖分とミキティとの楽しい時間を過ごせたことがパワーとなり第一の波を乗り越えることができた。ほんとに感謝しか言葉が出てこない。


《ロミオとジュリエット》

まさかこんな事に応援に来てくれる人がいるとは予想だにしなかった。しかも黄色い声援を頂けるとは。ここに来たところで変な野郎が独りで黙々と公園内をぐるぐる走っているだけである。そこには何の盛り上がりも何の感動も無いはずである。しかし当の本人はこんな事は予想さえしていないのでその感動も一入である。感謝の念を抱きながらまた一周、また一周と足を進める。あたりは次第に薄暗くなりあっという間に暗くなる。ランナーの数は減り、スピード練習をするランナーがちらほら物凄い勢いで通り過ぎていく。


日が落ち始める

50kmから80km手前くらいまではあまり記憶がない。60kmになったら…70kmになったら…とご褒美を考えながら走っていたように思う。もうペースは考えない。とにかく走り続ければよい。そして、もうすぐ80kmになろうかという時のことである。時刻は21時頃であっただろうか。晩飯はいつ食べようかな、などとたわいもない事を考えながら黙々と走っていると、後ろから「頑張ってるねー」と通り過ぎるおじさんが。声をかけられたことに驚いてふと顔を上げると、そこには月明かりに照らされたあの顔が!そう、パルさんである!

怪傑パル彦

今回の事はいつものトリオ(パルさんやミフィオ)にはあえて言わず、先にも書いた通り、ジョグノートと当ブログにだけ途中で投げ出さないために書いただけである。パルさんはたまたま早朝にブログを読んだらしく、鍋谷峠を自宅から往復(なんと47kmも!)してから、わざわざここまで応援に駆けつけてくれた。しかも単独走とブログに書いていたので、その意味を汲み取り、あえて差し入れを持ってこなかったようだ。しかしそうは言いつつもさすがは人間パル彦である。これ飲む?とリュックから温かい紅茶の入った魔法瓶とコーラを取り出す。すると、あろうことかおもむろに温かい紅茶の中にコーラを投入。

紅茶にコーラを入れるパル彦

え?!すでに遅し。『これ飲んでみ?うまいから。』ここまで来てくれたのにこれを断るわけにはいかない。まぁいい。もし調子が悪くなったらパル彦特製ドリンクのせいしようと腹をくくる。ん?!

うまぁぁぁぁああああ

もう一杯下さい!紅茶とコーラのダブルカフェインで一気に目が覚める。そしてパルさんは普段着にも関わらず1周3kmを付き合ってくれた。『また明日の朝も来るで!』と言って頂けたが、別れるのが辛い。結局大泉緑地から出て最寄りの新金岡の駅までお見送りラン。駅前でおっさん二人がロミオとジュリエットばりの惜別シーンを演じる。


オレ「行かないで〜」

パル彦「明日も行くからなぁ。頑張るんやでぇ。」



《航海 ~a night cruising~》

パルさんとの惜別を終えて公園に戻ってきた時点で約83kmほど。時刻は23時頃だろう。さぁ気合を入れ直してとりあえず100km目指して頑張ろう!と考えていたちょうどその時、暗闇の中に煌々とヘッドライトを点灯させて近づいてくる一人の男性が。眩しくて顔が見えない。ついに暴漢に襲われたか?!と身構えたその瞬間、「りょーさんですか?」と声をかけてきた。やはり眩しくて顔が見えない。そうですが、どなたでしょう?私ですよ。シュピです!あっ!シュピ殿!!

毎度深夜に現れるメガネの人

シュピ殿もジョグノートで知り合った方。神戸24時間リレーマラソンの際にわざわざ応援にかけつけて頂きその時が初対面。さっちーにしろシュピ殿にしろジョグノートというネット上でのつながりにも関わらず、わざわざこうして自分のためだけに出向いてくれるという事実に感謝せねばならない。大会で会うということはあっても、SNSだけのつながりの人がわざわざ一人の人のために応援に来てくれるというのはあまり聞いたことがない話である。

シュピ殿撮影

足に疲労がだいぶ溜まっていたこともありペースはがくっと落ちてこの時にはキロ7分半前後の超スローペース。その状況を察してか、積極的に楽しい話をして下さるシュピ殿。ランの話から家族の話、トリオの話、仕事の話と話題は尽きない。ちょうど第二の波(第一の波とは比べものにならない)に襲われて今にも沈没しそうになっていたところだったので、シュピ殿とのランは次の島まで引っ張っていってくれるような実に頼もしいクルージングとなった。なんと遅い時間帯にも関わらず16km近くも併走して頂けたのである。そしてついに100kmへ。ここまでの経過時間は11時間30分。最低でも100km通過は12時間以内を目標としていたので何とかクリアしたことになる。シュピ殿がいなければ100kmへ到達する前に確実に歩いていただろう。これは何かお礼をしなければとサッカーをしているシュピ殿の娘さんへ渾身のカズダンスをプレゼントした。

トイレ前で



《深夜の孤独と敗北》

後編へ続く





コメント

the middle さんのコメント…
大泉緑地『24』お疲れ様でした。
パル彦さんのブログで、Ryoさん考案・南河内フルのコースを教えていただいた者です。
その節は、ありがとうございました。

普段走っている道を
自分の目以外の視点や感性で見られるのは、ほんとに面白いです。
私も、まじめにゆかいに
冷気で顔がかじかみ、桃井かおり氏の口調になる勢いで走るのを頑張ろうと思いました。
『ん~、あたしは~、遅いのはしゃべりだけじゃなく、足もなわけ』

失礼いたしました。
どうぞご自愛ください。



ひゃっほい太郎 さんの投稿…
the middleさん
コメントありがとうございます!南河内マラトンですね。あのコースを走られてるのですか?ということは石川・大和川のサイクリングロードでしょうか。あそこは走りやすく、芸大女子陸上部のフレッシュな姿を見れるのでお気に入りです(笑)

桃井かおりですか(笑)年齢がばれそうですね。確実に先輩とお見受けしました!
それでは第4回南河内マラトンでお会いしましょう。

これからもよろしくおねがいしまーす!