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長崎橘湾岸スーパーマラニック273 2017〈W部門〉〜レースレポート⑥〜
〜結果報告〜
〜大会概要〜
〜まえがき〜
〜レースレポート①〜
橘湾岸レポの更新遅くなっちゃいました^^;
今回は津波見(186.9k)から島原城(230.8k)までの様子をお届けします!
21:31
21:31、01:31経過
186.9km、13.6km地点
津波見エイドを通過
しばらく走ったところでスタートダッシュをかけていたランナーに追いついた。
ゴール写真
高松さん!!
まさかの出会いにテンションマックス!!!あのスタートダッシュは何だったのか尋ねると「区間賞を取りたくて!Wへの熱意を感じるやろ?笑」とまだまだ余裕の表情。しばらくお喋りしながら一緒に走る。
高低差図では序盤60kはずーっと平坦に見えるが、実際に走ってみるとアップダウンが多い。ガツンとした登りならまだしも緩やかに続く登りはメンタル面にもダメージを負う。高松さんより前に出てみるも気づけば追いつかれている。
ピピッ。10キロ平均ペースは7'04。
22:22
22:22、02:22経過
194.4km、21.1km地点
口之津エイドCPを通過
こっちゃん「お疲れ様!トマトゼリーあるよ!」
胃腸が気持ち悪くても不思議なもんでスルスルと口に入る。水っぽくはなくトマトのザラザラとした感じが残っている濃厚なトマトゼリー。程良い甘さと酸味がヤル気を引き出してくれる。橘湾のエイド食はほぼほぼ手作りだ。これは大会主催者の阿部さんのこだわりらしい。確かに既製品をはい!と出す大会よりも温かみがあっていい。そして何よりも美味いのだ。ペースが落ちているのであまりエイドでじっとしていられない。お礼を言って真っ暗な国道に飛び出すと、川の流れに身を任せるように足を動かし続けた。
まだ行ける。大丈夫なはず。
次のエイドまでそう言いながら必死にもがき続けたように思う。しかし、この時すでに船底に開いた穴から少しずつ水が流れ込み、どれだけもがいたところで沈むのは時間の問題だったように思う。
201.8km地点で国道251号線を右折し細い路地へ入っていく。あたりは真っ暗闇でよく分からないが古い城下町のような雰囲気になり、突然タイムスリップしたような感覚になった。迷い込んだか…走れど走れど案内標識が出てこない。少しでも登り坂になると走れず歩いてしまう。島原という独特な雰囲気と疲労から不安感で押し潰されそうになっていると、遠くにぽつぽつとヘッドライトの明かりが動いているのを見つけた。
ピピッ。10kmラップ平均8'55/km。
23:38
23:38、03:38経過
203.4km、30.1km地点
原城趾エイドCPを通過
広場のような場所に長テーブルが数個並べられており、その前で大勢のボラの方が明るく出迎えてくれた。先にチェックポイントへ行くよう促される。この時すでに地に足がついている感覚はなく歩くのもやっとな状況。それを察してか、ひとりのボラの方が積極的に話しかけてくれた。ろみっちさんだ。
※長崎県観光連盟HPより
天草四郎像付近でチェックをするとエイドに戻る。胃の気持ち悪さからしばらくジェルを摂っていなかったのでここでしっかり食べることに。やった!大好きな中華粥だ!思わず3杯頂く。すると風前の灯火になっていたヤル気に火がつき、瞬く間に炎のように燃え上がった。
よし!ここから巻き返しや!!
エイドを出るとちょうど下り坂だったので勢いをつけるかのように一気に駆け下りていく。ほらっやっぱり足は死んでない。単純に怠けてただけや!いける!いける!!そう言い聞かせながらペースを上げた。
国道251号線に復帰する。キロ6。少しでも気分を変えたくてぶっ飛ばしてみる。体感的にはキロ4'30で走っているような感覚だ。もちろん最後まで続くとは思っていないが胃腸の気持ち悪さをなんとか払拭したい。しかし5kmくらい走ったところで突然ぷっつりと糸が切れるように走れなくなった。気持ちが切れたのか身体が非常停止をかけたのか…こうなると後半13時間以内という目標は確実に消え去ってしまう。身体の中に辛うじて残っていた熱いものは鉄のように冷たく固くなってしまった。
ピピッ。10kmラップは平均8'47/km。
215.2km、41.9km地点
堂崎エイドを通過
エイドに到着するなり路上に座り込んだ。前半で何度もお世話になったボラのKさんやHさんがたくさん話しかけてくれた。その話の中で同時刻スタートのO田さんが小浜でDNFしたこと、N村さんは小浜を遅くにリスタートしたことを知る。O田さんがリタイアしたことは信じられなかった。こんな調子でちんたら走っていたら追いつかれるのは時間の問題だろうと思っていたので尚更だった。皆それぞれが苦しみ葛藤しているのだ。自分だけじゃない。それにリタイアするほどまで今弱っているか?答えはノーだ。こうやってエイドで元気に話せているし足も何とか動く。甘えた心に鞭を打ってエイドを出発した。
そうは言うものの、いざ走り出すと身体が悲鳴をあげているのが手に取るように分かった。4,5km行ったところで脳に血液がいってないのか意識が遠のいた。ヤバい。ほんまにヤバい。
ちょうどコンビニがあったので入った。なぜかカップラーメンを買って(おそらく寒かったのだろう)、店内のイートインコーナーに腰掛けた。ひとくちすすってみる。すると…
うっ!!
ひどい吐き気が襲ってトイレに駆け込んだ。
レロレロレロ…
…
…
…
どれくらいコンビニにいたのか分からない。
30分くらいだろうか。
……
外に出ると寒さで身が縮んだ。
この時、記録や完走などという考えよりも、とにかく次のエイドへ何としてでも辿り着く事だけを考えていたように思う。
すると前方にひとりのランナーの姿が見えた。歩かず走っている。あの後ろ姿は…高松さんだ!どうやらコンビニでくたばっている間に抜かれたらしい。後ろを振り返るとヘッドライトの明かりが見えた。続々とランナーが迫ってきているのだ。ちくしょうっ。こんなところで失速するなんて。でもダメだ。動かない。
ピピッ。10kmラップは平均15'36/km。
224.2km、50.9km
道の駅ふかえエイドを通過
どしたん?心配したよー!!
辿り着くなりエイドのお姉さま方に心配された。到着を予想して早くに準備して頂いているはずなのでかなりお待たせしてしまった。このエイドで高松さん、後続の男性のランナーと一緒になる。さきほど華麗にリバースしたことでハンガーノックになるのが怖かったので、恐る恐るカステラを何切れか口に入れてみる。意外にもぶつ切りのカステラは甘さ控えめで思わず手が進んだ。思わず目頭が熱くなった。
次のエイドまでどれくらいっすか?
島原のエイドまで7kmくらいかな。ほらっ!頑張って!
ちょこちょこ走るも、快調そうな高松さんの後ろ姿を見送る事しかできなかった。復活を待つが身体はうんともすんとも言わない。ただ胃腸の気持ち悪さは治まってきた。だが、ここで経験した事のないアレが襲いかかる。
そう、
超ウルトラにとって最大の天敵
それは...
睡魔だ
経験した事のないだって?
何を大げさな!
これまでにも何度も睡魔で失速してたやん!
確かにその通りだ。ではこれまでのものと一体何が違うのか。通常なら一度睡魔に襲われてもその呪縛から抜け出せれば解放される。しかし、今回は2晩寝ていないせいか、睡魔が数回に渡って押し寄せてきたのだ。だから「解放された!」と安心するのも束の間、次の睡魔にすぐに襲われまた身動きがとれなくなる。しかも後になればなるほど睡魔はその強さを増して襲いかかってくるから恐ろしい。
おっと。少し先を急いでしまった。話を戻すと、第一波の睡魔に襲われ始めていた。一瞬睡魔から解放された瞬間に我に返ってちょこちょこと走り、また取り憑かれるとふらふらと歩くということを繰り返していたように思う。
城のお堀が見えたところで先ほどのエイドで会った男性ランナーに追いつかれる。彼も眠気や寒さでかなり苦しんでいる感じだった。話をしながら一緒にエイドへ向かったが何を話したのか全く覚えていない。
城へ架かる大きな橋を渡るとエイドの方の明るい声が聞こえてきた。
5:18
29:18、09:18経過
230.8km、57.5km地点
島原城エイドCPを通過
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記事を書きながら色々と思い返しているうちに気づいたことがある。レポ⑥の区間は全体を通してみても悪夢のような区間だった。大失速によりそれまで頑張って築いてきた記録(大会記録更新)への挑戦が絶望的になった。寒さ、睡魔、初めてのリバースという苦い経験もしている。今までの経験からすれば「もう辞めたい!」と思っても不思議じゃない(熱心な読者なら分かって頂けるはずだ)。でも、どれだけ苦しめられてもリタイアという選択肢は一切考えなかった。
なぜだろう...
次のレポを書きながらその点についても考えてみたい。
残り45.5km
レースレポート⑦へつづく
コメント
2晩目は初めての経験だったんですが、ぶっちゃけ勢いでいけるんちゃうかな〜と思ってた自分がバカでした(笑)