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長崎橘湾岸スーパーマラニック273 2017〈W部門〉〜レースレポート⑦〜
〜結果報告〜〜大会概要〜
〜まえがき〜
〜レースレポート①〜
島原城(230.8k)から雲仙温泉(260k)までのレポートです。すんません。まだ終わりません(^◇^;)
5:18
29:18、09:18経過
230.8km、57.5km地点
島原城エイドCPを通過
エイドに到着すると先行していた高松さんがちょうど出発しようとするところだった。挨拶すると元気な声が返ってくる。エイドの方から温かい豚汁と角煮おにぎりを胃の中に入れると、寒さでこわばっていた身体が内側からゆっくりとほぐれていくのが分かった。
びゅうぅぅ〜
しかしそれも束の間。冷たい突風が襲いかかって一気に体温を奪われてしまった。ここはちょうど吹き抜けのようになっていたのでボラの方も大変だったと思う。そうそう。ここでW部門の女性ランナーに追いつかれて驚いた。打ち上げで知り合う事になる福岡のウルトラランナーチッチさんだ。
これはヤバい!
女性ランナーに追いつかれたことはさすがに焦った。急いで支度をしてエイドを出る。気持ちを切り替え、大きく腕を振って走り始めるもどうしても力が入らない。足が重いとかダルいとかじゃない。脳で「走れ!いけ!このポンコツがぁ〜」と命令しても全く反応がないのだ。まるで自分の身体が空っぽの箱になったようだった。それに明け方から一気に気温が下がり、冷たい風がびゅうびゅうと吹き荒れていた。モンベルのEXライトジャケットを着て、自販機で缶コーヒーを買い、ホッカイロ代わりにしてみるが焼け石に水だ。さらに目の前に延々と続く登り坂が前進する意欲を奪い去り、ギリギリの意識の中辛うじて歩いているという状態が続いていた。
眠い
ほんまに眠い
もうやめてくれぇ〜い。゚(゚´ω`゚)゚。
眉山ロードの登り坂に入ると過去最大の睡魔が襲いかかってきた。本レース中第3波目となる激しい睡魔。これを打開する手段なんてあるのだろうか。こうなると、まるで地球に大きな隕石が近づいてくるのをただ見守るしかないように為す術がなかった。ガードレールにぶつかるか、寒さで身震いして一時的に意識が戻るかを除いては、ほとんど歩きながら寝ていた(意識を失っていた)ように思う。
たった2キロだけやったんかい…_φ( ̄ー ̄ )
今記事を書きながら地図を眺めていると衝撃の事実を知った。自分が睡魔で苦しみ、途方もなく長い距離を歩いていたと思っていた区間はたったの2キロしかなかったのだ。何度も夢と現実の狭間を行ったり来たりし、自分が一体今何をしているのか、どこを歩いているのか、もう何が何だか訳がわからなくなってしまっていた。
235.7km、62.4km地点
千本木湧水エイドを通過
お疲れさま〜!
明るい女性の声で現実の世界に急に引き戻された。隕石はギリギリ衝突まぬがれたのか?次のエイドまでの距離を聞くと3,4kmとの事。「そこには温かいおでんがあるから頑張って!」と送り出してもらった。
久しぶりに撮った
眠気は幾分マシになったが、今度は寒さで身体が思うように動かない。登り坂もきつくなり始める。クネクネとつづら折りなっている急坂で下を見下ろすとひとりのランナーが小気味よく走ってくるのが見えた。すぐに追いつかれる。ゼッケンを見るとP部門(103km)ランナーのMさんだった。この後何度もMさんと出会う事になるので覚えておいて欲しい。しかしこの時は呆然とMさんを見送ることしかできなかった。
そしてさらに下からランナーが迫ってくるのが確認できた。ピンクのウエア。PのランナーかWのランナーなのか分からない。すると、すっかり忘れていた忽然と気持ちが沸き起こった。
抜かれたくない!!
そう思うとあれほどまで冷めきっていたはずの身体にボワっと火がつき、半ば無意識に登り坂をちょこちょこと走り始めていた。前を走るMさんの力強い走りとは比べものにならないが、それでも走れる喜びが身体中から溢れた。
ろみっちさん「もうすぐエイドだよ!頑張れ!!」
登り坂のピーク地点でボラのろみっちさんの姿が目に飛び込んでくる。なんだろう。この気持ちは。エイドまで近況を話しながら一緒に走る。ろみっちさんと話していると「もう大丈夫。これで大丈夫なんだ!」という謎の確信を得た。
目の前に平成新山が迫り来る
7:19
31:19、11:19経過
239km、66km地点
平成新山展望園地エイドCPを通過
Mさんに追いつく
熱々のおでんを頬張っているとピンクのウエアのランナーがエイドに入ってきた。顔を見て驚いた。吉野さんだ!!覚えておられるだろうか。レポ④にも登場した方。吉野さんは橘湾の春の大会で知り合った島根のトライアスリートだ。トライアスロンで鍛え上げたその持久力を活かして超ウルトラの世界にも挑戦されている。もちろんスピードもあって村岡勇者の道120Kの完走者でもある。
やばっ!
このままやとどんどん抜かれてまう!( ;´Д`)
吉野さんの顔を見てようやくお尻に火がついたのか、エイドを急いで飛び出すと下り坂を一気に駆け下りた。ありがとう吉野さん(笑)
4.5kmほどの下り坂を駆け下りる。心臓から強力なポンプによって発せられた血液が全身に隈なく(それこそ毛細血管を通って指の先まで)送り届けられるのを感じるほど身体が動いた。復活。この時の状況を説明する上でこれ以上の言葉は見当たらない。
口になんかついとる
243.5km、70.2km
水無川大橋無人エイドを通過
国道57号線に合流すると、緩やかな登りが延々と続く。恐ろしいほどの馬力が湧き上がるのを必死に抑え込みながら走った。たらたらと額から汗が流れ落ちる。
あぁ
生きてる!
生きてるぞー!!\(^^)/
恥ずかしながらこんなことを叫んだことを覚えている。P部門のMさんに追いつくくらいの気持ちで走り続けた。
8:13
32:13、12:13経過
247.5km、74.2km地点
深江運動場エイドを通過
エイドでMさんに追いついた。冷奴とサラダ巻おにぎりを頂く。あれほど苦しんだ胃腸の気持ち悪さはもう感じない。Mさんより先に出発した。
ここからは徐々に勾配がきつくなり、道も狭くなり始める。交通量も多いのでかなり危険だ。大会要項には『この区間でふらついているランナーは半強制的にリタイア』的な文言があるが実際に走ってみて、なるほどと思った。5km先のエイドまで歩かないと腹をくくって走り続ける。100mごとにあるキロポストを見ないよう努めるがどうしても視界に入ってくる。時折後ろを振り返ってMさんの追走を確認するが姿は無い。呼吸は荒くなり心臓が音を立てるの聞こえそう程だったがなぜかそれが心地よかった。
252.8km地点、79.5km地点
俵石展望台エイドを通過
Aさん「ぜんざいはあったかいのと冷たいのどっちがいい??」
ここにきての激しい登り坂を突っ込んだせいか疲労の色は隠せなかった。が、ボラのAさんの明るい声とキラキラと輝く笑顔に癒された。まるで…聖母だ。マリア様。次会った時はこう呼ぼう。彼女もランナーなので気持ちが分かるのだろう、積極的に色々と話しかけてくれた(どんな話をしたか覚えていないけど全てポジティブな内容だったと思う)。冷たいのを迷わず選択。氷のような冷たさがオーバーヒートしそうな身体に染み渡る。
Mさんがエイドに入ってくる。するともう1人の軽装のランナーが入ってきた。P部門のNさんだ。聞くと深夜2時スタートとのこと。P部門も以下のように走力別の時間差スタートシステムになっている。
《P部門スタート時間》
・0時(通常)
・1時
・2時(トップランナー)
※Mさんは0時スタート
少しでも競い合えた方がヤル気になるのでこの二人より先にエイドを出発した。仁田峠入口というピークまでおよそ6km。ここを走らんと橘湾を語れん!という気持ちで頑張って足を動かし続ける。つい数時間前まで睡魔で全く機能していなかったのが嘘みたいだ。
Nさん「頑張りましょう!」
背後から物凄い勢いで抜き去っていく。何くそ!と後を追う。
W部門 vs P部門
250km以上走ってきた足と80km走ってきた足の戦いだ。ぐぬぬ。やはり速い!もちろん追い抜けるはずもなくあっという間に終了!!Nさんはその後も快調に飛ばし続け9時間21分でP部門優勝となる。
ピークを通過すると緩やかな下りへと変わる。さすがに下りは足裏にピリピリとした痛みが襲っているが致命的では無い。無理のないペースで下っていると何やら賑やかな雰囲気の町並みに変わった。雲仙温泉だ。
ここからCPのある遊歩道へと入っていく。観光客が多いのでここは大会ルールでも『歩行区間』となっているので注意が必要だ。
なんだこの顔は
10:10
34:10、14:10経過
260.3km、87km地点
雲仙温泉エイドを通過
ここでP部門のMさん、そして遂にあの人にも追いつかれた。
あの人…
ず〜っと会いたかったランナーです。当ブログ初登場となります。
お楽しみに(笑)
レースレポート⑧へつづく
コメント
そうですね〜。睡魔を舐めてました。一度だけですか!凄いですね!!レース後大会レコード保持者のKさんに睡魔について聞いてみると「一度も眠くならんよ〜」とおっしゃってました。やはりもっと経験して自分の甘ちゃんなところをどうにかしないと睡魔には勝てなさそうですm(__)m