2023-24 STMダブル760K ②結果まとめ

長崎橘湾岸スーパーマラニック273 2017〈W部門〉〜レースレポート④〜

長崎橘湾岸スーパーマラニック273 2017〈W部門〉〜レースレポート④〜


〜結果報告〜
〜大会概要〜
〜まえがき〜
〜レースレポート①〜


今回は日見公園(130k)から小浜温泉(173k)までの様子をお届けします!



12:32 (12:32経過)
avg.5'47/km
130km地点
日見公園エイドを通過

photo by フッキー

「え?もう来たの?!ちょっと速過ぎない?!」

エイドは今までとは打って変わってランナーやボラの方で大賑わい。自分を見つけてボラのフッキーが驚いたようにこう叫んだ。自分ではそれほど突っ込んだつもりはないが春のL部門よりも40分近く早く到着していることになる。温かい豚汁をすすっていると衝撃の一言が襲う。

「やっぱり走ることにしたよ!」

マジか?!フッキーはもともとP部門(103k)を走る予定だったが故障によりDNS。代わりにボラでランナーをサポートするという大役を担ってくれていた。しかし足の調子も改善したこともあってか急遽走る事を決意。ということは20時間以上ボラした後に103km走ることになる。なんちゅう決断。キラキラと輝かせた目を見ると、誰にもそれを止めることはできない。

ノリさんと
photo by フッキー

また、ここで20時スタート(4時間前に出発している)のランナー2名に追いついた。そのうちのひとりのノリさん(声が大きく上下オレンジ色のウエアが特徴的だ)とは久々の再会。がっちりと握手を交わす。ノリさんとは春の橘湾やおんたけ100マイルで出会っておりいつも非常に懇意にして頂いている。バナナを一本くわえると、足が固まらないうちにお礼を言ってエイドを後にした。(ちなみに金龍ランナーのピザ男さんは丁度トイレに行っていたらしく会えなかった。涙)


青果市場で右折して、国道34号線から湾岸沿いの国道251号線に進路を変える。矢上大橋を渡ってしばらく走ると、結の浜のある海岸沿いへと通ずる細い道へと入っていく。この間に声をかけながら前を行くランナーを次々とパスしていく。ちょうど結の浜あたりだったかな。

みかんどうぞ!」

傍に停まっていた黒い車から女性が出てくるなり大きなみかんを手渡してくれた。お礼を言って受け取ると走りながらすぐにかぶりつく。噛むたびに甘酸っぱい水分が口の中で溢れる。暑さで参りそうになっていたのでこれには救われた。

堤防沿いから山手に入ると急坂が始まる。飯盛峠への登りだ。この辺りもコース案内が春よりも乏しいので、前を走っていた女性ランナーに道を確認したのを覚えている。徐々に勾配がキツくなり歩きたい衝動に駆られるがどうしても歩けない(一部は歩いた方が速いんじゃないかというほどの傾斜あり)。すると前方に見覚えのある後ろ姿が。


写真は春の大会のもの
武ちゃん!

春以来の再会。しばらくお話しながら登る。武ちゃんは福岡のウルトラ(トレイル)ランナー。今年はアンドラや上州穂高のロングトレイルも走られている。橘湾でお会いして以来いつも温かく接してくれる兄さん的存在だ。気取ったところがなくいつも自然体で、走ることやレースに対する考え方は自分みたいな若造ランナーにとって学ぶべき所がたくさんある(エ○いところも笑)。

腰を痛めちゃって…

大粒の汗をかいていてかなり辛そうな様子。それでも小浜までは頑張っていくよ!と力強く仰っていたのが印象的だ。「りょーくん!頑張れよー!!」と大声で送り出してもらった。武ちゃんの声援に調子づきぐんぐん登っていると3人ほどのグループに追いつく。


吉野さん!

ゆきひろさん!!

吉野さんとは勇者の道以来の再会だ。吉野さんとはず〜っと先でまた出会うことになるのでその時に。

ゆきひろさんは春の大会でKIZENさんに紹介して頂いた超ウルトラのベテランランナー。なんと今日が誕生日らしい。結果的に44時間台(7位)で完走されている。ありがたいことにレース後も顔を覚えてくれていて少しだけだがお話することができた。




13:30 (13:30経過)
avg.5'50/km
138.8km地点
飯盛とんの山エイドCPを通過

エイドの方に13:00スタートのイッちゃんが24時間で小浜温泉に到着したことを聞かされる。さすがクイーン!それにしても20時まで7時間も何するのだろうか(笑) おはぎやコーラを頂くとすぐに出発する。下り坂が目に入ると嫌でも悪夢が思い出された。春の大会ではここの下りから足がパンパンになってしまい(屈伸することもできなくなった)全く走れなくなってしまった。ここから大失速し残り35kmをとぼとぼと走ったり歩いたりした記憶が蘇る。今回はどうか。恐る恐る下り坂へ足を突っ込む。


スーイスーイ
スーダラダッタ
スラスラスイスイスーーイ
♪(´ε` )

なんじゃこりゃ。軽っ。一時的に別の人間に乗り移ったんじゃないかと思えるほど足が軽い。もちろん140km近く走ってきた分のオモリは身体に乗っかっている感じは否めないが、半年前とは比べ物にならないほどの調子の良さだった。

さぁどうしよう…

この調子だとうまくいけば18時前には小浜に到着しそうだ。予定では19時間はかかることを想定していたのでどうするか悩んだ。どれだけ早く到着しようが小浜では20時までリスタートできない。ペースを落とすか、このままのペースで小浜まで行きその分休息時間をしっかり確保するか。

勢いづいた身体を制止できるほどの自制心は持ち合わせていなかった。悩んだところで答えは出ていた。もちろんそのまま行くことを選択。スタート時から身体の内側で打ち続けるリズムに何も変わりはない。このペースでも後半の103kmを問題なく走りきれるという謎の自信が身体を押し進めた(もちろん全ては思い上がりだったことを後に身をもって思い知ることになる)。

そんなことを考えながら(もちろんロストしないよう気をつけながら)進んでいると、視界が開け橘湾随一の名所とも言えるじゃがいも農道にさしかかった。左手にはじゃがいも畑が広がり、右手には太陽に照らされてキラキラと眩しい海が広がっている。そして前方には一直線の登り…


ん?!
なんだ?!なんだ?!
あのじゃがいもみたいなランナーは?!
↑失礼

photo by 兄貴
横田兄貴やないっすか!!

兄貴はブログにもよく登場しているので紹介は省略(笑) この人に会うとなぜか今自分が走っていることを忘れるから不思議だ。しばし写真撮影会。

遮るものがないので強烈な日差しが襲う。コース上にあるトイレに駆け込み水を浴びる。ロストしないよう案内標識通りに進むと眼下にエイドが見えた。


14:14 (14:14経過)
avg.5'50/km
146km地点
飯盛経塚エイドを通過

こっちゃん「杏仁豆腐あるよー!!」

お守りをくれたボラのこっちゃんに冷えっ冷えの杏仁豆腐を頂く。パクっ。うぉー!美味すぎる!!おかわり!!

小浜までは27km。ここからは地味にきついコースだと知っているのでとにかく淡々と進む。150km地点の有喜エイドはW開催時はない。漁港町の裏通りを進むと宮殿のようにそびえるラブホを目の前に登り坂を登っていく。そして国道251号線に合流し、鬱蒼とした脇道からまた国道に復帰する。あまりの暑さに自販機で水を購入する。猛スピードで突っ込んでくる車に気をつけながら道路脇を走ると唐比の里と書かれた大きな看板がある方へ右折する(ラブホ街へ)。

危険な国道からは一転して静かな砂利道へと変わる。木々の合間から差し込む光が美しい。すると…


足立さん!!

昨年(2016)のおんたけで声をかけて頂いた時以来の再会だ。夫婦でキリマンジャロに登頂したり、UTMBを完走されるなど世界をまたにかけて活躍されている。ちなみに奥様のAさんは今回フルボラで参加されていて至る所でお世話になった。

157km地点の唐比温泉エイドはW開催時は無いので人気はない。しばらく行くと唐比漁港の狭い路地に出る。ちょうど家の庭でおじさんがシャワーを使って何かを洗っていたので、思わず「水を頭にかけてくれませんか?」と頼んでみる。優しいおじさんは「日が出てるから日射病に気をつけてなぁ」と地元訛りのことばで快諾してくれた。

容赦なく太陽が照りつける旧雲仙軽便鉄道跡を淡々と走っているといよいよ気分が悪くなってきた。次のエイドがあるであろう塩浜が目の前に見えているが一向に近づいてこない。今までのうねるような道とは打って変わり、平坦で変わり映えのない道が延々と続く。ペースが落ちているのが手に取るようにわかるが必死で食らいつく。泥水でも飲んだかのような気持ち悪さが口の中に広がり始めていた。



16:00 (16:00経過)
avg.5'54/km
162.3km地点
塩屋公民館エイドCPを通過


1位の方ですか?初めてお会いしましたね!!


スタッフの方にこう声をかけてもらうも、突如襲った疲労に蝕まれて元気に挨拶を返せない。このエイドに到着した時には立つのもやっとなほど気持ち悪さが体の中に充満していた。気分を変えようとかぼちゃスープを頂くが全く効き目がない。ここのカステラを楽しみにしていたのに手は伸びようとしない。挙げ句の果てに足の甲に痛みを感じる。かなり浮腫んでいたのだろう。公民館の玄関に座って靴紐を緩めると幾分か楽になった(ランナーに冷却スプレー借りた)。

小浜まで残り11キロ。足は残っているのでこれで終わりならぶっ飛ばす必要はある。でも今回はこれで終わりじゃない。そして十分貯金はある。歩くことはしないが少しペースを落とすことに決めた。

千々石集会所を過ぎたところから猫の溜まり場となっている路地に入る。ニャアニャアと声に出して挨拶してみる。「なんだお前は」という顔で一蹴される。壁のような急坂を登るとバス停のある大きな通りに出る。足がガチガチ固まっていたらどうしようとおそるおそる走り出してみると意外にも軽くぐんぐん進む。しかし胃の気持ち悪さは増すばかり。1時間に一度必ず摂っていたジェルにも拒絶反応が出始める。キロ6'30〜7'00くらいを何とか維持している状況だ。


幾つかのトンネルを越え、小浜まで残り5kmくらいのところでひとりの女性ランナーに追いついた。春の時に同じスタート時刻だったN島さんだ(数少ない女性ランナーのひとりだった)。縦一列になってお喋りしながら一緒に走る。試しに少しペースをあげてもついてくる。マジか。というか、ちょっとでも気を抜けばこちらが力尽きそう。すでに170k近く走っているにも関わらず、しっかりついてこようとする感じ...やはり只者ではない。

※結果的にN島さんは46時間台で完走しW部門女子優勝となる。



画像は春の大会の時のもの
吉本さん!!

N島さんと併走しているとウエアを黒で統一したオシャレ感漂うランナーに遭遇。もしや?と思い顔を覗き込むとやはり吉本さんだった。吉本さんは横田兄貴の知り合いのランナーで、春の時にお会いして以来の再会となる。印象として決してスピードを追い求める感じのランナーではなく、長いレースをじっくり誰よりも楽しもうとしているランナーのように見受けられる。また、兄貴の知り合いというだけあって想像以上の破天荒っぷりだ。下の日程を御覧頂きたい。

木〜土:橘湾マラニックW276k
日  :下関海峡マラソン(フル)

ヒエェ((((;゚Д゚)))))))

吉本さんはW完走翌日に下関のフルも完走。これは4日の間に2レース、計318kmも走っていることになる。ガチで真似できない。

国道57号線に合流すると残り約3km。右手に真っ青な海を眺めながら走っていると、往来する車から時折「頑張れー!」という声援が飛んでくる。胃が気持ち悪くしばらく何も摂っていなかったので、グゥゥという腹の音とともにフラフラと低血糖のような状況に陥ってしまった。市街地に入る。至る所から(排水溝からも)立ち上る白い湯気を浴びると、ようやく小浜温泉まで走ってきたという実感が沸き起こる。


ふぅ
やっと着いたぁ
でもこれで終わりじゃない...
肝心なのはこれからだ!!



17:26 (17:26経過)
avg.6'02/km
173.3km地点
小浜中継地点エイドCPを通過


残り103km


レースレポート⑤へつづく



コメント

たけはは さんのコメント…
レポート③のコメント。O田さんは休憩かなり短くカレーも食べず先に進まれたので差が付きました。ペースは同じくらいと聞いていて、権現山・樺島灯台での差が休憩と道に迷った分だったので休憩時間を合わせれば道に迷うことがなかったと後悔してます(結果論、自分は作戦通り)僕も19時間の予定で22時スタートで日没前小浜ゴールで休憩は2時間以上を見込んでいたのでRYO君の展開は当然だね。日見公園から前をごぼう抜きは、翌日の僕の平成新山~ゴールと同じ展開。日見公園以降はエードは撤収されてしまったので僕もO田さんも杏仁豆腐以降およばれされていないのでうらやましい。じゃがいも農道で夜はもう絶望だったよ。疑問なのは僕もO田さんも100km過ぎで暑さにやられてペースダウンしたのにRYO君は快調にとばしているのが不思議。僕らが暑さに弱すぎるのかRYO君が暑さに強いのか?さすがに翌日フルは無理だね。日程的には土曜えちごくびき野100km日曜新潟マラソンを1回やろうと思ったことはあるけどさすがに故障だらけの今の僕にはできないね。ウルトラ界にはつわもの多いからさくら道250のあと270、萩往還後の橘80はRYO君も多分知っているのだろうけど。
ひゃっほい太郎 さんの投稿…
たけははさんコメントありがとうございます!

道迷いは辛いですね。メンタル面も結構やられちゃいそうですし。じゃがいも農道は同じような道がたくさんあったりと暗くなると余計にわかりにくそうでパニックになりそう^^;

日中の暑さはキツかったです。寒いよりは断然暑い方が好きなのも影響してるかもしれません。あと今年の夏は熱中症に何度なったことかってくらい炎天下を走ってたので少しは耐性がついてたのかも。逆に寒さには滅法弱いですよ。

たけははさんが後半の103kを快走されたところをみると、やはり自分は超ウルトラはまだまだだなぁって実感します。