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単独!アワイチランニング!!第3章(完結) 〜天使と悪魔〜
からの続きです
【第3章(完結) 〜天使と悪魔〜】
《郡家〜湊〜丸山〜道の駅福良 100-150km 7'42/km》
7:52頃(12:52経過)
郡家(103.6km地点)を通過
もうすっかり日はのぼり、ちらほらと地元の人たちの姿を見かけるようになった。散歩している人や配達をしてまわる車。日常が始まろうとしている。しかしこちらはすでに100km以上を走破し13時間近く不眠不休である。完全なる非日常だ。
郡家から湊までは21.6km。この区間はいくつもの小さな町を通る。町に入れば歩道があるが、町をぬけると海岸沿いの危険な車道を通る。これをひたすら繰り返すのがこの区間だ。下を向けば延々と続く舗装路が続く。しかし顔をあげれば、出発時からずっと求めていた青空が広がっている。すでに足は足枷をひきずりながら走っているかのように重い。ジャラジャラと音が聞こえてきそうだ。ここからは体力や走力、そんなものは関係ない。単なる気持ちの持ちよう。ただそれだけだ。
いくつも岬を越える。あれを越えれば次の目的地か?!と何度も期待するが、何度も何度も裏切られる。そしてついに洲本市へ。それにしてもまだ五色浜にも着いていない。かろうじて足はとめないようにして走っていはるが、キロ8分を連発するような走りになってきている。この調子では18時間なんて夢のまた夢であり、それどころか20時間さえも危うい。
そんな寸劇を一人で演じつつ、ふぅーっと大きく息を吐き出すと顔を上げてペースを上げた。走れる!すると身体にたくさんの空気を送り込まれたせいか、眠気もすーっと飛んで行った。キロ5分50〜6分10秒くらいのペースではあるものの今までとは全然違う。景色が流れるように動いていく。海の上では鳥が風に身を任せてその場で浮遊している。
もうすっかり日はのぼり、ちらほらと地元の人たちの姿を見かけるようになった。散歩している人や配達をしてまわる車。日常が始まろうとしている。しかしこちらはすでに100km以上を走破し13時間近く不眠不休である。完全なる非日常だ。
郡家から湊までは21.6km。この区間はいくつもの小さな町を通る。町に入れば歩道があるが、町をぬけると海岸沿いの危険な車道を通る。これをひたすら繰り返すのがこの区間だ。下を向けば延々と続く舗装路が続く。しかし顔をあげれば、出発時からずっと求めていた青空が広がっている。すでに足は足枷をひきずりながら走っているかのように重い。ジャラジャラと音が聞こえてきそうだ。ここからは体力や走力、そんなものは関係ない。単なる気持ちの持ちよう。ただそれだけだ。
いくつも岬を越える。あれを越えれば次の目的地か?!と何度も期待するが、何度も何度も裏切られる。そしてついに洲本市へ。それにしてもまだ五色浜にも着いていない。かろうじて足はとめないようにして走っていはるが、キロ8分を連発するような走りになってきている。この調子では18時間なんて夢のまた夢であり、それどころか20時間さえも危うい。
「おい、お前は何をしにきたんだ。お前は淡路島を走りにきたんだろう。そして一つの答えを探しにきたのではないのか。ここでペースを落としたら今まで積み上げたものはなんだったんだ。」
「そうか、足が重くなっているのは俺が勝手につくりあげた妄想だ。本当は足が動くはずなのにそう思い込んでるだけなんだ。」
そんな寸劇を一人で演じつつ、ふぅーっと大きく息を吐き出すと顔を上げてペースを上げた。走れる!すると身体にたくさんの空気を送り込まれたせいか、眠気もすーっと飛んで行った。キロ5分50〜6分10秒くらいのペースではあるものの今までとは全然違う。景色が流れるように動いていく。海の上では鳥が風に身を任せてその場で浮遊している。
翼を手にいれたイカロスのごとく夢中になって走り続ける。五色浜を過ぎ去り快調と思われたが、このハイペースも5kmであえなく失墜。太陽に近づく前に自分の意志で翼を脱ぎ捨てたのだ。猛烈に歩きたい衝動に駆られたのである。
歩きたい歩きたい歩きたい!!
まさに百貨店のおもちゃ売り場で目当てのおもちゃを買って欲しい!と泣き叫ぶ子どものように。いや、それ以上かもしれない。こうなってはもうどうしようもない。歩くくらいなら、えい!いっそのこと休んでしまえ!と道路脇の芝生に身を投げる。5分くらいだろうか。目を閉じて何も考えない。完全なる無の時間を過ごした。目を開けると上空を鳥がゆっくりと旋回している。そして突然むくっと身体を起こして一言。
行くか
ここで投げ出してもどうしようもないことを悟ったのだろう。またスローペースに戻ったがガシャガシャと足枷をひきずりながら一歩一歩進んでいく。
慶野松原 |
10:45(15:45経過)
湊(125.2km地点)を通過
松林が続く名勝「慶野松原」を横目に通り過ぎるとようやく湊の交差点へ出た。左へ行けばゴールである福良の町へ行ける。距離は10kmもない。しかし今回は淡路島一周である。右に進路をとって海岸沿いを進まなけれなならない。距離にすると残り25km。ここまでくると25kmが途方も長く感じてしまう。すでに15時間45分が経過している。18時間で走ることはもはや絶望的だ。
湊の交差点 |
自販機でお茶を買って最後の補給をして気合を入れ直す。ここをクリアすれば終わりだ。最後の25km。ここまできたんだ。思い残すことがあってはならない。しかし、その気持ちは海岸沿いの車道へ出た瞬間一気に打ち破られることになる・・・。
別にいいやん。時間なんか気にせんでも。大会やないんやし。
ここには何しに来たんだい?淡路島を一周走りにきたんだろう?
そうやけど、あかん、膝にも痛みが出てきたわ・・・
そんなこと初めから分かってたことでしょ?まさか最後まで楽できるなんて思ってなかったよね?これからが一番の山場なのにもう諦めちゃうんだね。
でも走り続けたからって無意味やん。ここで歩こうが走ろうが何も変わらへん。
意味なんて与えようとしてるんか。これは単なる衝動やろう。忘れたんかいな。
お前の中にある内なる衝動を!!
・・・気づいた時にはキロ6分で走っていた。膝には痛みが走る。しかしこれが超長距離走。アワイチランニング。そう。オレは淡路島を単に一周しにきたのではない。一周を走りにきたのだ。
それにしても不思議だ。いくらスローペースでも走るのと歩くのでは景色が全く違って見える。一歩一歩進めるたびに、昔見た古いロードムービーのように色あせた風景が広がっていく。そこには価値も意味も存在しない。やがて過去と未来が一つになり、軽快なリズムで物語が流れ出す。
それにしても不思議だ。いくらスローペースでも走るのと歩くのでは景色が全く違って見える。一歩一歩進めるたびに、昔見た古いロードムービーのように色あせた風景が広がっていく。そこには価値も意味も存在しない。やがて過去と未来が一つになり、軽快なリズムで物語が流れ出す。
これか!ナチュラルな状態とは!!
そこからは一切歩かなかった。福良まで残り13kmという標識が現れる。ここからは坂が連続する。坂と言っても大したことがないのかもしれない。しかし今の自分には完全に山にしか見えない。その山に直面すると自然と笑みが溢れる。いいぞいいぞぉ。今思えばある種のトランス状態だったのかもしれない。鳴門大橋が見えた時、身体から熱いものがこみ上げてきた。
ほんとにぐるっと回ってきたんだ・・・
鳴門大橋 |
淡路鳴門自動車道入り口までの激坂を越えるとここからは下りになる。残り6kmという標識。18時間は無理だったが、最後まで走り切ればなんとか18時間台でフィニッシュできる!いや、もう時間なんて関係ない。これは大会でもないしレースでもない。本当の意味での自由なんだ。
町が現れる。福良だ。そして・・・
町が現れる。福良だ。そして・・・
13:44(18:44経過)
道の駅福良(150km地点)でフィニッシュ!!
アワイチランニング
淡路島一周
約150km
累積上昇高度 2980m
累積下降高度 3000m
18時間44分(avg.7'29/km)
0-50km 5時間48分 6'45/km
50-100km 6時間31分 7'49/km
100-150km 6時間25分 7'42/km
【あとがき】
ここまで読んで頂きありがとうございます。今回ばかりはあまりの大げさな文章に眉をひそめた読者も多かったのではないでしょうか。改めて読み返してみると、本当に痛々しい(一種の自己陶酔ともとれる)記述があったと現在全力で後悔しております(笑)ギャグとして受け流して頂ければ幸いです。しかし、少々大げさな節があるとはいえ、走りながら考えたこと思ったことをできるだけ正直に文章にしてみたつもりです。そう考えてみると、100kmを超えたあたりからどんどん思考が内へ内へと進み、内省的になっているようにもとれます。(こういう自己分析が痛々しくなる所以かもしれませんね。)とはいえ、最後の25キロは苦しめられたものの、「今この瞬間のためにここまで走ってきたんだ」と自然に前向きな感情が芽生えたことは事実です。走り続けること。それは単なる自己満足の世界でしょう。しかし歩かず走り続けることでいつもと見える景色が違ったことも事実です。特に超長距離の場合は、歩いてしまうと睡魔が早く襲ってくるように思います。走ることで睡魔を少なからずは封じ込めることが可能だと思いました。これは今まで夜間走が非常に苦手だったので大きな収穫です。
また、こういう長時間走り続けるときに必要なことは前向きな感情だともつくづく思いました。何を今更と思われるかもしれませんが、これが一番難しいことだと思います。長時間何かをしていれば気持ちは浮き沈みしますし、ずっと楽しいはずがありません。そういう時に今自分がしていることを否定的に捉えてしまったりしては足が動かなくなってしまいます。本当は足が動くはずなのに「もう動けない」「だめだ」と錯覚してしまうんですね。これはアワイチを走りながら何度も痛感しました。そういう時は原点に帰るしかないです。走ることが好きだ。そこに戻れば足がゆっくりとでも動き出すはずです。たぶん(笑)
なんだか説明的になってしまいましたが、決して誰かに強要したりするものではありません。それに自分もずっと「たのしいいいいい!!!!」とか言って走ってるわけではありませんよ(笑)まぁ奇声を発したりすることは多いほうかもしれませんが(笑)
さて、UTMFのエントリーがもうすぐ始まりますね。結局スパルタスロンは時期尚早ということでエントリーしなかったので、今年はUTMFにエントリーしてみようかな。ただ抽選なので外れる可能性は大です。その場合は佐渡島一周の大会もあるようなのでそれも視野にいれていますがどうなるかは分かりません。
もう少し暖かくなればトレイルの超長距離走にも挑戦してみたいと思っています。3月もレースは無いので、個人企画が多くなりそうです。今年は「旅」をテーマに色んなことに挑戦してみたいですね!余談ですが、ジョグノートでアワイチを走った日記を投稿したところ、あるランナーに「次はシコイチだね!」と言われました。ん?!支笏湖一周のことかな?と思ってたら何と四国一周の意味だったそうです。調べてみると、1000km以上!!どなたかスポンサーになって下さい笑
完
単独!アワイチランニング!!第3章(完結) 〜天使と悪魔〜
コメント
パル彦さんのブログから飛んできました。
いや~皆さん、凄いです。
単独って、ホンマ内なる自分との対話の連続なんでしょうね。
次のチャレンジも楽しみにしています。
(今、過去の記事を遡って楽しませてもらってます)
パルさんのブログから飛んできて頂けて嬉しい限りです。こうしてレスポンスがあると書いた甲斐があったと素直に思えました♪
自分との対話というと格好がつきますが、頭がアフォになってるだけですよ〜(汗)多分変な記事ばかりですが、これからもよろしくお願いします!
寒い時期にするとは!恐れ入りました。
自分は未熟なので、3月連休の練習会でアワイチする予定です。
また、よろしくお願いしますm(__)m
最後の超長距離走を走りきるコツ“前向きな感情”は本当に難しいね。
足が痛くなったり吐き気がしたりすると精神的に弱くなるので、そこでいかに前向きに考えられるかが完走できるか否かの鍵になるねぇ。
今後、ウルトラを走る時に参考にするわ~。
次の挑戦はいかなるものか?頑張ってね。
3月連休にアワイチイベントあるんですか?!楽しそうですね。参加してみたいけど強豪ランナーばかりでちょっと怖い・・・(汗)これからも宜しくお願いします!