2023-24 STMダブル760K ②結果まとめ

単独!アワイチランニング!!第2章 〜交響曲〜


単独!アワイチランニング!!第2章 〜交響曲〜


単独!アワイチランニング!!第1章 〜扉は開かれた〜
からの続きです。


【第2章 〜交響曲〜】


《洲本〜久留間〜岩屋〜都家 50-100km 7'49/km



2/21(Sun)
0:16頃(05:16経過)
洲本・海岸通り(45.3km)通過
ようやく洲本へ到着といった気分。大きな町であるはずが人がほとんどいない。日付も変わった深夜ということもあるが、あまりの素っ気なさに、突然街の人がいなくなって1人だけ残されてしまって(あれは何の映画だっけな…)彷徨っているような錯覚になる。ペースとしては18時間で走るために想定通りだが、疲労感は想定外だ。まだ眠気などはないが、やはり夜という時間帯は休息するように身体ができているのだろう。その自然の法則にあえて逆らう必要があるのか、些か疑問に感じるわけだが。


ひゃっほい@洲本温泉

ここからは歩道のない国道を海岸沿いに北上する。深夜に関わらず車の往来が激しくなり、大型トラックなどが頻繁に往来するため気をつけなければならない。ドライバーからすれば恐怖であろう。こんな深夜に1人で国道を走っている輩がいるわけだから。もし1人でアワイチランニングをされる方がいらっしゃれば視認性を高めるためにも反射テープだけでなく、(特に後方への)発光物を身体にたくさんつけることをお勧めする。その数は多ければ多いに越したことがないはずだ。


激しい車の往来

2:59頃(07:59経過)
久留麻(69.5km地点)を通過
危ない国道を抜けると町へ近づくにつれ歩道のある車道へ出る。これはアワイチを走って気づいたことだが、歩道の無い危険な車道ほど走りやすい。…ん?この言い方では語弊がある。正しくは歩道の無い危険な車道ほど走れてしまう。読者諸君の首を傾げている姿が想像できる。これは後半になって分かった事なのでその時に説明したい。

久留麻の交差点

さすがに深夜の時間帯になると冷えてくる。そして同時に腹痛とも言えるほどの空腹感が襲ってきた。市街地へ入るとコンビニが現れる。この辺りは結構な数のコンビニが点在しておりほとんどが24時間営業のようだ。こういう時は王道中の王道、日清カップヌードル!眠そうな店長らしきおじさんにお湯をもらって食べながら走る。カップラーメンを食べながら走るのは初めての経験だ。口のまわりに熱湯がかかるので猫舌の方は要注意。


「うまい!!さすがは世界のNISSIN!!」

身も心もあったまりヤル気にさせてくれる。過去にパルさんから24時間走で原良和選手が走りながらラーメンを食べたという話を聞いて唖然とした覚えがあるが、まさか自分がそれをすることになるとは…。しかし、意外にも食べれるものである。


スープと麺の絡み具合が素晴らしい

東浦ターミナルパークを通過する。実は同じ日にパルさんと山の師匠がアワイチを走っている。自分が以前のブログでアワイチを同行してくれる方はいないだろうか?みたいなことを書いたのだが、それを見たパルさんが以前から走りたいと言っていた山の師匠に声をかけたところ、ちょうどこの日が丸一日空いていたようで急遽同日にアワイチを走ることが決まった。その時には自分はすでに単独で走ることを決めていたので今回一緒に走ることは実現できなかった。もし次の機会があればぜひともご一緒して頂きたい。そのパルさんと山の師匠がスタートしたのが、ここ東浦ターミナルパークである。出発時刻はおそらく同じ頃。今頃どこを走っているのだろうか。


ついに岩屋まで6kmの表示が!

4:21頃(09:21経過)
岩屋(78.0km地点)を通過
たんたんと走ってきたが、ここで初めてのピークを迎えた。この場合のピークとはもちろん身体の不調である。80kmほどでこれほどの疲労感を感じることになるとは。少し気を抜けば足が止まってしまいそうだ。眠気も少しずつ襲ってくる。これは深夜による影響なのか、はたまた実力がこんなものなのか。今言えることは、こんな調子で本当にたどり着けるのか不安なってしまったということ。まだ全行程の半分ほどである。100kmからが勝負と思っていたのに、まだ100kmまで20kmを残すところで足が鉛のように重くなってしまっている。しかも自分が現在立っているのは、出発した南淡とは真逆の位置である北淡であり、エスケープするにもどうしようも無い場所である。自分の足で走って帰らなければたどり着かない。周回コースである24時間走との一番の違いはこれだろう。目に見えた目標物がある。だからそれが原動力となって走ることができる。そう言い聞かせる。


トンネルを抜けるとそこも暗闇だった

今この記録をまとめながら、ルートミスをしていたことに気づいた。以下に正しいルートと自分がミスしたコースを載せておく。


確かにここの分岐は記憶にある。海岸沿いではなく内陸よりのコースを走っていたようだ。幸運にも(不幸にも)距離はそれほど変わらないはずだ。しかもミスしたコースはかなりの起伏に富んだコースであった覚えがある。おそらく海岸沿いよりも厳しいルートであっただろう。ご容赦頂きたい。

明石海峡大橋

明石海峡大橋の巨大な橋桁の下をくぐり抜ける。ようやく後半戦へ来たことを実感する。ここからが本当の戦いであり超長距離走の世界への入り口だ。しかし当の本人は疲弊しきっておりラップタイムがキロ8分やキロ7分を行ったり来たりしている状況。おまけに島の西側へ来ると、海からの猛烈な風が渦のように舞っている。風を浴びると体感温度が一気に下がり始め、ついには止まってしまった。

あぁダメだ。こんなところで…。

ふと顔を上げるとちょうど左手に自販機のある個人商店がある。そこの軒下に入り、風から身を守るようにして自販機の側に逃げ込む。まるで風が動くもの全てに襲いかかっているかのようだ。びゅーびゅーと不気味な音を立てながら獲物を探している。この時、完全に身体が冷え切っていた。ホットゆずティで身体を温める。そして決心した。


よし、服を着よう。

(普段は履かない)タイツを履き、モンベルの予備の長袖ウエアを着て、ネックウォーマーをつけ、防風の軽量ジャケットを上から着る。そして獲物を探して荒れ狂っている風へ身を投げ出す。

うむ。いけるぞ。

説明しよう!ギリギリまで寒さを我慢した上でウエアを着込むことで、服のありがたみを感じることができ、身体が復活し走れることができるのだ!と書くと賛否両論というかほとんどがお叱りの声になりそうなので、これについては偶然であることは認める。たとえば、タイツを履いたことで吹きさらしになっていた太ももにポカポカと熱を感じ取ることができる。まぁとにかく、ウエアを着込んだおかげでまた頑張れるようになったのである。


復活の儀

そして運命が鞭を打つかのごとく、走れるきっかけを更に与えてくれる。いや、正確に言うなら、走らされたといっても過言ではない。さきほど「歩道のない車道ほど走れてしまう」という旨を書いたのを覚えておられるだろうか。ここでそれについて説明したい。島の北西側付近である海岸沿いの国道は意外にも交通量が多く、歩道もないのでかなりの危険を伴う。すぐ脇を車が物凄いスピードで駆け抜けていく。すると、この身の危険から、早くここを突破したいという衝動に駆られる。それが原動力となって走れてしまうのだ。どうだろう。お分かり頂けただろうか…。


モーニングカフェオレ

危険な車道を抜けるといくつかの町へ出る。時刻は6時近くになり、真っ暗だった視界が徐々に青みがかってくる。1秒ごとに変化するグラデーション。超長距離を走っていてこの時間が一番好きだ。新しい光がゆっくりと全てのものを優しく包み込んでくれる。全てが滅び、全てが誕生する。打楽器が大地を振動させ、弦楽器の旋律に合せてゆっくりと地球が自転していく。管楽器を鳴り響かせて全ては光に包まれる。そこに宇宙の調べを感じ取ることができる。日常では聴き取れない。これは夜通し走ったものだけへのある種の交響曲なのだ。

えぇ。こんなことを考えながら走ってる時点で、だいぶ頭がおかしくなっておりますとも。




〜おまけ〜






単独!アワイチランニング!!第3章 〜天使と悪魔〜 
へ続く






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