2023-24 STMダブル760K ②結果まとめ

第4回 OSJ KOUMI100 2017 〜レースレポート②〜

第4回 OSJ KOUMI100 2017 〜レースレポート②〜


〜結果報告〜

〜大会概要とまえがき〜
〜レースレポート①〜
からのつづきです


▶︎▶︎3周目
《5:22:56 (↑3:00:57 ↓2:21:59) 区間順位10位》



14:11 (09:11経過)
66.6km地点
3周目スタート地点を通過

2周目を終え、選手待機場所で蕎麦を食べようとしていると突然声をかけられた。

野口さん!!

野口さんは数々のトレイルレースで入賞している山男。先日のUTMB2017も完走されている。今年4月の【BUNさんプレゼンツ】比叡山50マイル試走会!以来の再会だ。聞くとTさんのペーサーで来ているとのこと。そう、KOUMI100は4,5周目に希望者のみペーサーをつけることが可能なのだ。それまでの待機時間がヒマなようでオレのために水を汲んでくれたり蕎麦を持って来てくれたりして頂けた。

デポしていた荷物から食糧を取り出しザックに詰め込む。この時にメインとなるヘッドライトもザックに入れておいた。野口さんや一緒にサポートをされているY子さんと話をして気持ちを切り替えると3周目へ入っていった。

photo by まんじゅうさん

ロードで対面から2周目を終えようとしているまんじゅうさんに遭遇する。お互いにエール交換して先を進む。昨年4周目でまんじゅうさんに抜かれた記憶が蘇る。まだまだ油断はできない。このレースの恐ろしい所はどれだけ先行していても潰れてしまえばあっという間に後続に追いつかれてしまう。それに辞めてしまえばどれだけ速かろうが記録は残らない。何度も言うが本当に恐ろしいレースなのだ。

林道の登りを淡々と走っていく。まだ全コース半分にも達していない。ここでやり過ぎれば必ずあとに代償を負うことになる。心拍をあげすぎないよう気をつけながら走っていると、先に3周目へ入ったミスターOSJに追いついた。しばらく談笑しながら進む。彼についてはまた後ほど。

ここは戦略的にゆっくり行くとのことなので先行させてもらう。本沢エイド手前の登りで前から颯爽と駆け下りてくる女性ランナーに声をかけられた。


チカさん「りょーくん!!ファイトォォォ!!」


チカさん!!ハイタッチを交わしてエール交換。彼女は2016年OSJトレイルランニングシリーズで女子3位となっている実力者。まだまだ調子が良さそうだ。今でもハイタッチした時に感じた彼女の柔らかいグローブの感触を覚えている。(別に変な意味ではなく、パフッというとても柔らかい不思議な感覚だったもので^_^;)

本沢エイドに到着したのが1時間30分くらい。少し遅れが出始めているものの問題ないペース。ロードを小気味よく下っていき稲子湯エイドで温かいみそ汁を頂く。念のため750mlほど水分を補給してトレイルへ。

相変わらず頭痛は感じるも足取りはまだ重くない。時計を何度も確認する。なんとか2時間50分くらいでのピーク到達を目指すが意外にも刻々と時間は過ぎていく。2周目の登りを苦戦している方道を譲ってもらいながら進む。高度を上げていくと眼下には雲海がもくもくと広がり周囲の山々を飲み込み始めていた。


17:11 (12:11経過)
83.1km地点
3周目ピークを通過

ここでちょうど半分の地点。「もう半分も来た!」か「まだ半分しかきてないのか。」この時どう感じたかによって疲労度が分かるかもしれない。でもはっきり言ってそんなものはあてにならない。なぜならまだ本当の苦しみはまだ始まっていないのだから。それにこのレースを走ったことのある方の多くは半分に到達したとしても特にそういった感想はもたず、それよりも『半分=下ったらあと2周』という至極まともで妙に冷静な思考をされたのではないだろうか。

さて、ピークまでの所要時間は3時間。これは想定より少し遅れているペース。下りで取り戻したいところだが無理は禁物だ。それに下りに差し掛かった頃には日が落ち始め路面が見にくい。ライトを装着して慎重に下っていく。

ロードに出ると前を走るランナーに追いついた。しばらく抜きつ抜かれつを繰り返して稲子湯エイドへ。チキンラーメンがうまかった。

ランナーを何人か抜いて本沢エイドへ。うむ。時間は少しかかっているが調子は悪くない。白状すると、このペースで4周目を回れれば25時間台も狙えるはずだと考えていた。しかしタイムばかり考えていると失速した時の精神的ダメージが半端ないことは過去2回で嫌というほど経験している。だから"何があっても絶対完走する!"とバカみたいに何度も口に出しながら真っ暗な林道を駆け下りていった。



▶︎▶︎4周目
《6:28:29 (↑3:35:02 ↓2:53:27) 区間順位15位》




19:33 (14:33経過)
99.9km地点
4周目スタート地点を通過

スタッフの方の元気なアナウンスで3周目を終えて選手待機場所へ入ると、またもや野口さんY子さんに迎えてもらえた。パイプ椅子に座ると「何か欲しいものない?」「これいる?なんでも取っていってくれていいから」とトップ選手並みの手厚いサポート。Y子さんはサポート経験が多いのか初対面に関わらず積極的に何度も話しかけてくれる。そして野口さんはその豊富なレース経験から選手が何を求めているのか先読みして動いてくれる。まさかこんな事があるとは思ってなかったので素直に嬉しかった。お礼を言い、野口さんと固く握手すると4周目へと入って行った。

photo by 野口さん
MAGMA補給の図

photo by 野口さん
Y子さんからブドウもらうの図


3周目は5時間22分。予定より少し時間はかかっている。しかし決して無理したペースではないので4周目も同じペースで行ければ5時間30分くらいで帰ってこれるはずだ。そうすれば25時間台も夢じゃないと真剣に考えていた。

しかし予想に反して林道で歩きが入ってしまう。今までのように軽快に走れなくなっていた。マジか。焦る。眠気はない。それにエネルギー切れでもないはずだ。ただただ足が重い。走る、歩くを繰り返していると、背後から4周目にしては異常に速いペースで駆け上がってくる二つの灯りが近づいてきた。そしてそのまま抜かれる。なるほど。ペーサーを連れているのだ!確か彼は3周目の登りで抜いたオレンジ色の服を着たランナー。おそらく3周目を終えて休息せずにそのままペーサーを引き連れて4周目に入っているのだろう。かなり苦しそうだがペーサーの後を必死に食らいついている。

よし!ついていこう!!

意を決すると必死に自分も背後から食らいつく。そしてしばらく引っ張ってもらう。前のランナーの息遣いに比べれば、心肺的には問題ないのだがどうしても足が重い。徐々に彼らとの距離が広がる。なんとか食らいつきたいがどうしても走れない。二つの灯りが遠くで揺れるのをただ見送ることしかできなかった。

それでも本沢エイドまでは1時間40分くらい。遅れは出ているが致命的な失速ではない。まだ大丈夫。

稲子湯エイドを通過しトレイルへ入る。上からグッと押さえつけられるような重力を跳ねのけるように一歩一歩進んでいく。「この登りを耐え抜けられれば...」淡い期待を抱きながら暗闇に点滅する赤いライトを追い続けた。

脳に酸素がいっていないのか。視界がぐらぐらと揺らいでいる。目が回っているといってもいいかもしれない。思わずその場に座り込んだ。その隙にランナーに抜かれる。ザックから無作為にジェルを取り出してちゅうちゅうと吸い込む。やっぱりダメか。昨年も4周目で大きく失速したことが嫌でも思い出される。何も成長してないやん。ネガティブな思考がぐるぐると頭の中を渦巻いた。とにかく早くここを脱出しなければ。大きく息を吸って立ち上がる。すると満点の星空が頭上に広がっているのが目に入った。


23:08 (18:08経過)
116.4km地点
4周目ピークを通過

スタッフの方の拍手と元気な声を聞くとさっきまでの疲労はなんだったんだろうと思えるほど気持ちが生き返った。ピークまで3時間半以上かかったが2時間半で下れば6時間で1周を終えられる!まだ大丈夫!そう気持ちを切り替えるとヘッドライトの光量を最大にして山を駆け下りていった。

暗くてよく分からなかったが、稲子湯エイドを通過した後のロードで前からペーサーを連れたトップの選手が登ってきた。JRさんだ。なんて速さだ。かなりの差をつけられてしまっていることになる。最終的にJRさんは22時間30分というタイムで断トツ優勝する。

肝心のロードが走れない。歩く時間が多くなり始める。走れるのに走らないのか、走れないから走らないのか。

本沢エイドを過ぎて林道の下りを駆け下りる。ここだけはちゃんと走らないと!下から突き上げてくる足裏への嫌な痛みに歯をくいしばりながら揺れる灯りを追い続けた。



10/9
2:01 (21:01経過)
133.2km地点
5周目スタート地点を通過


ここまでです!
次回はいよいよ最終周となる5周目。
揺らぎ始める完走への思い。
そして完走へと導いたものは一体...


レースレポート③へつづく







コメント