2023-24 STMダブル760K ②結果まとめ

単独!ビワイチランニング!! 〜レポート④ 湖西編その1〜

単独!ビワイチランニング!! 〜レポート④ 湖西編その1〜


〜前夜〜
★★ライブ速報★★
〜概要とまえがき〜
〜レポート① 湖南編〜
〜レポート② 湖東編〜
〜レポート③ 湖北編〜
からの続きです


道の駅米プラザから反時計回りにスタートしておよそ18時間が経過。湖南、湖東、湖北をぐるっと走り続けて何とか140kmを走破。ちょうど日付けが変わった頃にマキノ駅付近に到着する。完結編となる湖西編では奇跡と超ウルトラの真髄を垣間見ることになる。果たして…


▶︎▶︎マキノ → FINISH 140km−190km
《マキノサニービーチ〜近江今津〜北小松〜道の駅びわ湖大橋米プラザ 50km 8時間31分 avg.10'13/km》


0:20 (18:20経過)
140.0km地点
マキノサニービーチを通過


マキノ駅に近づくにつれ足は軽やかに回転し、まるでそこがフィニッシュ地点であるかのように一目散に走り続けた。サニービーチというキャンプ場のような場所に自販機があったのでそこで補給する。外気温は確実に下がりつつあるのに、昼間に溜め込んだ熱のせいか、蒸し風呂にでも入ったかのようなムッとした不快感のようなものを体の内側に感じていた。

もうやるしかないな…
それしか選択肢がない…

ペットボトルの水を頭にかけながら辞める手段が無いことを悟った。電車やバスは終電を終えている。駅のベンチで始発を迎えてはどうか?そんなことすれば身体が冷え切って1時間と身が持たないだろう。あと60km(実際は50kmだった)。もうやるしかない。

湖周道路(54号線)の内側にある裏道を走る。2kmほど走ったところで疲労感が重石のように身体に乗りかかってきた。もうダメ。走れん。しばらく歩く。もはや歩くことさえも身体が拒否反応を示し始めた。アカン。横になろう。民家のそばの空き地で横になる。住民に見つかったら通報もんやな。またとぼとぼと歩き出す。

この辺りから近江今津周辺まではまともに走れなかった。いや、まともに歩けなかったという方が正しい。あまりの疲労と眠気で道端にごろんとひっくり返る。湖へ吹き抜ける風が寒すぎて眠れない。また歩いてはひっくり返る。そして寒くて歩き出す。こんなことを繰り返し続けていたように思う。

なにやってんだオレは…

もはや何度吐いたか分からない言葉をつぶやきながら、ちょうど近江今津の静かな町並みへ差し掛かった時だった。

もうこれでダメなら超ウルトラなんて辞めてやる

そう言うと橋の欄干で足全体に満遍なく水をかけた。想像以上に自分の足がベタベタだった。顔も手もベタベタが気になって全て水で洗い流した。それが終わると何かの儀式のように入念に足を伸ばしてストレッチ。もちろん濡れたせいで物凄い寒さが襲ってきたが気分はかなりリフレッシュされた。

いくで!
これがウルトラや!!

そう叫びながら集落の間を駆け抜けた。自分には底知れぬパワーがあるんじゃないかと勘違いしたくらいだ。このまま行ければ遅れを取り戻せるかもしれない!などと少し走れただけで全ての思考がポジティブに変わるのは自分でも呆れるばかりだった。

案の定こんなトランス状態はそう長続きするものではなく徐々に足が止まり始める。それでも歩くことはせず軋む体を無理矢理動かし続けていた。湖周道路沿いへと進路を変える。

うわ!なんや!これは!!

人気のない歩道は蜘蛛の巣だらけだった。しかも細〜い蜘蛛の糸ではなくめちゃめちゃ太いやつ。身体に巻きついた糸を切ろうとしてもプチプチと音がするくらい。公衆便所に寄ろうとした時にはその量の多さに気持ち悪くなって近寄れなかったぐらいだ。このままでは繭になりそうだったので車道脇を走ることにした。



その時だった


背後からゆっくり近づいてきた車から声が聞こえる


よく見ると…



ぴろしげさ〜〜ん!!
何してんすか!!こんなとこで!!こんな時間に!!
((((;゚Д゚)))))))


この時のBGMはどう考えても"ラブストーリーは突然に"以外思いつかない。まるで死別した彼女と20年ぶりの再会をしたような…そんな気分だった(ちなみにそんな経験はない)。


※photo by ひろしげさん

ひろしげさんと出会えたのは深夜2:30頃、ちょうど150km地点くらいだったと思う。しばし談笑。色々と話した覚えはあるが気が動転していて具体的に何を話したのかあまり覚えていない。「少し行ったところ待ってるわ。頑張って!」と仰ってひろしげさんの車は闇の中へ吸い込まれていった。



まさか来てくれるなんて!
頑張らなくては!


そう言い聞かせて走った。すると5kmほど行ったところでハザードを焚いた車が見える。ひろしげさんが迎えてくれた。そして談笑。また闇の中に吸い込まれていくテールランプを見ながら走る…



いや、走れなかった…


睡魔だ。
情けない...


これほどの睡魔に襲われたのはいつぶりだろう。超ウルトラを何度か経験するうちに睡魔に襲われることは次第に少なくなった。そうだ!大江戸小江戸のラスト30kmで睡魔に襲われて以来だ!!こうなると、もはや気力だけで進むしかない。ひろしげさんがいなければ…その辺で寝っ転がっていたに違いない。でも少し先でひろしげさんが待ってくれている。フラフラと蛇行しながら(橋の欄干に激突したり、茂みの中に身体を突っ込んだり、車に轢かれなかったのが奇跡的なくらいだ)、気力だけで満天の星空の下を進み続けた。どれくらい時間が経ったのだろう。もうひろしげさんは帰ったのかもしれない…


ひろしげさん「おーい!」


待っていてくれた。遅くなってしまったことを詫びる。それでも優しいひろしげさんは「すごいなぁ!」「あとフルの距離もないで!」と励まし続けてくれた。自分のボロボロの姿を見ても決してネガティブな言葉だったり甘い言葉を言ったりはしなかった。



ひろしげさん「もうすぐ夜が明けるからそしたらまた走れるよ!」
この言葉にどれほど救われただろうか


photo by ひろしげさん



ここまでです!
長くなりそうなので湖西編は2回に分けたいと思います。もうしばらくお付き合い下さい(^_^;)

レポート⑤ 湖西編その2(完結編)へつづく




コメント

しゅぴ陸 さんのコメント…
そこは
テッテレー
ぴろしが現れたーでしょ(笑)
心の声を文字にする力は天下一品やね^^v
ひゃっほい太郎 さんの投稿…
あぁ。やはり丹後中止になりましたか。
しゅっぴーvsぴろし
の対決楽しみしてただけに残念!。゚(゚´Д`゚)゚。