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第2回 単独!アワイチランニング!! その⑤ 〜絶妙なところ〜
★リアルタイム速報★その① 〜概要〜
その② 〜まえがき〜
その③ 〜START!!〜
その④ 〜月光〜
からの続きです。
!!
ようやく自分の不調を受け入れることができたのはこの瞬間だったように思う。タイムを気にするあまり不調に抗おうと躍起になってしまい、乗り越えられない自分に腹立たしさを覚えた。つまり、焦りがメンタルに大きく影響し、それら一連の流れが負のスパイラルを生んでいたのかもしれない。
それに気づくとようやく前向きな思考が戻ってきた。思わぬ不調が訪れたといえど、昨年の自分と比較してもかなりいいペースで進めていることは確かだ。今はペースが落ちたっていいじゃないか。まだ先は長いんだし。確かに100km手前で失速するなんて思いもよらなかった。そでも諦めなければ昨年より大きくタイムを更新できるはず。そして完走すれば何より自信につながるはずだ。小江戸大江戸で辛くなった時こう思えるじゃないか。
「アワイチでは行けたんだから大丈夫!」
不思議なもので、辞める口実にまでなった腸脛靱帯の痛みは歩きを入れることで気にならなくなった。環境も味方する。東の空がオレンジ色に染まり始めるのを見ていると、洞窟の出口をようやく見つけた冒険家のような気分になった。
6:51(08:01経過)
75.5km地点
道の駅福良を通過
75.5km地点
道の駅福良を通過
おはようございます!
福良へ着いた頃にはあたりはすっかり明るくなり、漁港町の一日が始まろうとしていた。漁師さんだろうか。地元の方と元気良く挨拶を交わす。朝から走るランナーともすれ違った。何気ないやり取りが冷え切った心を温めてくれる。あれほど辞めようか悩んでいた気持ちが嘘のように消え去り、代わりに「行けるところまで行こう。ダメなら仕方ない。」という良く言えば前向きな、悪く言えば半ば投げやりな気持ちが湧き起こった。
道の駅からは2kmくらい歩いた。歩いても焦りはもう感じない。大丈夫。そのあとちゃんと走れば十分取り戻せる。ここは超ウルトラの世界。ギリギリまで追い込みすぎてはダメだ。かといってサボり過ぎればその世界を味わえない。絶妙なところ。そこを維持するんだ。
8:35(09:45経過)
90.2km地点
灘土生を通過
90.2km地点
灘土生を通過
その後ようやく不調とは別れを告げ(いや、『和解』という方が適切かもしれない)、ペースを一時的に持ち直すことができた。南淡路水仙ラインの長い長い海岸沿いをキロ6'30で進み続ける。今まで失速すれば簡単にキロ7分や8分まで落ちていたことを考えると、またキロ6分台に戻せたことは素直に嬉しかった。何回か歩きを混ぜたとしても、走る時にしっかり走ればだらだら走り続けるより結果的には速い。
ピーヒョロロロロ
頭上にはトンビがゆっくりと旋回している。雲間から顔をのぞかせた太陽がジリジリと肌を焼く。昨晩の冷え込みが嘘のようだ。暑い。レインジャケットを脱ぐ。しかし風はまだ冷たい。右手には真っ青な海がキラキラと輝いている。目の前には果てしなく続くまっすぐな道。あぁこれだ。この感覚。うまく説明できない。足は重いし、歩きたい欲求にずっと駆られている。決して快適とは言えない。それに孤独だしこの瞬間を誰とも共感できない。それでも確かなことがある。それは、
最高に楽しいってこと
いいんだよ。
113.3km地点
由良を通過
予定よりは遅くなったが、昨夜の悪夢のような失速を最小限にとどめられた。ただ不調からは脱却したとはいえ、少しでも気を抜けば即逆戻りしてしまうというギリギリの状況であったことには変わりない。
120km地点の洲本でやめてもいいんじゃないか。
もう十分ロングの練習になったし。
これ以上走って足を痛めたら元も子もない。
お恥ずかしい限りだが、頭の片隅にずっとこんな考えが張り付いていた。それを振り払うかのように「あぁ最高に綺麗な景色!」「ほら!まだ走れる!走れるぞ!!」と気分を盛り上げ、無理矢理足の回転を上げつつある時だった。
ほぇ?
わっとはっぷん??
しかもそれが2回も。
次回更新をお楽しみに♪
その⑥へつづく
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