2023-24 STMダブル760K ②結果まとめ

第1回 奥四万十ウルトラトレイルレース 2016 その③

第1回 奥四万十ウルトラトレイルレース 2016 その③


からの続きです。

いよいよ今回からレース詳細をお伝えしていきます。


【レースレポート】


START → AS1
《旧越知面小学校〜姫鶴平〜天狗高原駐車場 約13km 1時間36分》




時刻は午前2:50。気温は…寒い。
防寒のためにレインウエアを着ようか迷ったが、気合いを入れるためにもいつものスタイル(ノースリーブ&アームカバー)でスタートゲート前に立った。ランナーは100名ほど(実際は125名)。それぞれがこれから始まる未知のコースに期待と不安を抱いていたように思う。かく言う自分もこの時様々な感情が頭の中を渦巻いていた。

どんなコースなんだろう
ランナーのレベルはどれくらいなんだろう
どれくらいのペースで走ればいいんだろう
道に迷わないだろうか
そういや朝はもりもりウ○コが出たな

スタート1分前!!

という主催者の怒鳴り声でこれらの雑念はどこかへ吹っ飛んでいき、ただただ楽しもう!誰よりも思う存分楽しもう!!という気持ちが代わりに生まれた。

※スタッフの方が撮影

午前3:00。
飛び出した一人のランナー(以降Y田さん)の後を追うような形でスタート。あれ?これ、どっち??いきなり立ち往生。赤テープはしてあるのだが二手に分かれている道はどっちか分かりにくい。(おそらくゆっくり行けば分かるのだろうが、走りながらは非常に難しい。しかも周りは暗闇だ。)何箇所か先頭のランナー同士で助け合いながら(苦戦しながら)舗装路を抜けると林道へ入っていく。兵庫出身のランナーとしばし一緒に走る。彼はロードランナーらしくトレイルレースは初とのこと。トレイルに入るとそこにY田さんも加わり3人で先行する形となった。

Y田さん「あれ?めっちゃ下ってますけど大丈夫っすか?」

先頭を行くY田さんが声をあげた。でも、分岐なんてあったかな?!テープのあった場所まで引き返してみるとすでにヘッドライトの列が上へ上へと上がって行っている。

3人「あ!間違えた!!(笑)」

序盤から痛恨のミス。しかもシングルトラックだからなかなか前を追い抜けない。ここは無理せずゆっくり前のランナーを追い抜かしながら標高を上げていった。トレイルを抜けると突如として幅の広い舗装路へと出る。ここは姫鶴平(めづるだいら)という場所で標高は1200mほど。さむっ!!周囲には風を防ぐものがなく一気に体感温度が下がる。身体を暖めるためにも舗装路に出てからスピードを上げた。第1エイド(以降AS)まで残り4kmほど。アップダウンのあるロードを走る。真っ暗だったのでよく分からなかったが、明るくなれば絶景が広がっているんだろうなぁという印象。それもそのはず。

ここは日本三大カルスト一つで
四国カルストと呼ばれるカルスト台地なのだ!!
(えっと、今調べました汗)

ちなみに明るいとこんな感じ

見えないカルスト地形を横目に徐々にランナーを抜いていく。暗闇の中に明らかに怪しげなクルマがあった。ジェントルマンの嗜みとして車内にはあえてヘッドライトの明かりを向けない(いや、ちょっとだけ向けた)。そして先頭に立つと天狗高原という看板が現れ始める。エイドまでもうすぐだ!




AS1→AS1.5→AS2
《天狗高原駐車場〜不入山〜鶴松森〜風車公園 約27km 3時間18分》





AS1に到着。
4:36分頃。スタートから1時間36分が経過。
発電機の音が鳴り響くエイドに到着するとスタッフの方が暖かく迎え入れてくれた。ボトルに給水しようとしてここまでほとんど水分を取っていないことに気づく。気温が低いせいだろう。そして後続を確認するため後ろを振り返ると思わず口に含んだ水を吹き出しそうになった。


じょ、女性ランナーー!!
なぁにぬぅねのぉぉ?!


レース終了後に分かったことだがそれもそのはず。彼女はSTYで女子2位になったことのある福岡の超速ランナー。「九州では誰にも負けない!」とおっしゃっていたのが印象的だ。オレもいつか言ってみたいセリフ。「大阪では誰にも負けない!」いや、これはハードルが高すぎる。「松原市○○(町名)では誰にも負けない!」に変更しよう。それでも厳しいか…。それはさておき、結果的に彼女は総合7位(もちろん女子1位)でフィニッシュ!!

※スタッフの方が撮影@AS1

まさかの女子ランナーに迫られていたことでようやくお尻に火がついたのかここからスピードアップ。すぐにエイドを出発すると走りやすいトレイルへと入っていく。下り基調なのでスピードも出しやすい。ただ、テープがあまりないので合っているのか自信が無くなる。分岐で注意深くテープを確認していたら後ろからヘッドライトの明かりが迫ってくる。トレイルを抜けると一旦舗装路に出た。



下っていく


しばらく走るとまたトレイルに入るのだが、ここでまたもや痛恨のロスト!!おそらくこのために切り開いたような感じの道らしく踏み跡がはっきりせず足場も悪い。なぜかテープが頻繁に無いので文字通り手探りで登るような感じだ。すると、突然テープがなくなりプチパニック!イメージ的に登りかと思っていた(実際はトラバースするような感じ)ので直登してみるがいっこうにテープは見つからない。プティ、いや、ビッグパニック!焦る。すると、下の方に後続のランナーのヘッドライトが見える。

あぁ追いつかれちったぁ(涙)

でも仕方ない。ロストした自分が悪いんだ。よく見るとY田さん!彼の後を追うように戻ると無事コースに復帰できた。しばらく並走するが途中で先頭を譲ってもらう。結局その後は一人旅となった。

トレイルを抜けたところで、未明の早朝にも関わらず7、8人の方が応援してくれていた。地元の方だろう。ワーという声援にワーと返す。それからはまた舗装路。ふと上を見上げると満天の星空が広がっていた。うぃほ!!あぶねっ!!ヘッドライトを消して星空を堪能していると、ロードに転がっている大きな石につまずきかけた。気持ちよく下っていくと、軽トラが横付けされていてスタッフの方が林道へ誘導してくれる。緩やかに登っていく感じだがペースを落とさずに走り続ける。得意の林道でできるだけ後続のランナーと距離を離そうと思った。『不入山へ』という看板が現れると登山道へ入っていく。


涸れた沢のような場所を直登する

黙々と標高を稼ぎながら後ろを振り返ってみる。後続のランナーの気配はない。おそらく夜明けが近いことを示し始めているのだろうが、文明社会にどっぷり浸かっている人間の目からすれば依然暗闇に等しい。すると…

ガサガサっ!!ガサガサガサガサっ!!!
うぉぉぉぉ…

すぐ脇の枝が揺れる。得体の知れない何者かが走り去ったのだろう。慌ててクマ鈴をリンリン鳴らす。そしてできるだけ大きな声で声をかけた。

朝早うにごめんなぁ
ちょっと通らしてもらうでぇ〜!!
今のオレをパックンチョしてもジェルの味しかせえへんでぇ

痩せ尾根に出る頃には、濃いブルーの中に朝日が少しずつ差し込みきれいなグラデーションを造っていた。おそらく登山者ならほとんどの方に同意して頂けると思うが、山の中ではこの時間帯が一番好きだ。刻一刻とその色彩を変える景色を両脇に、痩せ尾根の険しいアップダウンを一人黙々と越えていった。

@不入山山頂

標高1336メートルの不入山山頂に着いたのは6:25頃。辺りはすっかり明るくなりヘッドライトは必要なくなった。木々の合間から絶景が広がっている。土地勘が全く無いのでどこの山なのか何なのか分からないが、墨を筆でスーっとひいたように山々が連なっていた。山頂からは標高差600mほどを一気に下る激下りが始まる。すっかり明るくなったので走りやすくなるが油断は禁物。


こんなところで怪我でもしたら大変だ。丁寧な走りを心がけながらしばらく走ると山の様相が一変し始めた。苔むした大きな岩が敷き詰められている。その合間をひょいひょいと越えていくような感じで下っていくのだが、どこか幻想的で厳かな雰囲気が漂っている。それもそのはず。この辺りは四万十川の源流点らしく苔むした岩の合間からチョロチョロと水が湧き出ていた。

顔を洗って口に含むだけで汚れた心が洗われた

途中でスタッフの方が待機しておられ「ここからは苔で滑りやすいので歩いて下さいね」と促される。そこからはゆっくり歩きながら下っていくと音楽の鳴り響くテントが見え大きな歓声とともに迎え入れてくれた。

早朝にも関わらず元気な皆さん

AS1.5に到着。
6:46頃。スタートから3時間46分が経過。
事前資料ではここにエイドがある事は知らされていなかったので便宜的にAS1.5としておく。ドリンクを補給しながら目に入ったおにぎりをひょいとつまんで口へ放り込むと…

う、う、うみゃぁぁあああ!!
※当方大阪生まれ大阪育ちです

そして梅干しも頂くと「あぁ日本人でよかったぁ!」と思えるあの風味が口の中で広がった(これを書きながら思わず唾が出てきました。え?あなたも??笑)。堪らず、もう一個おにぎりをパクっ!!おかげさまでここまで山道30km超を走ってきたのが嘘みたいに身体が軽くなる。

お礼を言ってエイドを出るとしばらく舗装路走る。後ろとはどれくらい離れているのか全く分からないが気にしても仕方がないので、「マイペースでしっかり走り続ければ大丈夫」と自分に言い聞かせた。そして何よりレースを楽しむ事。いや、これに関しては無理にそう考える必要は無かった。未知のコースに自然と冒険心が沸き起こって、終始それがレースの原動力になっていたように思う。

舗装路から林道変わる地点にはスタッフの方(おそらく地元のボランティア方)が待機されていて誘導してくれた。「この林道どれくらい続きます?」と聞くと「ワシらもそこは入った事はないから分からんわぁ」と言われたのを覚えている。地元の人でも入らんところ…って一体どんなとこや!? 思わずニヤニヤしながら林道へと入って行った。

トレイルに入ると急に急斜面へと変わる。ここもテープが無かったら登山道とは全く思えない。この辺りからはなぜかテープがものすごく頻繁にあったので前半ほどロストに怯える事はなくなった。林道へ出たりトレイルに入ったりを繰り返すと…


注:つるまつ〜〜!!と叫んでます

標高1100mの鶴松森(かくしょうのもり)へ登頂。下って舗装路へ出るとグルグルと回る何機もの大きな風車が目の前に飛び込んできた。突如現れる巨大な人工物に面食らいながら走り続けると、約40km地点であるAS2のテントが近づいてきた。



ここまで!
次回はフィニッシュまでの様子をお伝えする予定です。どうぞお楽しみに♪

その④へ続く






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