2023-24 STMダブル760K ②結果まとめ

第3回 OSJ特別戦 KOUMI100 2016 〜リタイアの真相 その②〜

第3回 OSJ特別戦 KOUMI100 2016 〜リタイアの相 その②〜


〜概要と結果報告〜
〜リタイアの真相 その①〜
からの続きです

今回からレースを振り返りつつリタイアすることになった経緯を探っていきたいと思います。あまり構成(読みやすさ)など考えず、今回は思い出したことをダラダラと文章にするので、もし読もうという熱意のある方がいらっしゃるなら、何もすることがないおヒマな時間などに読むことを全力で推奨します。また、もし最後まで読んだ方で「おい!俺の時間を返せ!この時間泥棒!!」などと喚き散らす方がいらっしゃっても何ら不思議では無いですが、当方責任は負いかねますのでその点どうかご了承下さい。


▶︎▶︎1周目《4時間20分43秒 (昨年比 +4分42秒)》


ミフィオと
※おっきーさん撮影

スタート時刻の5時が刻一刻と近づいてきた。夜明け前の真っ暗な空の下、それぞれの装備に身を包んだ猛者たちが、これから始まるそれぞれの戦いに気持ちを昂らせていた。装備を何度も確認する者、久しぶりの仲間との再会に握手し合う者、前をじっと見つめ気を集中させる者。雨はまだ降っていないが、予報では雨雲が確実にランナーの行く手を阻むことを伝えていた。他の選手たちと同様にレインウエアを着込み、ヘッドライトを手元にスタートゲート前に並んだ。同行したミフィオと硬い握手を交わしお互いに完走を誓い合った。

そして5時。

全国から集まった約260名にも及ぶ挑戦者たちが雄叫びとともに走り始めた。先導車のテールランプがしっかりと見える位置を走る。先頭集団(といっても2,3名ほど)はこれから100マイル走るとは思えないほどの速さだ。ぐんぐん離されていく。空は徐々に白みを帯びていくのが見て取れるが足元はやはりまだ暗い。田んぼの合間を縫うように走るとやがて民家へと入る。コース上には矢印看板が出ているので迷うことはないだろう…おっと、ここで前を走る一部の集団が引き返してきた。道を間違えたようだ。暗くて看板がよく見えなかったらしい。後半になると判断がより鈍くなるのでコースロストだけは気をつけなければ。


民家が立ち並ぶ集落から突然その林道は始まる。昨夜降った雨のせいだろうか。地面はぬかるみ、所々に水たまりができていた。まだ暗いのでライトを照らさなければよく分からない。序盤から靴の中がビショビショになりたくないのは皆同じだ。水たまりを避けながら進むもそれが無駄な努力であることは後で分かることになる。徐々に勾配がきつくなり、歩き始める者、走り続ける者、ストックを器用に使いこなし力強く進む者、それぞれのスタイルで斜面を乗り越えていく。昨年は前半から走り続けたことが確実に後半の失速につながったので、今年は積極的に歩くことを取り入れた。歩いては走り、走っては歩く。前後のランナーと抜きつ抜かれつしながら進み続ける。すると木々の合間からポツポツと雨が落ち始め、徐々に雨足が強くなり始めた。レインウエアのジッパーを上げ出来る限り中のウエアを濡らさないようにする。汗はかくが、長いレースを考えると冷たい雨でビショビショになるよりはずっとマシだろう。ん?排水溝の音だろうか。ゴボゴボと立てる音に昨年の懐かしさが蘇る(KOUMIを走ったことのある方なら何のことかすぐにわかるだろう)。高度を上げると比較的なだらかな林道へと変わる。ここはしっかりと走れる区間だ。周回を重ねてもここだけはしっかり走ろうと誓う。下りの合流ポイントを過ぎ、ガレた林道を登ると『もうすぐエイドステーション』という看板が見えた。

本沢エイドだ。

雨が降り気温が低いせいか、水分はほとんど消費していないのでここはパス。これからここのエイドに何回もお世話になるに違いない。「また後ほど〜〜!」エイドの方に声をかけて走り抜ける。ここからは舗装路だ。下って登る感じ。舗装路の下りは勢い余ってぶっ飛ばすと後で痛い目を見ることになるのでここはセーブしながら下る。この頃からしっかりとした雨が降り出す。



橋には水はけが悪いのか降った雨がすでに溜まり出し、足の置き場が無くなっている。意を決して水の中に足をつっこみバシャバシャと音を立てながら通過した。分岐ではスタッフの方が大きくライトを振りながら道案内をしてくれている。「あと9回も会えますね〜!」そんな言葉をランナーに投げかけて気持ちを和ませてくれた。ん?9回も?本当に和んだかどうかはご想像にお任せする。ゆるやかな登りを登りきると『もうすぐエイドステーション』という看板が現れた。

稲子湯エイドだ。

マイカップを使って水を一杯だけ頂く。こちらもこれから何度もお世話になるエイド。少しばかりお話してすぐに出発した。少し舗装路を登るといよいよトレイルエリアへと突入する。いきなりの急登だ。まだ1周目なので何のキツさも感じないが、これが3周目を過ぎた頃になると物理の法則が狂い出したんじゃないかというほど前に進まなくなる。おっと、その話はイヤでも後でする事になるので今は置いておこう。パワーウォークを積極的に取り入れ力強く進む。標高差200mほどを登り切ると一旦林道に出る。その林道を100-200mほど進むとスタッフの方が立っていてくれて、またトレイルへと誘導してくれた。ここから山頂まで標高差約400mほどを登る。もちろんまだまだ元気なのでスイスイ登っていける。飛ばし過ぎると後が怖いのでペースは落としていても何人かパスする事ができた。気温が低いせいか、レインウエアをフードまでしっかり被っているにも関わらずそれほど汗をかかない(汗はかいているが不快感が無いと言った方が正しい)。本レース中ではファイントラックの下着が非常に役立った。個人差はあると思われるが秋から冬にかけての寒い時期や2000mを超える高山帯ではビショビショにならず汗冷えを防いでくれる。逆に夏は…。

2時間27分21秒

これは1周目のスタート地点からコース最高地点までの所要時間だ。予定通りと言ったところか。昨年と比較するとタイムは若干遅いが、前回よりも遅く1周目走り終える事が目標なので上出来だろう。ここから下りへと入っていく。はじめは比較的緩やかに下っていくが、途中からどこが登山道なのかはっきりしない激下りへと変貌する。しかもこの雨だとすると…あ!トゥルッ!早速ケツを泥だらけにしてしまった。ここで無理して怪我したら元も子もない。とにかく慎重に…トゥルッ!!ザーッ!!ヒャァーー!!!…。うむ。これは2周目以降が非常に楽しみだ…。天然の滑り台を何とか下り終えると笹エリアへと入っていく。斜面は緩やかだがここも舐めてかかると痛い目にあう。笹が伸び放題でどこがコースなのかよく分からない。完全に動物の勘で走る。「おっと!あぶね!!」深い笹のせいで足元がよく見えないので石や根っこに気をつけねばならない。ペースを落としながら潜む危険箇所を2周目以降のために頭に入れる(もちろんこんな情報は疲労のせいで1周ごとにきれいさっぱりリセットされることになる)。笹エリアへと抜けると見晴らしの良いゲレンデへ出る(もちろん天候が良ければ話)。ここはきれいに草が散髪されていて走りやすい。石や根っこも皆無だったので目をつぶっても走れるくらいだ。コース誘導の矢印看板に従い再度トレイルに入る。ここにも笹があるが先ほどと比べるとかなり走りやすくなる。ここが唯一トレイルランをしてるって感じれるエリアのような気がする。たったそれ以外は舗装路・林道・激登りのトレイルに激下りのトレイル。このコースを作ったOSJには頭が下がる思いだ。もちろん皮肉である。

「お疲れさまでーす!ゼッケンを見せてくださーい!」

スタッフの方が待つところまで行くとトレイル区間が終わり舗装路へ出る。ここから稲子湯エイドまで約2kmほど。腕組みして記憶を掘り起こしてみたが、1周目はこの舗装路区間をほとんど覚えていない。まぁそれだけ身体が元気で、あっという間にエイドまで辿り着いたのだろう。あ、そうだ!ここでやたらと腹が減ってソイジョイをむしゃむしゃと食べた。ソイジョイは大峯早駈の時に新藤さんや一太君に教えてもらった補給食。それ以降山のマストアイテムとなった。他のエネルギーバーと比べてあまりネチっこくないのでとても食べやすい。味も豊富なのでぜひお試しあれ。

「おかえりなさーい!!」

稲子湯エイドまで戻ってくるとボトルに水分を補給。エイドの方としばし談笑してすぐに出発した。ここからは先ほど来た道を逆走する事になる。本沢エイドまで5kmほどの舗装路が続く。もちろん1周目なので長い登りとはいえ何の苦しみも感じない。走り続けると後が怖いので歩いては走る、歩いては走るを繰り返す。それでも前のランナーから離されることはない。昨年は終盤ここで睡魔に襲われ幻覚のオンパレードだったのが嘘のようだ。1周目と4周目5周目では同じコースでも感じ方が大きく変化する。時間感覚がおかしくなり、全ての空間が長く引き伸ばされ、何かの袋小路に入り込んで脱出できなくなる。そういった感じだ。(分かりにくい?一言で言うなら、そうだな。『最悪な状況になる』と言ったら理解して頂けるかもしれない。)

本沢エイドを通過すると、行きとは異なる林道を約4kmほど駆け下りる。ここは結構ガレているので少し間違えれば足を捻る可能性があるので要注意だ。しかも路面は濡れ一部は川のようになっている。また、重力に任せて気持ちよく走りすぎると確実に足へダメージが蓄積されるので力加減が非常に難しい。とは言いながらも前のランナーの背中を追いかけるように走ってしまった。今考えるともう少し抑える必要があったかもしれない。舗装路へ出ると前から来たトップ集団とすれ違う。彼らはもう2周目に突入していた。果たしてこんなペースで最後まで持つのだろうか。トップは20時間を切るようなペースだ。

「18番目ー!!すごい!みんな22時間ペースだぞー(笑)」

スタート地点へ戻ると主催者のタッキーが元気な声でアナウンスしている。1周目は4時間20分43秒。18番目で到着。昨年よりかなり抑えたつもりでも5分ほど遅くなっただけだ。これはヤバイな。もっと抑えねばと思うがテンションが上がった身体を抑え込むのは至難の技だ。スタート地点では昨年同様温かい蕎麦が振舞われていたので頂く。うまい!濃い出汁の味が濡れた身体を温めてくれる。ここで預けていた荷物から食糧などを補給できるが2周分の食糧はザックに入れていたので、休憩もそこそこに2周目へと飛び出していくランナーのあとに自分も続いた。






〜おまけ〜

大会前日の選手受付・前夜祭の様子

昨年より圧倒的に人数が多い

豪華なメニュー

飲み物も豊富

争奪戦はあっという間に決着

わかりやすいコース説明





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