2023-24 STMダブル760K ②結果まとめ

OSJおんたけウルトラトレイル100K 2016 〈100マイル〉その④

OSJおんたけウルトラトレイル100K 2016 〈100マイル〉その④

その①(レース概要)
その②(スタート→CP1)
その③(CP1→CP2)からの続きです。

今回はCP2→CP3の模様をお届けします。
スタートからの72km。2つのループをクリアし、眠気もなく仲間にも会えて快調そのもの。しかし・・・おんたけ100マイルの本当の意味でのスタート地点にはまだ立っていなかったのです。

CP2→CP3
《第2関門(一ノ瀬分岐)〜小エイド〜第3関門(白谷川) 約31km 4'21"15 区間順位37位》


4:18(08:18経過)
約72km地点
CP2(一ノ瀬分岐)を通過

そこは大勢の100Kランナーで溢れかえっていた。彼らにとってもオアシスであったに違いない。ちょうど昨年の自分のように。人をかき分け補給をし終えると、目の前に突如現れたランナーにパルさんと目を疑った。

ミフィオ!!
(※100Kスタート時。右の方はBUNさん)

誰よりも元気な様子である。それもそのはずだ。彼、いや彼女は持ち前の一定ペースで走り続けられる走力と精神力を活かし、ここ半年でフルやハーフの自己ベストをどんどん更新している。来シーズンでは国際ランナーの資格(3時間13分以内)取得を目指しているほどだ。またウルトラの活躍も目覚ましいものがあり、今年の奥出雲ウルトラおろち100kmでは激坂コースにも関わらず10時間30分台で女子優勝、総合11位というとんでもない記録を打ち出している。あくまで個人的な推測だが、彼女には超長距離走に対して底知れぬポテンシャルを秘めているのではないか?!と感じている。しかしそんな彼、いや彼女にも苦手なことはあるのだ。その話はまた後ほど。


あたくし(右端)、
おじいさんのようになってます(笑)

奇跡的にもレース中に山とこトリオが揃ったので記念撮影。現在100Kは約32km地点、100マイルは約72km地点。互いにまだ全行程の半分にも達しておらず戦いは始まったばかりだ。絶好調のミフィオは「先行っとくでー」と疲弊し始めたおっさん2人をよそに先行。補給食などのザックの整理を行いバナナを数本を食べてオレがその後に続く。エイドの大きなおにぎりをうまそうに食べていたパルさんが最後に出発した形となった。

ここから小エイドのある90km地点までは下り基調とはいえ何度もアップダウンが続く。徐々に漆黒の闇から淡いブルーの空気に包まれ始める。ヘッドライトの明かりに頼る必要がなくなると頭から外してザックへしまった。ここまでは自分でも驚くほどいいペースで走れている。このまま失速することがなければ本当に18時間切りできるかもしれない。そんな淡い期待が頭をよぎる。しかし現実はそう甘くなかった。距離を重ねるにつれ、どっしりした疲労感を急激に足に感じ始める。まだ走れてはいるものの明らかにペースが落ち始めるのを実感し始めた。食料(CLIFバーの残りを食べた)や水分などは十分過ぎるほど摂っている。眠気はまだあまり感じないが睡魔の存在が遠くの方にぼんやりと見えている。


なぜだ…
やはり走力がまだ不足しているのか…

80kmを過ぎまだ全行程の半分ほど。ここで失速すれば、前半の頑張りが全て水の泡となってしまうと思い、ペースは落ちながらもできる限り走り続けた。とにかく我慢。共に戦っているマイルランナーを探すがいない。後ろから来る気配もまるでない。速いマイルランナーと中間ランナーのちょうど狭間にいるのだろうか。周りを見渡すと100Kランナーも苦しそうだ。彼らと抜きつ抜かれつを繰り返しながら走る。

「もしかして長崎で優勝された方ですか?!」

後ろから猛烈な勢いで追いついてきた100Kランナーに突然声をかけられた。声をかけられたことも嬉しかったが、それ以上に長崎(長崎橘湾岸スーパーマラニック)の存在を知っておられた方とおんたけで出会えたという事実が嬉しかった。全国的に見てもマイナーな大会である長崎のこと、ましてやそれを走ったオレのことをどうしてこの方が知っておられたのか。話を聞くと、当ブログを読んで下さっているのもあったが、別の理由もあった。長崎に関する記事の画像に偶然にもこの方が映り込んでいたらしい。それがこちら。

一番左端の方
(間違っていたらすみません)
記事はコチラ

今春の長崎ではボランティアとして大会を支えて下さったようだ。そして話を聞くとなんとこの方、秋のW273kmをすでに完走していらっしゃる金龍ランナー!!長崎トークに華が咲き自然とペースアップ。しばらく並走させて頂いた。今年の秋はまだエントリーするか悩んでいるが、長崎ではぜひお会いするのを楽しみにしている。こちらがペースダウンすると軽やかな足取りで先行されていった。 

伐採の途中なのだろうか、木材が散乱した林道でようやく彼女に追いついた。ミフィオだ。ちょうど下り。少しへっぴり腰で走っている。そう、彼女はトレイルの下りが苦手なのだ!ロードでは逆に下りはスイスイ走ってしまう(いっちーさん直伝のペンギン走法)のだが、昨年の秋に大江山で足の捻挫(靭帯損傷)という大きな怪我をして以来、林道やトレイルなど足場の悪い場所は苦手となってしまい、以降トレイルレースの参戦は敬遠している。おんたけの林道の下りはトレイルほどではないが苦戦を強いられている模様。しかしその分登りでは男子顔負けの走りで多くのランナーをごぼう抜きしている。しばしミフィオのお尻を眺めながら引っ張ってもらう。

5:50(09:50経過)
約90km地点(実際は84km?)
小エイドを通過

「キツいっすね。」ようやくこの小エイドでマイルランナーの方と出会う。お互いゼッケンを見合うと自然と声を掛け合った。こうした目に見えない絆が生まれるのが超長距離や100マイルの良さかもしれない。もちろんレースなのでお互いライバルだが、同時に同じ苦しみ喜びを誰よりも共有しあえる仲間だ。この方(確か123番の方のように記憶している)とはこの後何度も抜きつ抜かれつをし合うことになる。

「りょーくん!ファイトォ!!」

エイドを出ると後ろから地響きを伴うような声が聞こえてきた。ミフィオだ。まるで『もうお主とは会うことはないだろう。お主はこのまま突き進んで必ずや完走するのじゃぞ!』と言われているような感じの力強いエールだった。「おう!」後ろを振り返り、男性15人ほどの集団の中で紅一点光り輝くミフィオに力強く返答する。『お師匠様!ありがたきお言葉!お師匠様も周りの男どもに負けることなきよう!どうぞご無事で!』という意味を込めたつもりだが伝わっただろうか…。しかし、幸か不幸かお師匠様とはここで永遠の別れとはならなかった。

「ここで失速してはならない!」ミフィオと別れてからもある種の脅迫とも取れるような考えが頭の中を占めていたことを白状する。このままだらだらと歩いてしまえば睡魔に襲われ20時間切りはおろか完走も危うくなるのでは?!という不安から身体に鞭を打ち始めた。つまり、無理をし始めたのだ。残り20kmほどならビシバシ鞭打って無理をする必要があるかもしれない。しかし100マイルレース。残りまだ70km近い林道を走らなければならない。先ほどの小エイドで勇気を出して、シューズを脱いで目をつむり、10分ほどしっかりと休息をとっていたらどうだっただろうか。もちろん、『たられば』の話なのは充分理解しているが、恐らくこの10分の犠牲で結果的には30分いや1時間もタイムを早めていたかもしれないと猛省している。

だがこれもレースが終わった今だから冷静に分析できることである。この時、当の本人は駄馬に鞭を打つかのごとく、良いペースで走る100Kランナーの背中にぴったりとくっつき5kmほどのアップダウンをこのランナーとともに走り抜けたのだ。本当は次のエイドであるCP3までの13kmを一気に走り抜けたかったが、そんなことができるわけもなく5kmほどでペース走についていけなくなった。ついには歩き出してしまい、ここからCP3までは文字通り地獄と化す。

ひゃっほぉぉぉい!

背後から奇声を発しながらピンク色の塊が追い抜いていく。あ!お師匠様!!あたりを見渡してもこの登りの区間で走っている100Kランナーは見受けられない。淡々としたペースで力強く登っていく。もはや周りの男どもは成す術もない。ここでミフィオに華麗に追い抜かれてしまった。

大会HPより

昨年の100K出場時もドロップのあるエイドまで永遠にたどり着かないんじゃないかと思えるほど遠く感じた。まさにデジャブ。もちろん今年と昨年ではここまで踏んできた距離が40kmほど違うとはいえ、この区間を克服できなかったのは大きな反省点かもしれない。ようやく100km地点という立て札を通過。あと少しだ。すると遠くの山肌に蟻の行進のごとくランナーが点在しているのが見えた。「マジかよ・・・あそこまで行ってもエイドないんかい・・・」空虚さと絶望が入り混じった感情が生まれ、ついに睡魔に取り憑かれ始めた。

「りょーくんやん!!」

次々と100Kランナーに抜かれ、睡魔とともに林道をフラフラ歩いていたちょうどその時、背後から馴染みのある声が聞こえてきた。パルさん!彼の元気そうな横顔を見ると他人事ながら嬉しさが込み上げてきた。彼に少しでも引っ張ってもらおうと力強く歩を進めるが、どうしても力が入らない。ついにはついていけなくなった。

「ダメだぁ〜先行ってくれぇぇ〜」

パルさんに抜かれてしまった頃から断続的にザッと雨が降り始めた。完全に弱り切っている状況での雨はメンタル面・フィジカル面をズタボロにしていく。もうやめたい。いつまでも続く林道、力の全く入らない足、身体を冷やし体力を奪っていく雨。つい数時間前には想像だにしなかった自身の弱さがむき出しになり始めた。やめるにせよ次のエイドまでは必ず行かなければならない。とぼとぼと歩く。いつの間にやらタイムや人と競い合うレースではなくなった。完全に自分との戦いだ。何としてもエイドまではたどり着かなくては・・・。顔を上げるも砂と石ころばかりの道が果てしなくつづく・・・


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今回はここまで!
次回その⑤ではいよいよ後半戦に突入。
乞うご期待♪

その⑤へつづく

〜おまけ〜

岩湧山耐久戦(トレイル)2往復をした翌日
山トコで滝畑へ

パルさんミフィオが
1往復スピードハイクしている間に
オレはまたもや岩湧山耐久戦トレイル2往復を実施




やっぱり仲間がいると頑張れる!

前回 2時間51分46秒
今回 2時間44分54秒

約7分弱タイム更新!

【岩湧山耐久戦(トレイル)】 
7/23(日)
滝畑茶屋↔️岩湧山 2往復 
計18.5km(ロード3.5km・トレイル15km) 
2時間44分54秒
累積上昇高度 1317m 
累積下降高度 1316m 
(Epson SF-710にて計測)

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