2023-24 STMダブル760K ②結果まとめ

OSJおんたけウルトラトレイル100K 2016 〈100マイル〉その⑤

OSJおんたけウルトラトレイル100K 2016 〈100マイル〉その⑤

その①(レース概要)
その②(スタート→CP1)
その③(CP1→CP2)
その④(CP2→CP3)からの続きです。

記録を狙えそうなほど快調だった前半戦からは一転、CP2(72km地点)以降足が止まり始める。また、追い打ちをかけるように断続的な雨がメンタル面をズタボロにしていった。荒廃したかのような果てしない林道をとぼとぼと歩き続け、ようやくCP3(103km地点)へ到着したのであった・・・


CP3→CP4
《第3関門(白谷川)〜第4関門(白川) 約15km 2'34"14 区間順位64位》



08:39(12:39経過)
約103km地点(実際は101km?)
第3関門(白川谷)を通過

「35ばーーん!」雨が激しく降る中ドロップバッグの受け渡しをするため大声でゼッケン番号を叫ぶ大会スタッフの声が聞こえてきた。ふぅ。なんとかたどり着いた。預けていた荷物を受け取ると、大勢のランナーの中に顔馴染みのあるランナーの姿が。ミフィオ、パルさん、おとっつぁん(序盤は眠気で苦しんだようだが途中で気絶するように寝て見事復活を果たし、このエイドへ到着する手前で抜かれた)だ。安堵感で満たされる。ドロップバッグの中からコーラを取り出しガブガブと飲み干す。

どうやら先行していたミフィオは股関節(?)に痛みが生じてしまい、このエイドで食事を取りながら30分ほど休息していたようだ。100Kは残り22km。「歩いてでもゴールへ行くよ〜!」と元気な様子で降りしきる雨の中エイドを出発していった。に対してオレはというと座り込むと動けなくなってしまった。彼女の言葉を借りるなら、その時の自分は顔面蒼白でリタイアするかもしれない様子だったらしい。


※パルさん撮影

続いておとっつぁん、パルさんがエイドを元気よく出発していった。フードに打ち付ける雨音をBGMに黙々と補給した。あまりにボォっとし過ぎて手に持っていた赤飯が手から滑り落ち、砂だらけになって食べることができなくなってしまった。ふとあたりを見渡しマイルランナーのゼッケンを探す。すると救護班のテントに数名のマイルランナーが椅子に腰掛けているのが見えた。サバイバルシートにくるまっている方もいる。彼らはリタイアするのだろうか。それを見てレースを辞めてしまいたい衝動が襲う。残り60km弱とはいえここに辿り着く前のフラフラがあと60kmも続くかと思うと・・・

「歩いてでもゴールへ行くよー!」

そんな時、先行する際にミフィオが残していった快活な言葉が頭の中に響き渡った。同時にブログタイトルにもあるAK(アントン・クルピチカ)のUTMB2014での走りを思い出す。前半戦で次々と強豪選手がレースを諦めリタイアしていく中、彼はトップと7分差の5番手につける。しかし後半になると苦しい展開が待ち受け、ついには140k地点で足が止まってしまう。だが彼はここであきらめなかった。上位争いはできなくても完走することはできると考えたのだろうか。そして当初の予定より大幅に遅れ26時間30分(47位)でフィニッシュ。自分とは全くレベルが違いすぎるが、彼の姿を自分に無理矢理重ね合わせる。

youtubeより

腕時計を見るとまだ制限時間の24時間まで残り11時間ちょっと。確かに目標には全然届かないかもしれない。でも、たとえ歩き倒したとしても完走できるじゃないか!何を弱気になってるんだ…。お前は苦しみを味わうため100マイルに挑戦したんだろう。おとっつぁんやパルさんが力強くゴールへ向かって出発していく後ろ姿が思い出された。もはや100Kも100マイルも関係ない。今ここにいるランナー全員が同じ目標に向かって立ち向かってるんだ!よし!ボトルに水分を補給し、雨の降りしきる林道へ走りだそうとしたちょうどその時だった。

ヒマ兄(にぃ)!!
(※写真は長崎橘湾岸スーパーマラニックの時のもの)

雨というコンディションにも関わらず、真っ黒なグラサンをしたヒマ兄の元気な姿がそこにはあった。彼はスパルタスロン完走を目標とするほどのウルトラ大好きランナー。おんたけでは昨年の100Kで惜しくもDNFしてしまったのでそのリベンジとして今回再挑戦している。もちろん目標は14時間切り。現時点でのタイムを考えると14時間切りが見えている。今後はTDSやKOUMI100といったビックレースに出る予定だそうだ。
※ヒマ兄はその後も順調に走り続け見事14時間切りを達成。おめでとうございます!!

ヒマ兄にも元気をもらい勢いよく雨の林道へと飛び出したものの、足の重さは全く変わっていなかった。やはりダメか…。100Kの歩いているランナーにもガンガン抜かれていく。その中にマイルランナーのゼッケンを見つけると、ある感情がぐっと込み上げてきた。この感情は何なのか。情けなさなのか悔しさなのか…。よくわからない。「とにかくこれじゃダメだ。こんなんじゃ全然納得できない。」といったような感情だったと思う。

そのマイルランナーは雨具も着ずノースリーブのレースウエアで雨ざらしの状態で走っていた。オレは何をやってるんだ!!急にレインウエアを着てとぼとぼと歩いている自分が恥ずかしくなった。走らないから寒いんだろう。何やってんだオレは。言い訳なんかせずにレインウエアなんて脱いで走れよ。現状を少しでも変えるため、着ていたレインウエアを脱いで代わりにインナーに予備ウエアのファイントラックを着る。そして予備の靴下(ドライマックス)に履き替えて気分を一新させる。走れば体温も上がり全身への血流がよくなったのか足の重みもふっと軽くなったような感覚を覚えて、ゆっくりではあるもののまた走ることができた。

CP3からCP4への約15kmのほとんどが下りだ。まわりの100Kランナーたちは14時間切りという目標を目指して足早に駆け下りていく。何とかその波に乗ろうと彼らと一緒にできる限り走った。もうすぐCP4に着こうかというその時、前方にフラフラと細かく蛇行しながら歩いているランナーがいた。も、もしや、あ、あれは?!

パルさんやないっすか〜!!

「いやぁ眠気が襲ってきちゃったよ〜(part2)」
(※写真は大泉緑地100kmチャレンジの時のもの)

当シリーズを熟読してくれている方なら理解して頂けると思うが、過去に一度追いついた際も同様のセリフを言っていたような気がする。しかし今回は本気(マジ)で眠そうだ。彼の顔を覗き込むと、ただただ眠そうなだけであって、胃腸の調子は全く問題無さそうなので一安心。しばし他愛もないおしゃべりをしながら一緒に走る。

その③でもお伝えした通り、彼はウルトラをこよなく愛するベテランランナー(ラン歴15年以上?!)なのだが、100km以上の大会になると激しい吐き気に襲われ(時にはもう出るものが無いほどまで追い込むこともある)、無念のリタイアを余儀なくされることも少なくない。しかし今年は大会や練習を含めると奥熊野ウルトラ100km、アワイチ140km、大泉緑地101kmを走りきっており、身体のトラブルとうまく向き合って自身の問題を克服しつつある。自分にとっては師匠のような存在(彼は弟子をとらない主義らしいが)である彼の奮闘ぶりに刺激をもらい下るペースが少しずつ上がった。

「100マイラー!かっこいいぞ〜!!」

また、関門のエイド近くになるとスタッフなのかボランティアの方なのか2人組の若い男性がハイタッチをして声をかけてくれた。最終関門に到着してもあと40km以上もあるという現実にちょうど辟易しかけていた時だったので、パルさんとの出会いやこの2人組の元気な声援のおかげで、やるしかない!頑張らんかい!!という気持ちにもう一度引き戻してもらうことができた。

そして最後の関門であるCP4(約118km地点)が現れる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

次回はいよいよ完結編!!(のはず)
そう簡単にはゴールさせてもらえないのがおんたけ100マイル。
最後に気が狂いそうな鬼のループ③が待ち受けていました・・・・
次回更新お楽しみに♪

その⑥へつづく



コメント

もりもりサラミ さんのコメント…
ずっとブログタイトルのAKっ何?
と思っておりました。
今回それが分かりすっきりいたしました。
動画の英語はまったく分かりませんでしたが…
ひゃっほい太郎 さんの投稿…
名前がどんどん変わっていってる(笑)
もりもりサラダ油さん、コメントありがとうございます!

確かにAKって何?と別の方にも聞かれたことがありますね。ブログタイトルが長いんで「AKブログ」とでも呼んでやって下さい。

こういうレース系のビデオはスペイン語やイタリア語のものも結構あるので面白いですよ。全く言葉は分かりませんがw