2023-24 STMダブル760K ②結果まとめ

第7回 小江戸大江戸200K 2017 その⑦ 〜大江戸・中編〜

第7回 小江戸大江戸200K 2017 その⑦ 〜大江戸・中編〜


その① 〜準備編〜
その② 〜結果報告〜
その③ 〜大会概要とまえがき〜
その④ 〜小江戸・前編〜
その⑤ 〜小江戸・後編〜
その⑥ 〜大江戸・前編〜
からの続きです


熊野町交差点で右折し山手通りを走りぬける。身体の燃料は取り込まれた空気でより一層赤く燃え盛り、胸のポンプからは力強く血液が全身に送り込まれる。あれから10km近くトランス状態は続いていた。蒸気機関車のようにシュコシュコと音を立て、白い煙をモクモクと吐き出しながら。

しかし、エイドまで残り2kmという所で唐突に終わりを迎えた。まるで蝋燭がふっと吹き消されるかのようにそれは一瞬の出来事だった。信号待ちでは電柱にもたれなければ立っているのもやっとなほど。とにかくエイドまではしっかり走ろう。駄馬に鞭を入れた。


20:14 (12:14経過)
128.0km地点
avg.5'43/km
成願寺ASを通過

お〜〜い!!

エイドの方や応援で来ていているたくさんの方々が外で出迎えてくれた。建物の中に入ると先ほどまでのフラフラ感はウソのように消え去った。(確か愛媛出身だったと思う)気さくなお兄さんが世話をしてくれた。

お兄さん「カレーいるか??」

食べます♪( ´θ`)ノ
大盛りでw

鹿カレー
うっひゃ〜うまひょ〜♪

いっただきまーす!

川越(蓮馨寺)から37kmもの間一切エイドがない中を走り続けてきたのでこの鹿カレーの味は格別だった。それに人とこうして話すことでどれほど救われたか。「大丈夫。いけるぞ!」弱音を吐きそうになった自分にそう言ってくれたお兄さんの言葉が今でも耳に残っている。おかげでまた頑張ろうという気持ちに引き戻してくれた。改めて感謝したい。ありがとうございます。

また、このエイドである方にラインを送った。ある方とはいつホノっちだ。応援に来てくれるという旨はその①〜準備編〜でも書いた通り。事前に大まかな到着予想時刻を連絡していたのだが現在1時間ほど早く到着している状況。大会HPの速報で通過時刻を見てくれてはいると思うが、念のため成願寺ASを今から出て東京都庁CPに向かうことを連絡した。電池が心配なのですぐにオフラインに切り替える。

大勢の方に見送られ再出発した。さてここからは東京の数々の名所、そして繁華街をひとりで旅することになる。スマホを片手にルートを間違えないよう常に現在地を把握しながら走った。

130km地点
東京都庁CP

東京都庁でいつホノっちを探すも見当たらない。この石の影にでも隠れてるのかな?と思って裏へ回ってみるがもちろん誰もいない。いつホノっちには申し訳ないが待っているわけにもいかないのでラインで先を行くことを連絡した。※予定より早くオレが到着しているので、いつホノっちは電車移動では間に合わないと判断し車で向かったものの、慣れない都内の運転に大苦戦してしまい会うことができなかった模様。そこまでして応援に駆けつけようとしてくれたいつホノっちには感謝しかありません。しかし後で奇跡が!!その話はまた後で。


井の頭通りへ左折し、代々木公園内を走り抜けると何かのコンサートがあったのか人がわんさか。ん?メンズだらけ。アイドルか何かのイベント?!すいませんすいません!と人をかき分けながら走り抜ける。

ここが原宿かぁ!っと感慨に浸るのも束の間。歩道には若者たちの集団が闊歩している。そこをメッシの華麗なドリブルのごとく走り抜ける。もちろんBGMは『原宿いやほい』(サビしか知りません)。

原宿でひゃっほい♪♪

外苑西通りに入ると…


「頑張ってください!」

前から走ってきたジョガーに突然声をかけられた。おそらく小江戸大江戸の事をご存知なのだろう。「ういっす!」不意打ちだったのと疲労からこんな返し方になってしまった。でもたった一言の会話だけでシャワーでも浴びたかのように気持ちがリフレッシュされるから不思議なものである。

137.5km地点
グランドハイアットCP

ギロッポンを颯爽と走る高級車を眺めていると六本木ヒルズのグランドハイアットCPに到着した。ちょうど石の前が工事中でうまく撮れないので苦戦していると、モデルのようなシュッとしたメガネ男子に、まるで新種の植物かどうかを判別する学者のような目で注意深く見られたことを覚えている。


映画やドラマでしか見たことのなかった東京タワーが徐々に近づいてくる。冷んやりとした夜の空気に浮かび上がったそれは想像以上に美しかった。まるで頭の中で思い浮かべた初恋の相手のように。撮影ポイントまでの上り坂をとぼとぼと歩いて登っていると、巨大な生物のようにぬるりとしたハイアーから若者たちの騒ぐ声が聞こえてきた。彼らもオレも「今を楽しんでいる」ってことには変わりない。

パーリーナイっ!

139.8km地点
東京タワー(ノッポン兄弟)CP

さぁ次のエイドまで4kmほど。疲労に加え地図読みや信号待ちでここ10kmほどは明らかにペースが落ちている。とにかくエイドまではしっかり走ろう。しかし錆びついてしまった足はそう簡単に回転しない。歩道橋を渡り日比谷公園を右手に北上する。信号待ちをしている間にそばにあった石の上で寝っ転がる。信号が青に変わる。よし行こう!


その時だった・・・



photo by BUN
え?BUNさん?!

なんとわざわざ東京まで応援に駆けつけてくれた!!この時の驚きたるや。今冷静に考えてみると、夜中の交差点でおっさん二人が「えー!えー!マジー?!」と昼休みの女子高生のようにキャッキャ騒いでいたと思う。もっと言うならば驚きすぎて500kcalくらいエネルギーを無駄に消耗したかもしれない(笑)。次のエイドまでおしゃべりしながら一緒に並走してもらう。

BUNさん「トップで来ると信じてたわー!」

オレ「完全に突っ込みすぎちゃいましたぁ〜。」

BUNさん「そういや彼女できた?」

オレ「BUNさんが好きです。彼女になってくれませんか?」

こんな他愛ない話をしながらBUNさんと一緒に走るとあれほど落ちていたペースが嘘みたいに上がった。それでもキロ6くらい。140km以上走ってきた足でキロ6ペースが出るのは、夜店の『サメ釣り』でお店の人の背後に並ぶ大きな箱が当たった時くらいの喜びがある。

祝田橋を渡り、皇居を横目にBUNさんと走っているとスタッフの方が「もうすぐですよ!」と声をかけてくれた。高架をくぐると竹橋のオアシスこと『こあしす接骨院』に到着した。



22:20 (14:20経過)
144.1km地点
avg.5'57/km
こあしすASを通過


photo by よーこりん

あれ?!
いかがわしいお店に入っちゃったかな? ←失礼

エイドに入るなりコスチュームプレイヤーの美女軍団に迎え入れられた。これには硬派一徹で有名な自分も思わずたじたじ。鼻の下びよよよ〜〜〜ん。145km近く走ってきた疲労ではまさに桃源郷(笑)

前夜祭でご一緒した方(ばしこさん)の友人であるようこりん指名すると探すとナース服の方だった。たくさんお世話して頂く。とても積極的で優しい方だ。もちろん変な意味ではない。そして「坂好きのタカさん知ってる?」とセーラー服の女性。なんと坂好練習会のさえみさんだった。ミツバチの方には飲み物を運んで頂いたり、てんとう虫やミニスカポリスの方にもよくして頂いた。

このエイドで渋谷さん(2位になる)、そして髙橋さん(1位になる)に追いつかれた。髙橋さんとは顔を見合すなり「あーーー!!!」。彼とは一昨年(2015年)のKOUMI100の最終周でお互いに失速した仲。まさかこんな大会で、しかもこんなシチュエーションで出会うとは!!彼は俺みたいに鼻の下びよよよ〜んとなることなく水の補給だけするとすぐに出発した。お礼を言って彼に続くようにエイドを出発した。




残り60km

その⑧へつづく





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