2023-24 STMダブル760K ②結果まとめ

長崎橘湾岸スーパーマラニック273 春のステージ 2015 その⑤ 完結編



長崎橘湾岸スーパーマラニック273 春のステージ 2015 その⑤ 完結編
L部門173km

その④からの続きです
いよいよ完結編!(のつもりですw)前回は138.8km地点の飯森峠香田エイドCPまでの様子でした。S部門(55km)やM部門(80km)のランナーからの声援を受け、元気を取り戻し、このまま最後まで突っ込めるんじゃないかというペースで飯森峠の激登りを走りきった所までをお伝えしました。しかし、ここは超ウルトラの世界。そんなに甘くはありません。ここからは地獄と天国が入り乱れることになります・・・

【飯森峠香田エイドCP(138.8km)〜千々石集会所エイドCP(163.7km)】


飯森峠を登りきった後は、上の画像にある通り一気に下ります。ん?!よく見ると、一気に下った後、またもや飯森峠とほぼ同じ標高差を登り返さなければなりませんね・・・(汗)

10:25頃
飯森峠のエイドで補給を終えて、元気よく下ろうとしたのですが・・・

「痛い・・・」

ここで本レース中初めての痛みが発生。左足の膝上にある太ももの筋肉が悲鳴をあげ始めました。筋や骨の痛みではなく、いわゆる筋肉痛の激しいものだったと推測されます。下りになるとかなり痛むので、衝撃を吸収するようにゆっくり小走りで下りました。


この辺りからジャガイモ畑が広がり、視界がものすごく開けてきした。快晴の空のもと、ジャガイモ畑を走る。本来ならものすごく気持ち良いところなのでしょうが、疲労と足の筋肉痛で、景色を楽しむ余裕が減ってきたのは事実です。しかし、これも含めてのウルトラ。少しでも楽しむことを心がけました。


農作業をしている地元の方がいたので、「こんにちはー!」と自分から声をかけると明るい笑顔で手を振って応えてくれました。こうしたやり取りだけで、気持ちがふっと軽くなってウルトラって楽しいなって改めて実感する事ができます。不思議な世界ですね(笑)

痛みをこらえながら何とか下りきると、江の浦という小さな街に出ます。ここで少し年配の男女2人組の方と出会いました。どちらもL部門で、聞くと10:00スタートのようです。3時間という差を詰めれた事の嬉しさがある反面、残り30km超を走りきれるor制限時間に間に合う自信を失いつつありました。理由はこれです。



果てしなく続く登り。見渡す限りじゃがいも畑が広がる見た事のない美しい景色。まるでランナーを拒むかのように容赦なく照りつける太陽。遠くに視線を向けると青々と広がる橘湾の海。ここは地獄と天国が入り乱れていました。



頑張って走ろうとするも10mで歩いてしまう。重力がおかしくなっているような感覚を覚えたほどです。ここはほとんどのランナーが歩いていました。なんとも言えない美しい景観で普段なら笑顔いっぱいで走れるはずが、どのランナーの顔を見ても苦渋の表情が浮かんでいました。ほんとはこの状況が楽しくて仕方ないはずなのに、身体はそれとは逆に全く言うことを聞いてくれない。

これか。。これが超ウルトラの世界なのか。

地獄のような苦しみのすぐそばに天国を、
天国のような心地良さの中に地獄を感じる。。

そんな事を考えながらこの果てしなく続くジャガイモ農道を進んでいました。すると、遠くにオレンジ色の服を着た見覚えのあるランナーが!!そうです!我らがイッチーさんです!!この感じは2回目ですね(笑)見ると、向こうも自分に気がついたらしく手を振っています。この時、追いついた安堵感と、苦しい局面で知り合いに会えた喜びから、イッチーさんが仏様のように見えました(笑)神様、仏様、イッチー様。



お互いの状況を話しながら進みました。イッチーさんもこの区間で猛烈な睡魔が襲ってきたらしく、フラフラしながら走っていたそうです。ようやく迎えた下りを迎えますが、例の痛みがあって思うように走れません。

11:25頃
146km地点の飯森経塚エイドへ到着!
イッチーさんとはここで合流することができました。

ここでのエイドのメニューは杏仁豆腐!これはもうマジでうまい!!(エイドのたびに同じセリフで申し訳ないんですが、本当にうまいんです!笑) 親切にも冷えっ冷えにしてくれていたのでのどごしがたまりません!なおかつあの甘みと絶妙な風味。これにはイッチーさんもご満悦でした。何度も「杏仁豆腐っていけるなー」と言っていましたね笑。


そしてエイドの方が「これも食べてってよー!」と奥から引っ張り出してきました。コロッケです(笑)油物はちょっと胃に危険かなぁとかちょっと渋ってたら、ひょい!っとつまみ上げてパクッと食べているランナーが。そうです!我らがイッチーさんです!!(笑) 自分もひょいっとつまみ上げてパクッと口に放り込みます。

「うまぁぁぁあああああ!!」

そんなことをして元気を取り戻すと、次のエイドへ向けて走り始めました。

次のエイドまでは4kmほどでほとんどが下り基調なんですが、いかんせん下りでは例の痛みが襲ってきます。ペースを落としながらもここは懸命に走りました。150km地点の有喜老人ホーム裏エイドに到着!ここではイッチーさんが仕切りにFBに投稿する写真を撮ろうと言っていましたが、あまり景色が良くないので断念されていました。ちなみにこのあたりから僕はどんどん追い込まれていくことになります。

エイドを出発し、ラブホ街へと入っていきます(笑)決して都心のようにビジネスホテル風のラブホが乱立するような感じではありません。広大な敷地に、まるで城のように高台にそびえ立っています(笑)ある意味、観光スポットですね。。(写真を撮っていないということは、かなり疲弊していた証拠です。事実、この先写真の数が激減し、動画は朝以降全く撮っていません。。)

あまりの暑さに、国道251号線とコースが合流したところの自販機で水分補給。ここでイッチーさんが、地べたに座り込み少し仮眠するとのこと。目の前をビュンビュン車が走る中、地べたに座り込んで仮眠するイッチーさん。ゼッケンもなく、周りに走っているランナーがいなければ確実に警察沙汰でしょうね(笑)自分は、ここで寝てしまうと完走が危ぶまれそうだったので先に行かせてもらいました。

国道から右折し、唐比温泉へ向かう林道のようなコースへと入って行きます。しかしこの辺りは下り。。足のダメージがきつく思うように走れなくなって、とぼとぼ歩いたり走ったりの繰り返し。また、睡魔が襲ってきて、蛇行しながら進んでいるのが自分でも分かりました。

13:15頃
157.1km地点の唐比温泉センター前エイドへ何とか到着!!約2時間かけて11kmを進んでたことになります。そうめん2杯、おにぎり2個、かんぼこを3つくらい頂きました。眠気覚ましに食べるのですが、やっぱり眠たい・・・。そしてついに、ダウン・・・


カシャッという音にパッと目覚めるとイッチーさんがケータイでパシャり。そしてFBに「ノックアウト」というタイトルで投稿されましたwww ワルイッチーが現れましたね笑。こういったやりとりで少しだけ復活。このままここで永遠に寝てしまいそうでしたが、ワルイッチーのおかげで起き上がることができました(笑)そして、イッチーさんがFBで現状報告すべく2人で写真を撮りました。


さすがワルイッチーは元気ですね!僕はというと、顔が・・・この笑顔は完全に偽物ですね(笑)
20分ほどここで休憩したあと、気力をふりしぼり最後のチェックポイントかつエイドである千々石集会所エイドを目指します。

1kmほど進むと、海岸沿いへ出ます。この道は雲仙鉄道廃路海岸と呼ぶそうです。昔ここには雲仙鉄道が通っていたんですね。ただひたすら平坦な道が続きます。すぐ右手には海。そして遮るものが一切ないので、灼熱の太陽をもろに受けながら進みます。

これが本レース中最後の写真となりました(汗)

熱中症が怖いなぁと思っていたら、頭から水をかけてくれるエイドが途中にありました!水を大量に運べないのでタンクから少しずつシャワーのように出してもらえるのですが、これが気持ちいい!!本当にあの時のエイドは助かりました!!

暑さと眠気でグロッキー状態で進んでいると、同じL部門の年配の方が足を引きずりながら、僕の横を通り過ぎていったではありませんか。自分は足を引きずる程足を痛めているわけでもなく、ただ気力がなくて走れないだけ・・・。その方の姿に感動して、気力をふりしぼり、必死で追いかけました。

そして
14:45頃
163.7km地点の千々石集会所エイドCPに到着!!

ここでリタイアされる方が何名かおられました。L部門の方かどうかは分かりませんが、残り10kmでリタイアするのは苦渋の選択だったと思います。このレースの厳しさを身にしみて感じました。

関門時間が15:20ですので、なんとか最終関門はクリアしたことになりました。ですので、あとはゴールにさえたどり着ければ完走したことになります。でも、できるだけ17:00までにはゴールして28時間を切りたいところ。25分ほど休憩したので、残り10kmを1時間50分以内に這ってでもたどりつければいいわけです(笑)イッチーさんと互いに完走を誓い合って出発しました。

【千々石集会所エイドCP(163.7km)〜ゴール南本町公民館(173.3km)】

この10kmは苦しかった。いや、苦しいというのは間違いだ。「眠かった」というのが正解。ほぼ寝ながら走った10kmだったと言えるかもしれない。

イッチーさんと一緒にエイドを出発したものの、眠気が襲ってきて前に進めない。そんな時、サポートの方が車でアイスを届けてくれた!もうめちゃくちゃ美味い!!この暑さの中でキンキンに冷えたアイスは最高だった。しかしそれも束の間。やはり猛烈な睡魔が襲ってくる。共倒れになっては困るので、イッチーさんには先行してもらった。


一人になった。夢の世界へ行ったりきたり。ふと下を見ると。ガードレール横に雑草が繁っている。「あれ?おばあちゃん?」もちろん返答はない。夢だって気づく。人間究極に眠たくなると、走れない、歩けない、まともな思考ができなくなる。これが超ウルトラの世界。まさか自分がここまで追い込まれるとは想像だにしなかった世界。灼熱の太陽が幻惑させる。

時折横をランナーが駆けて行く。もちろん追いつきたい。でも身体が拒む。ふと自分の後ろはもう誰もいないんではないかという不安にかられる。もしかしたら今頃ゴールも撤収してもう誰もいないんではないだろうか。不安しかなくなる。そんな時、車から「あともう少し!!頑張って〜〜!!!」という女性の声援が。よかった。まだ忘れられてなかった。時計を見る。17時には間に合わないだろう。でも行くしかない。みんなが待ってくれているはず。


市街地へ入った。小浜温泉の町並みだ。思ったより都会的。排水溝からは至る所で湯気が立ち上る。ためしにその上に足をかざしてみた。熱い。間違いなく温泉の街だ。ゴールは近い。ランナーらしき人たちが集まっているところがある!あ!!イッチーさんだ!!!

イッチーさん撮影

そして・・・

大会運営より


イッチーさん撮影

28時間16分49秒
173.3kmの長い旅が終わった



『超ウルトラを走り終えて』というものをこの後書こうと思ったのですが、まとめきれていないことと、時間に余裕がないことを言い訳に今回はこれにて完結にしたいと思います。大会を運営して頂いたスタッフボランティアの方々には感謝してもしきれないほどお世話になりました。お礼は来年も参加することで返したいと思います(笑)そして、この拙いブログをその①からその⑤まで全て読んだ方がもしおられるとしたら本当にありがたいことです。また、書いた甲斐がありました!今後とも宜しくお願いします!!








今年はこの長崎橘湾岸スーパーマラニックを皮切りにウルトラの世界へ

・10月 KOUMI100 100マイル (未定)

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