2023-24 STMダブル760K ②結果まとめ

第2回 単独!アワイチランニング!! その③ 〜START!!〜

第2回 単独!アワイチランニング!! その③ 〜START!!〜

★リアルタイム速報★
その① 〜概要〜
その② 〜まえがき〜
からの続きです。


▶︎▶︎START → 50km 5時間04分09秒 6'05/km
《東浦ターミナルパーク(0)〜岩屋(7.5)〜淡路高校前(21.1)〜郡家(33.1)〜湊(54.7)》



もう少し考えてみよう…

ビュービューと風の吹き荒れる外気へ身を晒すと、先ほどまで身体の中にあった熱いものが一気に冷めてしまい、思わずこう呟きながら暖房の効いた車内へと身を翻した。時刻は20:30。出発をせかすように風が車を揺らしている。まさかここまで来て辞めるなんて選択肢はないよな?沈黙。

3月1週目にある小江戸大江戸の事を考えるとこれ以上は先延ばしできない。それにしてもこの風の強さはなんだ。それに寒すぎる。ここでこんな風と寒さだったら深夜の海岸沿いは…。昨年の悪夢が脳裏をよぎる。落ち着かなくては。ひとまず車内で1時間ほど仮眠をとることにした。

22:15。気づけば2時間近く眠っていた。急に落ち着きを取り戻し黙々と準備をする。相変わらず風は吹き荒れていたがゴールタイムのことを考えるとこれ以上遅らせることはできない。ギリギリにならないと火がつかないのは今に始まった事ではない。車内のラジオでは「寒波襲来のため車での外出はできるだけお控え下さい」と言っている。なるほど。短パンでの外出は大丈夫だな。と声に出してみる。もちろん反応はない。しかし、待てよ。出発から心が折れそうになっている状態で本当に最後まで走りきれるんかいな?

22:50(00:00経過)
0km地点
東浦ターミナルパークをスタート

アワイチランニング
スタートの儀

浦の交差点から反時計回りに一周するようにスタート。信号待ちの運転手と目が合ったが、こんな夜中に何してるんだという奇異な目で見られる。走りながらブログに「出発したこと」「アワイチを走ること」「要所要所で通過タイム書くこと」などを書き込んだ。これらは全て『途中で投げ出さないため』の自分なりの防御策だ。結果的にこの防御策に救われ、思いもしなかった形で功を奏することになる。それにしてもここまでしないと走りきれないメンタルの弱さに自分でも驚き呆れてしまう。

トンネルをくぐる

しかしスタート直後は全くそんな事を考えず不思議なほど気持ちよく走っていた。北西の風をまともに受けていても意気揚々と前進し続けていた。つい数時間前まで出発するかどうかで悩んでいた自分が嘘のようだ。精神科医ならこの落差を躁鬱と名付けるのかもしれない。ヘッドライトを必要としないほど満月の明かりが道を照らしてくれている。頭ではこの快適さが最後まで続くはずがないということは分かっていたが、身体はもしかしたら最後までいけるんじゃないかという勢いでスムーズに回転し続けていた。

アワイチランニング
岩屋

とはいえ小江戸大江戸に備えた練習が本来の目的なので自制心はしっかり働いていた。時計を見るとキロ5'45前後。キロ6で走り続けた時に自分の身体はどうなるのか。どんな不調がどんなタイミングでどんな風にやってくるのか。そしてその不調をどうしたら乗り越えられる(あるいは、やり過ごせる)のか。それが最大のテーマだ。今この記事を書きながら冷静になってに考えてみると、不調というネガティブな要素を楽しみにして走るというのは一見すると矛盾しているように感じる。しかし、あなたがウルトラランナー(いや、一度でも長距離を走ったことのある方)ならばそこには矛盾などなく至って自然な動機であることを理解してくれるかもしれない。

アワイチランニング
明石海峡大橋をくぐる

サンセットラインに出た。淡路島の西側。この通りは歩道がなく時折車が猛スピードで走り抜けるので危険だ。後方には赤のセーフティライトとフラッシュライトで視認性を高めているがそれでもドライバーが自分の存在に気づいてくれるか時折心配になる。坂田利夫のあの動きを時々入れながら車をやりすごした。

あぁやっぱり!強風が吹き荒れている。昨年はこの地点で70km以上すでに走っていた(福良がスタートゴール)こともあり、強烈な風による寒さで完全に参ってしまった。襲いかかる風から逃れようと商店の軒下に身を潜めた覚えがある。しかし今はまだ20kmほどしか走っていない。渦を巻くように風が吹き荒れていたが、あの商店を見つけて「あぁ、あそこに隠れたなぁ」なんて思い出にひたれるほどの余裕がまだある。


1:58(03:08経過)
33.1km地点
郡家を通過


海岸沿いを走り抜けるとコースは内陸寄りに進路を取り、漁港の町を通り過ぎていく。建物に遮られ風は幾分弱まった気がする。深夜の町は静まり返りサッサッサというザックとウエアが擦れ合う音だけがこだましていた。もちろん誰もいない。交番の前を通り過ぎるとき何も悪いことなどしていないのに少し緊張した。

不調の兆しはまだない。キロ5'40前後のペースを機械のように刻み続けている。ほんとにこのまま行っちゃえるんじゃないかという期待がこみ上げるが今までそれで何度も痛い目にあってきた。「調子に乗るなよ。乗るなよ。乗るなよ。」ダチョウ倶楽部の押すなよ的なノリでつぶやいてみるも誰も相手にはしてくれない。


しかしそれは突然やってきた・・・



ここまでです!
次回更新を乞うご期待♪

その④へつづく


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