2023-24 STMダブル760K ②結果まとめ

第2回 奥三河パワートレイル 2016 後編

第2回 奥三河パワートレイル 2016 後編


前編からの続きです。
前編ではレース開始前までの様子をお届けしました。皆さんちゃんとチェックしてもらえましたか?てっぺー兄貴のジェラード写真なんかはマニアには垂涎ものですよ(笑) さて、後編ではレース内容について書いていきます。苦情が来る前に先手を打っておきますが、後編では前編とは打って変わり写真がほとんどなくなり文字ばかりになります。理由はガチで臨んだのでレース中に写真を全く撮っていないからです。読者の皆さんには苦行ともとれる文字の羅列になりますが、どうかご理解頂ければと思います。


スタート→AS1
茶臼山高原〜茶臼山〜津具 12.6km 1:07:38 90位通過


大会HPより

6:30(00:00:00経過)
茶臼山高原をスタート

レース前

約900人のトレイルランナーが一斉にスタート。縦一列に伸びた大集団が茶臼山を目指し、舗装路、トレイル、舗装路と交互に繰り返しながら緩やかに登っていきます。夜中にしとしとと降った雨は完全に上がり、あたり一帯をガスの塊が覆っています。作戦通り無理のないペースを維持。しかし、事前説明会で石川さんが茶臼山への登山道入り口で若干渋滞するかもとおっしゃっていたので、あまり後ろになり過ぎないようには心がける。山の朝特有の空気は本当に気持ちいい!ウルトラにしろトレイルにしろこの時間が一番好きです♪

そして茶臼山への登山道入り口へ。やはり少し渋滞はしましたが、石川さんが1人でうまくさばいていました。おかげでそれほどタイムロスがなかったように思います。登りはパワーウォークで少しずつ前の方を抜きながら頂上へ。難なく山頂をクリアすると、ここからトレイルと舗装路で一気に下ります。舗装路の一部で登りがありましたが、AS1の津具高原まで約10kmをひたすら下ります。作戦通り「下りは絶対に無理したらあきまへん!」と自分に言い聞かせます。案の定舗装路に入ると速いランナーに抜かれますが気にしない気にしない(笑)すると、同じ作戦なのか下りは抑えて登りや平坦で明らかにペースを上げるランナーの方がいたのでその方の後ろについて走る。巨大な風力発電の風車が見えてくるとエイドはもうすぐです。



AS1→AS2→AS3
(津具〜面の木園地〜笹暮〜小松集落) 24.7km 2:35:26 55位通過




7:37頃(01:07:38経過)
12.6km地点
AS1津具高原グリーンパークを通過(90位)

エイドでは大勢の方が迎えてくれました。地元の人たち、スタッフの方々、選手の応援団など。さまざまな方が選手一人一人を拍手で迎え入れてくれます。ここまでしてもらえるとエイドに寄りたくなりますが、まだ12kmちょっとです。ペースを落としている分、エイドには最低限しか立ち寄らないようにしていまいした。今考えると、梅干しのひとつやふたつ取るくらいの心の余裕が欲しかったですね。大盛り上がりのエイドを素通りすると、ここから気持ちの良いトレイル区間が連続します。途中水だけのエイドステーションがあって選手一人一人にMAGMAを配っていました。もちろん補給します。この区間はあまり記憶がありません(笑)山だけでなく牧草地があったりとバラエティに富んだ走りやすいトレイルだったように思います。たぶん(笑)

笹暮峠を越えると、ここから約13km近く延々と下ります。標高差はなんと約800m。そのほとんどが林道です。28.5km地点のAS2を通過するとタコウズ川沿いの林道を下り続けます。ペースは上げ過ぎず落とし過ぎず。後ろから抜かれることもあれば逆に抜くこともあります。時折ゴロゴロとした石があったりするのでロードのように気を抜けません。おんたけ100マイルではこれが延々と続くんだろうなぁとか考えながら走っていました。

林道が終わるとここから舗装路の登りに変わります。このあたりで歩き始めるランナーがいたので声を掛け合いながらパスしていきました。小松集落に近づくにつれ地元の人や子供たちが書いてくれた横断幕がコース上に大きく掲げられてランナーを鼓舞してくれました。『エイドまで200m』と書いてあると思って近づくと『2000m!』と書いてあった時には複雑な気分になりましたが(笑)そして、AS3の小松集落に到着すると…


ついに平和な前半戦は幕を閉じることになります




AS3→AS4
(小松集落〜岩古谷山〜鞍掛山〜四谷千枚田) 11.1km 2:00:01 35位通過






10:13(03:43経過)
37.3km地点
AS3小松長江老人憩の家を通過(55位)

そうです。ここから本当の戦いが始まります。ゴールまで残り約32km。先日のダイトレと同様の距離ですね。ここからはそのほとんどがトレイルとなり、げんなりするような九十九折りや、垂直かよ!叫んでしまいそうな急登があったり、岩場に敷設された急階段が連続したりとまさにこれこそパワートレイル!!しかもここまで30km以上も鬼のように下ってきた足の状態です。ここからいかにハッスルできるかで順位が決まると言っても過言ではないでしょう。

エイドにはたくさんの地元の食材が並べられていました。きんかん、ぎんなん、いちごなど。気温がかなり上がっていたのでこういったさっぱりした食べ物はすっと手が出ます。しかしこの時なぜおにぎりなどのカロリーのある食べ物を補給しなかったのか。今これを書きながら激しく後悔の念が込み上げてきました。

なぜだ…
なぜだ…
ほわぁぁぁぁああい!!
(※whyって言ってます)

ここまでジェルは1つ分しか補給しておらず、残りは2個。正直に白状すると、なぜかこの時残り2個のジェルで十分賄えると高を括っていました。こう考えてしまった一番の理由は前日までのカーボローディングです。といっても意図的で計画的なカーボローディングなどしていません(汗)単なる食べ過ぎで、通常より2kgも体重が増えていた状態。ですので、この体内に蓄積されたエネルギーでなんとかなる!などと考えていたのでしょう。

先に申し上げときますが、このあと地獄が訪れます。

しかし、この先に地獄があるということは、言いかえれば天国があったとも言えます。事実、この後のトレイルで快進撃を続けることになります。

AS3でレッドブルを1本ガブ飲みすると威勢良く登山道へ入って行きました。十三曲がりという何度もスイッチバックを繰り返す登山道をクリアし岩古谷山頂へ。ほとんどのランナーが疲労困憊の状態です。黙々と一定ペースで登ることでかなりのランナーを抜くことができました。完全に計画通りです。確かに身体は辛くなってきていますが、残り30kmも無いと思うと頑張れそうです。あるランナーには「このペースで登れるのはすごいなぁ」と追い抜き際に褒められたほどです。このあるランナーは後ほど登場しますので覚えておいて下さいね。岩古谷山へ山頂ではあまりの景色の素晴らしさと達成感で、他のランナーと一緒に立ち止まって景色に見とれてしまったほどです。

岩古谷山を越えると次は鞍掛山を目指します。このAS3からAS4までのルートは事前説明会でも石川さんがかなり厳しいコースになると何度もランナーに釘をさしていました。約10kmほどの区間なんですが昨年はトップ選手でも2時間近くかかったとかいないとか。確かに登り下りが何度も繰り返されます。そしてその登りがまた垂直かよっ!てほどの急登なんですね。登れば登るほど体力・精神力が削られていく感覚を覚えました。鞍掛山山頂への最後の登りの時には、さっきまで快走だったのが嘘のように一気に失速し始めます。

あれ…パワーが出ない…

頭までフラフラしてきました。眩暈がして喉の渇きがおさまりません。

ハンガーノック脱水症状(熱中症??)

が同時多発的に発生。こうなってしまうと本当に根性だけではどうしようもなくなる。その時になってやっと気付いたのですが、気温もぐんぐん上がって身体中がビショビショ。かなりの発汗量だったと思います。(レース後、黒のゲイターが真っ白に塩を吹いていたのには驚きました)せっかく抜いたランナーに抜かれるのは屈辱的でしたが、じっと我慢するしかありません。とにかく少しずつでも山頂を目指しました。ゾンビ状態で何とか鞍掛山山頂を登り切ると、ここからは走りやすい下りへ一変します。下りは意外に足が動くものですね。とにかく次のエイドでしっかり補給をしようという思いだけで走り続けました。



AS4→AS5
(四谷千枚田〜宇連山〜棚山高原) 8.7km 1:38:33 46位通過




12:13(05:43:07経過)
48.4km地点
AS4四谷千枚田を通過(35位)

エイドでは非常に多くの方が出迎えてくれました!ヘロヘロ状態だったのでその喜びはひとしおでした。ひときわ目立つ真っ赤なゆるキャラちゃんに思わず抱きついちゃったほどです(笑)

とましーなちゃん

しかしここで致命的なミスをしてしまいます。大歓迎ムードのエイドに入ることで一時的に身体が元気なったと錯覚してしまい、固形物には目もくれず飲み物ばかりガブガブ飲んでしまいました。そしてあろうことか、

ハンガーノック野郎が
全く食べずにエイドを後にする

という珍事が発生(笑)おそらく冷静な判断ができていなかったんだと思います。完全に頭がバカになっていたんですね・・・。

勢いよくエイドを飛び出してロード区間は快走しますが、案の定長くは続きません。トレイルに入った瞬間にまたもやガクッとペースが落ちます。また先ほどと同じ現象です。止まることはしませんが一般登山者と同じかそれより遅いペースにまで失速し、後ろを振り返ると後続のランナーがどんどん迫ってくるのが確認できます。多くのランナーに抜かれることで精神面までダメージを受け、

やめたい…もうやだ……

こんな気持ちまで芽生え始めました。あまりの暑さに頭からボトルの水をかけながら進みますが、一向にフラフラ感は取れません。どれくらい時間が経ったのか。かなりのランナーに抜かれたように思います。宇連山山頂をいつ越えたのかもあまり覚えていませんが、気付いた時には棚山高原へのエイドが近づいていました。この区間はまさに地獄を味わいました。



AS5→フィニッシュ
(棚山高原〜鳳来寺山〜湯谷温泉) 12.8km 2:02:55



13:51(07:21:40)
57.1km地点
AS5棚山高原を通過(46位)

ここのエイドでも多くの方がランナーを迎えてくれました!アナウンスでエイドに入ってきたランナーの名前を紹介してくれて気分を盛り上げてくれます。名前を聞いた地元のおじさんが「あかまっちゃーーん!!」と大声で読んでくれたのには爆笑しました。不思議ですね。あれほどフラフラでもう辞めたいとまで思っていた気持ちがエイドに来ると嘘のように消えてしまいます。今までパワートレイルの名前の由来は『めちゃくちゃキツいトレイル』という意味だと思っていましたが、どうやら間違っていたようです。たくさんの地元の方やスタッフの方々が各所で声援を送ってくれています。山中であろうが、しんどいところには多くの方が待っていてくれました。もしかするとパワートレイルという意味は『物凄いパワーを貰えるトレイル』という意味なのかもしれませんね!

ここのエイドでは味噌汁やら梅干しやらバナナなんかを補給しました。残り10km超。もう順位なんて気にしても仕方ありません。ここから巻き返すことは不可能。でもそういう時だってあるし、うまくいかん時だってある。エイドの方と話しながら、とにかく最後まで諦めずにゴールすることが大事だという気持ちに変わりました。

不思議なことにこう思うと足は動きます。遅いペースですが歩くことはせず、とにかく前に進み続けました。するとここで先ほどのあるランナーに抜かれますが、失速を心配してかこう話しかけられました。

??「大丈夫か?!」
おれ「ハンガーノックで・・・」
??「ジェルは持ってるか?」
おれ「無いです…」
??「これ!すぐに補給してちょっと安静にしたら復活するよ!」
おれ「いいんですか?ありがとうございます!」

迷うことなく自分のジェルを2個も渡してくれました。ありがたいやら、自分が情けないやらで泣きそうになりながらジェルをすぐにチューチュー。どんどん離されていくその後ろ姿がカッコよすぎる。こう叫びたい気持ちを抑えました。


ホレてまうやろぉぉーーーー

頂いたジェルを補給してしばらくするとフラフラ感が嘘のように取れてきました。ジェルの重要性を身を持って経験しました。まさに現代版仙豆です(笑) ちょうど後ろにランナーが追いついてきたので、そのランナーに抜かれないペースまで上げて黙々と走り続けました。

まだまだ『ホレてまうやろ事件』は続きます。最後の山である鳳来山への登りで、ここにいるはずのないランナーに追いつきました。真っ白なブリーフのようなパンツ姿で走る人はあの方しかいません!トレイルランニング会では有名人の平澤選手!!数々のレースで優勝されている凄い方です。昨年のパワートレイルでは彼が優勝している実力者ですが、なぜかここまで順位を落としてしまっています。明らかに調子が悪そう。おそらくガンガンに攻めすぎてハンガーノックになったのだと思われます。

これほどのトップ選手でも
最後まで諦めずに走っている
なのに
俺は何をしてるんだ
このバカチンがぁぁ

もともとファンでしたが、この最後まで諦めない姿を見てもっと好きになってしまいました。こうして気持ちを入れ替えると少しずつ身体が復活してきました。最悪の状態は脱したようです。するとあのランナーに追いつきました!ここであのランナーの正体が判明します。なんと


patagonia所属の西城選手

だったのです。失礼ながらお名前を存じ上げなかったのですが、帰って調べてみるとその世界では有名な方だそうで某HPに特集(コチラ)が組まれていました。今年は海外の100マイルレースに出られるそうなので密かに応援しています。西城選手より前に立ったものの最後の下りでは置いていかれました・・・。鳳来寺から砂利道のような林道をひたすら下り、最後はロードを走ります。ついに辛かった長い旅も終わり。そして・・・

finish!!

69.9km
累積上昇高度 3500m〜4000m
累積下降高度 4500m〜5000m

9時間24分35秒
男子総合 49位/805人
30代男子 26位

ひゃっほい太郎
かろうじて速報の1枚目に載りました!


【あとがき】

ここまで読んで頂きありがとうございます。今回のレースは悪い点を挙げようと思えばいくらでも挙げられそうな気がします。食料計画やダメになった時のメンタルの弱さなど。ジェルの重要性は十分に反省したので、ここでは逆に良かったことを書こうと思います。それは・・・

最後まで諦めなかったこと

この一言に尽きるかと。今までハンガーノックや脱水症状などで身体が動かなくなって失敗したレースはありませんでした。今回が初めてかもしれません。ある程度順位や記録を狙って走ったので途中でダメになった時レースを投げてしまいそうになった瞬間がいくつもありました。なにもリタイアすることがダメだとは思っていません。体調面を考えた時リタイアすることは大切だと思います。しかし記録が狙えなくなったからレースを投げてしまうのは最悪です。あの時もし投げていたらどうなっていたんだろう・・・と今でも怖くなってしまいます。

そんな苦しい局面でも周りのランナーや地元の方々、スタッフ、応援団の方々に元気づけられ乗り越えることができました。本当に感謝しています。パワートレイルという名前は「めちゃくちゃキツいトレイル」という意味だと思っていましたが、そうではありませんね。レースを完走した今このように思っています。

パワートレイル=凄いパワーを貰えるトレイル


さて、今回の失敗を糧にしてこれからのレースに挑みたいと思います。次はGWにある長崎橘湾岸スーパーマラニック春のステージ173km!!昨年は何とか完走できましたが、眠気に襲われて初めて幻覚を見た大会でもあります。その時のブログはコチラ。今年は出来る限り攻める走りをして個人的な記録を目指して頑張りたいと思いますので応援のほど宜しくお願いします!!



第2回 奥三河パワートレイル 2016





西城選手と♪





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